地方独立行政法人 佐賀県医療センター好生館 兒玉 謙次 館長

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職場環境改善とより良い高度医療を両立

【こだま・けんじ】 福岡県立修猷館高校卒業 1978九州大学医学部卒業 同麻酔科入局 1985 スウェーデンカロリンスカ研究所留学 1992 九州大学病院手術部助教授 2008 佐賀県立病院(現:佐賀県医療センター)好生館副館長 2017 同館長

 1834(天保5)年、佐賀藩主・鍋島直正公によって創設された「好生館」。高度急性期・急性期と緩和ケアの計450床を有し、佐賀大学医学部附属病院と並んで佐賀県内の急性期医療を担う「ツインタワー」とも呼ばれる。

 4月、兒玉謙次・14代館長が就任。「医療安全の推進」「感染制御の推進」「人材育成」「職場環境改善」を基本方針に掲げる。

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◎予防と治療両輪で感染を抑える

 副館長だったこの春まで、医療安全管理部の部長を務めていました。事故の一歩手前とされる「ヒヤリ・ハット」の情報収集や改善の提案、医療安全研修会の開催などを通じて事故防止のため努力してきました。

 部長職は後任に引き継ぎましたが、今度は館長として医療事故がない病院づくりに取り組んでいきます。

 「感染制御」では、これまであった感染制御チーム(ICT:Infection Control Team)に加えて、抗菌薬適正使用支援チーム(AST:Antimicrobial Stewardship Team)を今年5月に立ち上げました。

 ICTは、衛生環境の整備や来館者に対する「クリーンハンドキャンペーン」など主に感染症の発生を「予防」する役割。ICTメンバーは週に1回、館内を巡回し、感染対策の状況を確認しています。さらに年に数回、感染防止対策の研修会を開催。派遣などで働くスタッフも含めた全員に受講を義務付けています。

 研修会に参加できなかった人向けに院内でのDVD研修、eラーニングも用意していますが、それでも100%の受講は難しい。当院の職員だけでなく、外部委託している業者も対象としているからです。

 今後はDVDの貸し出しなど、より学びやすいシステムを導入し、受講率を上げることを考えていくつもりです。

 ASTは、抗菌薬の正しい使用によって治療効果を上げたり、薬剤が効かない「薬剤耐性菌」出現のリスクを下げたりする「治療」に関わります。

 今、薬剤耐性菌のまん延が国際的な課題になっています。多くの人が耐性菌による感染症で亡くなる一方、新規抗菌薬の開発は減少。医療者が抗菌薬を正しく使用しなかったことが原因です。

 適切な使用のためには、微生物学や感染症の専門知識を持つ職種の支援が必須です。

 当院のASTは感染症を専門とする医師、薬剤師の16人で構成されています。耐性菌発現を抑制するため、カルバペネム系抗菌薬と抗MRSA薬の使用は許可制。

 そのほかの抗菌薬についても各診療科の医師が処方する種類や投与量、間隔、期間などについて確認し、指導しています。

◎人材育成で「納得の医療」を

 医療を受ける患者さんや家族も、医療を提供する側も、本当は「病気やけがが治ってよかった」と満足したい。しかし、治らなかったり、後遺症が残ったり。時には、亡くなってしまうこともあります。

 「満足」が提供できないならばどうするか。医療者は患者さんや家族に原因をしっかりと説明し、納得してもらわなければなりません。最低限、「納得の医療」を、目指すべきだと思うのです。

 そのために重要なのが人材育成です。資格や知識を持っている、高い技術がある、経験が豊富―。それももちろん大事ですが、本当に必要なのは、患者さんや家族と信頼関係を築ける医療者です。

 われわれは、接遇の研修などを通じて、本当の意味で患者さんから信頼される、社会的常識を備えた医療人を養成したいと考えています。

◎意識改革と機能分担で時間外勤務を減らす

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 職場環境改善の方策の一つが、時間外労働の短縮です。

 まず実現したいと考えているのが、勤務時間後に開いていた院内委員会や会議の勤務時間内での開催です。

 時間内に実施できない理由を職員に聞くと、「仕事が終わってから参加する外部委員がいるので、夜でないと難しい」「勤務時間内に職員の仕事が終わらない」...。医療職は「例外」で、時間外に働くのは当然だと思っている人も、たくさんいると感じます。

 私も職員が患者さんのために一生懸命頑張っていることはわかっています。しかし、残業することなく業務を円滑に遂行するために、私たち自身が意識改革をして、互いに知恵を出し合わなければと思うのです。

 医師などの人員補充はすぐには難しい。そこで、地域での役割分担を明確化し、当院でしかできない急性期医療に集中することで、業務量を削減したいと考えています。

 「好生館に課せられた医療」「好生館にしかできない医療」は高度急性期・急性期医療。しかし実際は、軽症の風邪で来院する患者さんも多くいます。

 今後も、地域の理解を得ながら、紹介患者、入院治療に力を入れていきます。

 疾患によっては当院以外に診療している医療機関が地域に少ないなどの課題もありますが、当院ですべき治療に力を注げたらと思います。

 職員の負担が減り、職場環境が良くなれば、それが人材確保、より良い医療につながっていく。

 職員が生き生きと働き、楽しい毎日を送ることができる体制づくりは、県民のための高度で安心安全な医療に貢献すると思うのです。

地方独立行政法人 佐賀県医療センター好生館
佐賀市嘉瀬町中原400
TEL:0952-24-2171(代表)
http://www.koseikan.jp/


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