日本赤十字社 和歌山医療センター 平岡 眞寛 院長

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救急と高度医療の両立で県民の「命を守る」

【ひらおか・まさひろ】 1977 京都大学医学部卒業1987 米国スタンフォード大学放射線腫瘍科客員助教授 1995 京都大学大学院医学研究科教授 2007京都大学医学部附属病院がんセンター長 2016 日本赤十字社和歌山医療センター院長

 1905(明治38)年の設立から112年。和歌山県内で最も長い歴史を有する総合病院「日本赤十字社和歌山医療センター」は救急全例応需で地域の信頼を高め、高度医療のニーズにも応えてきた。

 2016年4月、がん放射線治療の第一人者、平岡眞寛氏が院長に就任。救急を大看板に、高度医療、地域との連携、災害時の救護や国際医療救援にも取り組んでいる。

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◎広い「総合力」が大きな強み

 1年半前、京都大学を退官し、この病院に赴任してまず驚いたのは、病院として備えるべき機能のすべてを大きな欠損なく持っているということ。その総合力に驚嘆しました。

 裏を返せば、県内に大きな病院が和歌山県立医科大学附属病院と当センターしかなく、この2カ所で医療を完結しなければならなかったということでしょう。「ここで受けられない患者さんがいたら県民、市民が困る」という思いが強かったのだと思います。

 今でこそ約230人の常勤医がいますが、2000年ごろは150人程度。今よりもっと救急搬送数が多かった時期にも、必死になってミッションを追求してきたと聞いています。

 現在は36診療科部、52専門外来を設置し、許可病床数は873床。ICU(集中治療室)、CCU(冠疾患集中治療室)のほかNICU(新生児集中治療室)、GCU(継続保育治療室)を整備し、手術支援ロボット「ダビンチ」や高度放射線治療装置など最先端の医療機器も導入しています。

 2016年度の外来患者数は延べ約49万人、新入院患者数は約2万人。高度救命救急センターとして受け入れている救急患者の数は、年間約3万人です。

◎時間外選定費とドクターカーで重症者に手厚く

 2011年、高度救命救急センターに指定。一時期は年間1万件に迫る救急車による搬送を受け入れていました。

 しかし、本来は救急医療を受ける必要がない患者も多かったことから、県内で最も早い2015年、「時間外選定療養費」の設定を前院長が決断。それによって、現在は約8000件に落ち着いています。

 救急車の受け入れ台数は2割程度減ったものの、入院が必要となる救急患者数には変化ありません。医師や看護師の負担が減り、より重症の患者に手厚い医療を提供できる体制となりました。

 今年1月には和歌山市消防局と連携して24時間365日体制の「ドクターカー」の運用を開始。当センター敷地内に開設した「常設型和歌山市救急ワークステーション」に救急隊が常駐するようになりました。

 通報が入り、緊急度が高いと予想される場合、当センターの医師や看護師が救急隊とともにドクターカーに乗って現場に向かい、治療しながら患者を搬送します。

 救急での課題は、まだまだ基盤が弱いということ。現在8人いる常勤の救急医をもっと増やしたいと考えています。

◎高度で多角的「がん診療」

 専門に特化、集中する傾向の中で、われわれは「高度医療のすべてを強化する」という方針です。高齢化によって患者数が増加している「がん」も高度医療を要する疾患の一つです。

 当院を訪れるがんの新規患者数は年間およそ2400人。手術、抗がん剤治療、放射線治療を中心に、さまざまな手段を講じています。

 2016年には放射線科を放射線診断科と放射線治療科に分化。同じ年には消化管外科部、今年4月には肝胆膵外科部を創設し、部長を招へいしました。

 内視鏡・腹腔鏡による低侵襲手術にも力を入れ、先進医療であるロボット支援下の胃がん手術にも取り組んでいます。

 私の専門である放射線治療も、これからより強化していきます。大きな手術が難しい高齢がん患者も増えています。放射線治療という選択肢もあるということを提示していきたいと思います。

 当院では、通常の外照射や体の内側から照射する小線源治療のほか、「定位放射線治療」と「強度変調放射線治療(IMRT)」の二つの高精度放射線治療が可能です。

 早期肺がんには定位放射線治療が非常によく効くことが分かっていますし、IMRTは前立腺がん、頭頸部がんなどに効果があります。

 現在、当院で放射線治療を受けている年間500人ほどの患者さんのうち、約3割が高精度放射線治療です。

 当院には放射線治療専門医が4人、医学物理士も4人いて、幅広い患者さんへの対応が可能。効率よくがんをコントロールする方法として、高度放射線治療を今後も推進していきたいと考えています。

◎長期的な視野で臨床研究を強化

 今後は、臨床研究にも力を入れていきます。医師が日常診療に追われるだけでは病院は退化してしまう。中長期的に病院の強化を考えると研究が必須です。

 この病院には数多くの臨床材料があります。そこで、今年から、京都大学医学部附属病院による「医療者のための臨床研究遠隔学習プログラム」に参加することにしました。

 生物統計などを1年間ウェブを使って学ぶプログラムで、申し込みは医療機関などの団体ごと。1団体5人〜10人が定員です。参加者を募ったところ20人ほどの申し込みがあり、院内選考で10人に絞りました。若い人だけでなくベテランにも研究心を持っている人が数多くいることがわかり、うれしかったですね。

 1年ほどかけて厚生労働省の科学研究費補助金を申請できる「研究機関」としての登録も済ませ、今年から応募できるようになりました。基盤が整ってきたことで、研究への意欲が一層高まることを願っています。

 救急が強く、症例数も多い当院は、研修医からの人気も高い。2017年の初期研修医マッチングの中間発表では、定員15人に対して、第1希望が24人です。

 職員を大事にする病院であるということも、人気の大きな理由でしょう。医師が記入したり決裁したりしなければならない書類の数が少なく、本来の仕事ができる環境が整っています。患者満足を上げるためには、職員満足が大事、という風土があると感じます。

◎在宅を視野に緩和ケア病棟開設へ

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 2016年度の平均在院日数は11・9日。今年度は10日を切る月もあります。つまり、患者さんが入院する時には退院後のことまで考えて、家族や地域の病院、クリニックとの調整を始めなければ間に合わないのです。

 手術など、当院での治療が終わったら、かかりつけ医にお願いし、また急性期治療が必要になったら当院へ。その連携が非常に重要になっています。

 今年4月〜8月の当院への紹介率は85.3%、逆紹介率は82.1%。2000年にスタートした近隣の開業医の方々との医療連携ネットワークは、登録医師数640人(4月1日現在)になりました。全体での会合のほか、診療科別の意見交換会も開き、つながりを深めています。

 来年には緩和ケア病棟20床を開設し、健診から診断、治療、終末期までの流れが体現できます。「最期は自宅で」と望む患者さんやご家族、それを支える在宅医の先生をサポートする役割を果たしていくつもりです。

日本赤十字社 和歌山医療センター
和歌山市小松原通4―20
TEL:073-422-4171(代表)
http://www2.kankyo.ne.jp/


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