愛知県心身障害者コロニー中央病院 吉田 太 院長

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障害医療の拠点を目指して

【よしだ・ふとし】 愛知県立岡崎高校卒業 1982 名古屋大学医学部卒業公立陶生病院 1987 愛知学院大学歯学部附属病院内科学講師 1994愛知県心身障害者コロニー中央病院臨床第一部 2006 同副院長2016 同院長

 心身障害児(者)の医療に取り組む愛知県心身障害者コロニー中央病院。1970(昭和45)年に開院、間もなく50年を迎える。現在、2018年度末の完成を目指し、新病院棟の建設が進む。同院は、中部地区の心身障害児(者)の医療の拠点として期待される。吉田太院長に話を聞いた。

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◎特徴ある施設に病院も併設

 愛知県心身障害者コロニーの敷地は約75万平方㍍。森に囲まれ、天気が良い日は、ジョギングを楽しんでいる人も見かけます。

 この広い敷地内に、医療型障害児入所施設「こばと学園」や、基礎生物学研究を中心とした「発達障害研究所」など、約10の心身障害児(者)のための施設があります。

 その中核施設として、小児期に発症した先天異常症を含む重複障害や発達障害に関わる児童精神科領域の医療を担っているのが中央病院です。

 特徴は、一般的な小児病院とは異なり新生児から成人期以降まで、幅広い年齢の患者さんを診ていることです。

 医療の進歩で、当院の心身障害のある患者さんの平均寿命も大きく伸び、50歳を超える人も珍しくありません。「児者一貫」という言葉がありますが、当院のように心身障害のある人を、ライフステージを通じて診ることができる病院は、全国的にも珍しいのではないかと自負しています。

 また、自閉症などの発達障害においては、愛知県の拠点病院として診断、治療に当たります。併せて、高度行動障害のため、一般病院では対応が難しい患者さんに対する身体的な医療にも対応しています。

 一方で、4人の小児外科医を始め、整形外科、脳神経外科、麻酔科などに常勤医師を配置することにより、疾患の幅を広げています。

◎進む新病院棟の建設

 病院棟建設工事が、順調に進んでいます。2016年の第一期工事では、医療型障害児入所施設「こばと棟」とリハビリテーションセンター棟が完成しました。

 リハビリ棟は、従来の1・3倍の面積を持ち、理学療法室、作業療法室は、2倍以上の広さを有します。訓練用プールも、間接照明などを備えた、大変美しい施設に生まれ変わりました。

 現在は、第二期として、新たな病院棟の基礎工事が始まっています。これから約2年間にわたり、全面建て替え工事を進めていきます。

 2018年度末には、「愛知県医療療育総合センター(仮称)」としてグランドオープンを予定。中部地区の心身障害医療の拠点となることが期待されています。

 5階建ての本館棟の1階は、病院の外来部門を中心としたセンター全体の窓口となります。2階には、管理部門や福祉型障害児入所施設。3階は、児童精神科部門で、外来での診断、治療から入院まで精神科をワンフロアで完結できるように工夫します。4階は内科系と外科系それぞれの病棟と手術部になります。

 5階には、発達障害研究所を配置。臨床と連携しながら、脳と心の発達障害について、さまざまな角度から研究を進めていきます。

◎課題は成人期以降の障害者医療

 成人期以降の方は病気の種類も多彩になり、消化器、呼吸器などのがんや生活習慣病にも気をつけなければなりません。そのような疾患に専門的な医療を提供するにはコロニー中央病院だけでは限界があります。

 今後はこれまで以上に地域の病院で治療を受ける機会も増えると思いますので、地域の医療機関との連携も不可欠です。

 そこで、周辺の基幹病院と協力し、「障がい児者を診る医師」の育成を始めました。

 春日井市近隣の春日井市民病院、公立陶生病院と名古屋大学医学部附属病院の初期研修医の方のうち、希望者あるいは病院によっては全員に、コロニーの病院や施設で1週間の研修を受けてもらうことになっています。

 また、名古屋大学医学部に愛知県が名古屋大学障害児(者)医療学寄附講座を設立しています。ポリクリなどを通じて実技講習と講義には当院の医師が主体的に関わっています。

 これまで障害を理由に救急や専門医療の受け入れを断られていたケースもあると聞きますが、当院の取り組みが問題の解決につながることを願っています。

◎院長としての思い

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 昨年4月に着任してから、職員には「これまで以上に風通しの良い病院にしたい」と伝えています。

 そのためには、情報の共有が大事ですし、「これは自分の部署の仕事ではない」といった感覚ではいけません。

 県直営の病院として各部署間の情報や意思決定が現場にも行き渡るように心がけ、職員が安心して働ける職場にしたいですね。そうなると職員が職場への愛着を感じ帰属意識を持つことができます。

 病院だけではなく、ホテル業でも流通業でも現場で働く人間が職場に愛着を感じていないと良いサービスはできないと思います。

 「コロニーは時間がゆっくり流れている」と言われることがありますが、障害のある方は、不安を抱えていても自分の考えを訴えることが難しく、問題が表面化しにくいんです。それだけに、患者一人ひとりの様子に細かく目を配り、適切な対応をしていかなければなりません。

 一方で、コンプライアンスや医療事故対策などで「ぬるま湯」のような職場ではだめです。毅然とした対応と心のゆとりのバランス感覚が大事ですね。

 新病院の建設に伴い、電子カルテの導入や、組織体制の変革など新たなことにも取り組みます。何かと慣れないことで職員のストレスも増えることでしょう。一方で新病院の建設という、めったにない機会です。チャレンジを楽しむような、そんな気持ちで一緒に乗り切りたいですね。

 20世紀は体の医学が進歩しましたが、これからは脳と心の医学がもっと進歩すべきだと思っています。そのための一助となるような「障害のある人たちに頼りにされる病院」を目指していきたいと思います。

愛知県心身障害者コロニー中央病院
愛知県春日井市神屋町713-8
TEL:0568-88-0811
http://www.aichi-colony.jp/


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