兵庫県立粒子線医療センター 沖本 智昭 院長

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全国唯一の陽子線、重粒子線治療施設として

【おきもと・ともあき】 大阪府立南寝屋川高校卒業 1990 長崎大学医学部卒業 同附属病院放射線科医員 2004 広島県立広島病院放射線科医長2008 山口大学医学部附属病院放射線科講師 2011 北海道がんセンター放射線診療部長 2014 兵庫県立粒子線医療センター副院長 2015 同院長

 陽子線治療と重粒子線治療、両方の治療ができる施設として、2001年、世界で初めて開設された兵庫県立粒子線医療センター。16年間で約8000人を治療。2017年現在も、国内では唯一の存在だ。

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―強みは。

 一番大きな特徴は、陽子線治療と重粒子(炭素)線治療の二つの治療ができること。選択肢が広がるということです。

 両方とも粒子線治療ではありますが、線量の集中性や、細胞の殺傷効果などに違いがあります。

 例えばある肝細胞がんの患者さんが受診します。肝細胞がんの場合、ウイルスの持続感染が原因であることが多く、すでに肝機能が低下していることもあります。このため、肝機能への影響がX線治療より少ない粒子線治療が効果的です。

 治療は、がんの大きさ、位置、ステージ、年齢などを鑑みながら重粒子線、陽子線の2種類の計画を立てます。線量分布を計算して線量分布が優れている方を選びます。

 重要臓器に有害事象(副作用)を起こす線量は判明していますのでそれも考慮します。この場合は、重粒子線による照射の場合は90点、陽子線による照射は95点というように治療計画に差が出ます。もちろん逆の場合も。従ってよりメリットがある治療法を選択するのです。

 入院施設が50床あるのも強みです。

 腫瘍が大きい場合などは、照射期間も長くなり、副作用が出ることもあります。入院治療であれば、通院の負担もなく、病棟に看護師が24時間待機しているので、安心感もあります。

 また、IVR(画像下治療)装置もあり、血管内治療を併用できるので、粒子線治療と併用することで肝胆膵のがんなどに高い治療成績を挙げています。

 何よりも、国内では最も早く陽子線治療と重粒子線治療を始めた施設ですから、長年に渡る実績とノウハウが当院の財産です。

―人材育成の役割もありますね。

 今年8月、大阪市内に新たに陽子線のクリニックが開設。現在、国内には13カ所の陽子線治療施設があります。

 当センターは、全国各地の粒子線治療施設の医師や放射線技師、看護師などを対象に、研修を実施。研修期間が1年間以上に及ぶこともあります。

 研修では、陽子線治療と重粒子線治療の微妙な違いを理解し、使い分けについても学んでもらいます。

 たとえ研修後に働く施設が陽子線施設であっても、重粒子線治療を知ることで、多角的な視点で治療計画を評価することができるようになり、施設の持つ特性を最大限に生かせる力が身につくと思います。患者さんにとってベストな治療プランを考える際には必要不可欠なスキルです。

―2016年4月、小児の陽子線治療が保険診療になりました。

 兵庫県は、2015年から、小児がんに重点を置いた新たな粒子線施設の整備に取り組んできました。今年12月1日には「兵庫県立粒子線医療センター附属神戸陽子線センター」を開設します。

 同センターは、小児がん拠点病院でもある神戸市中央区の「兵庫県立こども病院」に隣接し、渡り廊下でつながっています。

 子ども専門の病院と、陽子線施設が連携する治療施設は国内初です。また、西日本地区としても、初の小児がんの陽子線治療施設ですから、患者さんの期待も大きいと思います。

 治療室は2室あり、1室は子ども専用です。もう1室は、通院可能な子どもに加え成人も対象にした治療をします。

 放射線治療は、成人の場合、治療室に入って10分から20分程度で終了しますが、小児の場合、手順が多く1時間近くかかる場合があります。慣れない環境で、子どもたちに不安を感じさせないよう、治療室にはかわいらしい装飾を取り入れ、モニターではアニメが見られるようにします。

 医師など十数人のスタッフが、当センターから新センターに異動します。両センターで同じ電子カルテシステムとTV会議システムを導入し、症例検討なども実施。連携して治療に取り組みます。

―近畿地方で陽子線施設が増加。新たな取り組みなどは。

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 神戸陽子線センターは、神戸市の中心地である三宮駅に近いポートアイランドに開設。新幹線の新神戸駅、神戸空港も近い便利な立地です。

 阪神地区から患者さんの増加も見込まれます。

 最近では、中国や、韓国の患者さんが増加するなど、新たな需要もあります。特徴ある二つの粒子線治療施設をフル活用し、アジアの粒子線治療の拠点と言われるような、ベストな治療を目指したいですね。

 特に、当センターが得意な肝胆膵系に対するがん治療では、今年6月に新たな取り組みをスタートしました。

 神戸大学医学部附属病院肝胆膵外科の医師と近隣のIHI播磨病院の消化器内科医師が毎週1回来院し、キャンサーボードを実施することで最適な治療法を提供できる体制が整いました。

 当院の放射線治療医と神戸大学の消化器外科医が連携することで、外科医が手術できないところは粒子線で、粒子線が苦手なところは手術で、というようにそれぞれの得意な部分を生かしながら、より高い治療成績を目指したいと考えています。

兵庫県立粒子線医療センター
兵庫県たつの市新宮町光都1-2-1
TEL:0791-58-0100
https://www.hibmc.shingu.hyogo.jp/


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