支援金で成り立つ助産施設 バリ島・ブミセハット助産院を訪れて

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スカイスターツアーズ社長 高井 英子

【高井 英子】1973年、福岡県出身。大学を中退後、大手企業を経て、親族が経営する旅行会社に就職。24歳の時に休職し、ワーキングホリデー制度でオーストラリアへ。働かずに遊びまわった結果、お金が尽きて帰国し、もとの旅行会社に戻る。2008年からは一般的に聞き慣れず旅行者もあまり訪れない"珍国"の案内人として、世界を駆け巡る日々。毎週金曜日は西日本新聞の夕刊に旅コラムを執筆中。

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中庭を挟んで左の棟が診察室や分娩室。右の棟が入院部屋

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診察室のベッド

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診察室に置いてあった医療器具

 インドネシアのバリ島ウブド地区に、国境を越えて注目される助産院がある。

 その名はブミセハット助産院。助産師のロビン・リム氏が1995年、「赤ちゃんの命に関わることは、同時に一人の母親、一人の子供、そして一つの家族の平和を築くことに貢献できる」という使命の下、開院。リム氏は故郷米国で2011年にCNNのヒーロー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。

 ブミセハット助産院では24時間365日、誰でも安心してお産ができる。7月末、私は小学生から中学生まで6人の子どもを連れて見学に訪れた。

 助産院は2016年10月にリニューアルしたばかり。建物の入り口にはドアがない。白を基調とした開放的な造りは自然と一体化している。中庭があり、小川が流れ、おしゃれな雰囲気はまるでプチホテルのようだ。

 主要な場所以外は土足でも良いが、あまりにきれいで気が引け、院内見学では靴を脱いだ。子どもたちもはだしになってはしゃいでいた。まず診察室と分娩室の質素さに驚く。日本の学校の保健室に近いような、いや、それよりも簡素かもしれない。ベッドは小さく、簡易ベッドのようだ。

 ここでは自然に近い状態で出産をさせるため、モニターはほとんど使わないという。使う時があるならば、緊急時に心音の状態を確認するくらい。

 日本のような最先端技術を駆使した医療機器は全くない。自然分娩のみで会陰切開もしないという。へその緒も切らず、出てきた胎盤とつながったままにして、乾燥するまで待つ。

 お母さんのためには、専門の先生が栄養指導やヨガレッスンを行う。ヨガのレッスン場は鳥のさえずりを聴き、心地よい風を感じながらレッスンできる最高の環境だ。

 ハード面ではなく、ソフト面のケアがとても優れていると感じた。現地に住む日本人の中にも、ここで出産する人もいる。

 助産師は12人で月に30から50人の赤ちゃんが産まれる。入院は第1子が産後2日間、第2子以降は24時間。万が一のことがあれば、提携の病院に搬送するそうだ。

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「珍国の女王」 高井 英子・著
著者がこれまでに訪れた100以上の国と地域のうち、厳選39カ所の旅物語。
2016年10月 西日本新聞社発行 1600円+税

 助産師のほかには栄養士、カウンセラー、事務、広報、清掃、スタッフ管理者など総勢約50人が働いている。その中には学生インターンもいる。安全で安心できる出産場所がなく、悲しむ女性を減らすために、世界中で活躍できる人材も育成するのだ。

 出産すると通常地元の人は2〜3千円を払うという。外国人や裕福な人は6〜7万円。そして貧しい人は無料なのだ。

 ブミセハットは世界中からの支援金で成り立っている。日本の団体も支援しており、団体の看板が掲げてあった。

 私も子どもたちと一緒に支援となるTシャツの購入や、募金をした。子どもたちは自分のお財布と相談しながらできるだけの募金をしていた。出産時に使うきれいなタオルやおくるみ用の毛布も、日本から持ち寄り、提供した。

 保育器のない部屋には生まれたばかりの赤ちゃんとお母さんが寄り添って眠っていた。カーテンの隙間から降り注ぐ穏やかな光に照らされた母子の姿に、人間本来の美しさを見せてもらった気がした。

 今、バリ島は火山噴火の恐れがあり、このブミセハット助産院も避難民を受け入れている。行き場のない人々へ長期的支援を続けるため、支援金を募っているそうだ。


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