医療法人社団あずま会 浜松東病院 牛山 知己 院長

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医療介護複合施設 開設 地域とともに新たな一歩

【うしやま・ともみ】 1980 浜松医科大学医学部卒業 同大学泌尿器科学教室入局 1981 市立磐田病院(現:磐田市立総合病院) 1983 社会保険浜松病院泌尿器科部長 1985 浜松医科大学附属病院助手 1991 同講師 2006 浜松医科大学医学部助教授(准教授) 2010 浜松東病院院長

 1985年から浜松市南東部の高齢者医療を支えてきた浜松東病院が2018年、場所を移して医療介護複合施設として生まれ変わる。施設内には、近隣住民が健康に関する相談や休憩などに利用できる交流スペースも設ける予定。牛山知己院長は「地域と結びついた医療を提供していきたい」と意気込む。

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◎医療と介護を一体化

 来年4月、病院の所在地を現在の浜松市南区から同市中区に移転し、「平安の森記念病院(仮称)」と名前を変えて再出発します。

 中区では、すでに2012年から介護老人保健施設(老健)を運営しており、老建と同じ敷地内に開設することで医療と介護の一体型施設を目指します。

 もともとは「堀木医院」として、19床から始まった医療療養型病院です。その後、増築をして徐々に増床し、現在は99床です。内科、私の専門である泌尿器科、皮膚科とリハビリテーション科を備えています。

 現在、老健併設のクリニック(19床)は休止していますが、移転までには再開し、この病床と合わせて病院を計118床に増やす手続きをしています。

 脳血管障害や肺炎を繰り返すなど、急性期の治療が終わっても自宅に帰れないような方が、当院に入院しています。経管栄養や寝たきりに近い状態の人を、家族が自宅で介護するのはなかなか難しいのです。

 今の病院施設は建設から30年余がたち、老朽化してきました。現在の場所では設備を拡充するのも難しい状況です。

 また、中区にあった別の療養型病院が5年前、南区に移転したこともあり、空白地帯となった中区に移ることにしました。

◎地域貢献を目指す

 これからは、地域医療に貢献することが必要です。この病院に赴任する前は、大学病院に勤務。地域の病院に移ったら、地域住民や地元の開業医の方との結び付きを大事にしたいと思っていました。

 しかし、現状は急性期の病院から紹介されてくる患者さんを受け入れる「ポストアキュート」が主です。新病院では、急性期病院に行くほどではない患者さんの対応である「サブアキュート」を充実させたい。地域の高齢者施設や自宅で療養する方の入院を積極的に受け入れたいと思います。

 例えば、肺炎であっても当院で対応できる場合があります。病床が増えれば、そういった患者さんも入院治療できるようになります。

◎住民との結び付きも

 入院、診療以外でも、地域との関わりを密にしていきたいと考えています。これまでも、自治会に働きかけて、「排尿障害」などについての勉強会を開いたことがあります。しかし、数回だけで終わってしまいました。健康、福祉という側面でも、もっと地域に貢献していきたいのです。

 健康教室などの形で、予防的な取り組みをしていきたい。南区は離れますが、長くこの地で運営してきた病院なので、こちらの住民の方々にも、何か恩返しができればとは思っています。

◎交流の場づくり

 新しい病院は7階建てになる予定。院内に交流スペースを設けます。

 病気でなくても、地域の人に気軽に来てもらえるような場所です。休憩してもらうだけでもいいですし、ついでに健康相談をしてもらってもいいと考えています。

 現在、浜松市から地域包括支援センターの委託も受けていますが、まず、何でも相談できるような窓口が必要。さらにそこが支援センターと連携する。そんな形が求められているのでしょう。

 もっと言えば、居宅介護事業所とも連携して対応する。困ったら何でも相談してもらえるよう、システムを整え、地域の方に利用を働きかけられればいいですね。

◎幅広い人を受け入れ

 新病院には、CTと人工透析の装置も導入。高齢化によって増加を続ける透析の患者さん、そのほかいろいろな疾患の診断・治療に対応できるようになります。

 また、介護施設と一体となって運営することで、1施設だけでの運営よりも受け入れられる患者さんの幅が広がります。病院がフォローすることで老健の利用者が在宅復帰を目指しやすくなるのではないかと思います。

 それでももちろん、自分たちだけですべての患者さんの対応をすることはできません。近隣のクリニックや総合病院とも連携していきます。より細かく、適切な治療につながればと思います。

◎在宅分野充実へ

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 老健では、すでに訪問リハビリや通所リハビリも手掛けています。これからは、訪問看護にも力を入れていきたいと考えています。

 在宅の分野を充実させたい。自宅に戻った後、もし具合が悪くなったらいつでも来てもらえる体制をつくって、連続的にその人を診ていけるようにしたいと思います。

 仮に介護力の問題などで、家に帰るのが難しくても、地域の施設で受け入れる。その人が、家族の近くでずっと暮らしていけることが大切だと思っています。

 高齢者医療では、一部の臓器などを診療するのではなく、全身を診る必要があります。さらに、その人の活動性を保たなくてはいけない。心不全で入院して回復したけれど、寝たきりになってしまった、というのでは十分に役割を果たしたとは言えません。

 当院のスタッフはとても意識が高く、患者さんの状態をよく見て、清潔な状態を保てるよう、丁寧にケアしてくれています。リハビリスタッフも、機能が維持・回復できるように一生懸命です。

◎若手こそ高齢者医療を

 在宅医療は、こちらから出向いていくので、医師にも体力が必要です。若い人にこそ、高齢者医療を担ってもらいたいと望んでいます。

 しかし、現状は、急性期医療に関わった後に移ってくる人が多いので、年齢層が高くなっています。ベテランにはベテランの良さがありますが、若手にも、もっと興味を持ってほしいと思います。

 2006年に学校法人「森島学園」のグループに統合されたので、系列に医療系の専門学校があります。学校からは、毎年実習を受け入れていますが、就職にはまだつながっていない。所在地が離れているということもネックになっています。

 新病院ができて中区に移ったら、今より交通の便が良くなります。医師やリハビリスタッフなど、この病院で働きたいという人が増えればうれしいですね。

医療法人社団あずま会 浜松東病院
静岡県浜松市南区福島町1-1
TEL:053-425-6121
http://www.azumakai.or.jp/


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