地方独立行政法人 静岡県立病院機構 静岡県立総合病院 田中 一成 院長

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静岡県の医療を支える人材育成の拠点に

【たなか・いっせい】 灘高校卒業 1975 京都大学医学部卒業 1976 静岡県立中央病院内科医員1985 浜松医科大学内科学第2講座助手 1995京都大学医学部内科学第2講座助教授 2003 国家公務員共済組合連合会枚方公済病院病院長2014 地方独立行政法人静岡県立病院機構理事長 同静岡県立総合病院院長

 静岡県のがん診療拠点病院に指定されるなど、県の中核病院としての役割を果たす静岡県立総合病院。9月、敷地内に「先端医学棟」を開設した。田中一成院長が、この新棟に込めた思いを語る。

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―先端医学棟建設に至るまでの経緯など。

 当院は1983(昭和58)年に開院。本館の建物は35年近く経っていました。

 私が院長に就任した2013年ごろ、既存の放射線治療室では部屋の大きさや構造上の問題があり、最新鋭の放射線治療機器に対応できないという課題が浮上していました。

 さらに手術室も、新たな医療機器の登場や大型化によって手狭になり、増加する手術症例に対して不足しているという声も聞かれました。

 そこで、放射線治療室と手術室の新設を柱とした新棟建設の計画案を静岡県に提案。最終的に、当院の計画案がおおむね了承され、2016年に着工、2017年6月に完成しました。

―先端医学棟の役割や特徴は。

 5階建ての先端医学棟は、大きく分けて三つの役割を有しています。

 一つ目は「治療」、二つ目は「教育」、三つ目は「研究」です。

 治療に関しては1階に放射線治療室を4室整備。2017年度中には、CTとリニアックの機能を備えた最新の放射線治療装置を導入する計画で、回転型強度変調放射線治療も可能となります。

 高齢のがん患者さんを中心に低侵襲な放射線治療の需要が高まっています。新しい施設の完成によって、これまで以上に体への負担が少なく、かつ高精度な放射線治療が可能になります。

 3階、4階には手術室を集約。最新鋭の手術機材を使用する高度な手術が安全に実施できる施設を目指しました。

 手術室は従来の12室から22室へと増やし、うち3室がハイブリッド手術室、2室が手術支援ロボット「ダビンチ」を使う手術室です。5室は内視鏡手術に特化しています。

 4階には、術後の患者さんを受け入れるハイケアユニット(HCU)も20床設けました。手術室に隣接させることで、術後の患者さんをスムーズに移動することができるようになりました。

―教育のための機能とは。

 当院は、京都大学、浜松医科大学、徳島大学、自治医科大学、北海道大学、山梨大学、静岡県立大学などで医師、看護師、薬剤師を目指して勉強している学生たちの実習病院となっています。受け入れ人数は年々増加。昨年は、見学を含めると約1000人の学生が当院で学びました。

 文部科学省が医学部の臨床実習の時間増を推進していることもあり、年々実習時間数も増えています。

 今、国内の大学医学部では臨床実習の期間を長く確保し、見学型から参加型へと移行する動きが加速しています。

 そこで、先端医学棟には臨床研修病院としての機能を強化する狙いで「メディカルスキルアップセンター」をつくりました。

 センターには、医学教育用の各種シミュレーターを設置。模擬病室も整備していますので、臨床現場さながらの実技も可能です。

 このほか研修で訪れた学生たちを一堂に集めて講習ができる講義室などがあります。また、このセンターは学生の臨床研修だけでなく、職員の研修にも活用します。

 充実した教育環境を整備することで、医療専門職を目指す学生を多数受け入れられますので、将来の人材確保にもつながると期待しています。

―三つ目の研究施設としての役割とは。

 静岡県は県民の健康寿命が、男女ともに全国トップクラスの健康長寿県です。健康寿命のさらなる延伸を目指して、県は「ふじのくに健康長寿プロジェクト」を推進。運動、食生活、社会参加を軸に県民の健康づくりに力を入れています。

 県立病院である当院も、県民の健康に関する臨床研究や疫学研究に、これまで以上に取り組んでいく必要があります。その中心となるのが先端医学棟の5階に設置した「リサーチサポートセンター」です。

 ここには、医学や薬学などを核に、遺伝子解析、疾病の分析などの研究や実験を進めることができる研究室を設けました。

 背景には、本県で唯一医学部がある浜松医科大学と薬学部がある静岡県立大学が、かなり離れた場所にあるという特殊な事情もあります。

 薬学部が創薬のために臨床研究をする際には、病院で実施する必要があります。しかし、静岡県立大学には附属病院がありません。そこで、当院に2008年から同大薬学部の研究室を備えていたのです。

 今回のリサーチサポートセンターは、この研究室と、これまでなかった当院医師の研究室を置き、実験室なども充実させました。

 また、地元の開業医で臨床研究も続けたいという「客員研究員」の方にも、センターを活用していただく試みも早速始まっています。

 医薬が連携して、静岡県の健康長寿に貢献する研究が可能になると期待しています。

 5階には、「きこえとことばのセンター」(静岡県乳幼児聴覚支援センター)もつくりました。

 これまでも、院内で専用の部屋を設けて県下の難聴児のデータの把握や保護者の相談にのってきましたが、新センターでは、防音室を備えた検査室なども整備しました。脳の状態を測定する「光トポグラフィー検査」のための装置も導入しています。

 静岡県では、ほとんどの新生児が聴覚スクリーニングによって、生まれた直後に「聴こえ」のチェックを受ける先進的な制度が整っています。

 当センターでは、その結果をもとに難聴児に対する適切な治療や療育をしています。

 きこえとことばのセンターでは、頭頸部・耳鼻いんこう科部長で聴力改善手術が専門の高木明副院長を中心に、乳幼児期の難聴や、人工内耳の装用による脳の発達のメカニズムなどについての研究も進めます。また、難聴児に関わる医療職、教育職の研修の場としても活用していきます。

―今後の課題は。

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 静岡県は、人口10万人当たりの医師数が、193.9人(全国平均233.6人 ※2014年末)。47都道府県のなかでも、40位台にとどまっています。

 東京や名古屋に近く、医師をはじめとした医療職が大都市に流出しているのが実情です。

 そこで、院長就任以来ずっと、「静岡県に優秀な医師を定着させるためには何が必要か」「勤務医にとって魅力的な場とは何か」を考え続けてきました。

 その結果としてつくり上げたのが、最先端の治療機器が揃い、臨床研究の設備も整った「先端医学棟」なのです。

 先端医学棟は、静岡県の医療を支える人材を育成する拠点にしたいと考えています。多くの若い医師が、われわれの思いを受け止めて、地域の医療を支えてくれることを願っています。

地方独立行政法人静岡県立病院機構 静岡県立総合病院
静岡市葵区北安東4-27-1
TEL:054-247-6111(代表)
http://www.shizuoka-pho.jp/sogo/


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