くじらグループ 医療法人青峰会 上村 神一郎 理事長

  • はてなブックマークに追加
  • Google Bookmarks に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • del.icio.us に登録
  • ライブドアクリップに追加
  • RSS
  • この記事についてTwitterでつぶやく

新たな精神科医療に挑戦し続ける

【うえむら・しんいちろう】 愛媛県立八幡浜高校卒業 1977 帝京大学医学部卒業 1978 同精神科 2004 医療法人青峰会理事長 2005 医療法人青流会(2011年に青峰会と経営統合)理事長 2010 同くじらホスピタル院長

 くじらグループの前身となる上村医院は、1959(昭和34)年に八幡浜市双岩で開設。以来約60年にわたり精神科病院を中心に、23施設を展開する。

 2代目、上村神一郎理事長の新たな精神科医療への挑戦とは。

c14-1-1.jpg

◎海外で受けた衝撃

 1962(昭和37)年、父で前理事長の弘光が、八幡浜市五反田に「八幡浜精神病院」を28床で開設。こぢんまりとした家庭的な雰囲気の病院でした。

 私は大学卒業後、いずれは後継者として病院を運営したいと考え、当グループに入職。1980(同55)年、30歳の時でした。

 八幡浜精神病院は増床を続け、この時、病床数は279床になっていました。

 大学から八幡浜に戻る直前、私は世界の精神科医療の実情を知りたいとスペイン、ブラジル、アメリカなどを旅し、精神科病院を見学しました。

 各国とも、開放型の病棟が中心の運営で、患者さんは、一般社会の中で生活を営んでいました。保護を目的とした日本の精神科病院との違いを知り、衝撃を受けました。

 この経験は、後の病院運営に大きく影響を与えることになりました。

◎新たな道筋を模索

 八幡浜に戻ると、私は「病棟の開放化」「入院から外来中心へ」を目指し、「訪問看護」「生活訓練施設」といった福祉施設の開設に取り組みました。合わせて「授産施設」など、就労サポートのシステム作りにも力を入れました。

 1987(同62)年、精神保健福祉法が施行されました。法律では精神障害者の人権擁護、社会復帰の促進がうたわれています。精神科医療を取り巻く環境が、大きく変化した時期でした。

 しかし現実には当院を開放型病院にすることは難しく、地域住民からの反対の声もありました。特に前理事長とは、精神科医療に対する考えが異なり、意見がぶつかることもしばしばありました。

 父の時代は、精神障害者を隔離するのが当たり前。一方で、患者さんを「隔離によって社会から守る」という強い思いを持っていたようです。

 しかし、私は安全であっても、閉鎖された空間ではなく、人間として社会に出て暮らすことが、幸せにつながるという考えを持っていました。

 海外で見た精神科病院での取り組みは、日本でも必ず実践できると信じていたのです。

◎病床を減らす

 1987(同62)年に八幡浜精神病院の病院長に就任。それまで私が思い描いていた精神科医療を推進しました。

 1991年には、「くじら病院」に改称。病院がある五反田地区が通称「くじら地区」と呼ばれていることが由来です。

 1993年には病床を減らし始めました。入院ではなく、地域で暮らすことを考えると、大規模な病院は必要ないと考えたのです。一方で、ニーズが高まっていたデイケアや療養型施設などの建設を進めました。

 現在のくじら病院は99床。ピーク時の4分の1程度になりました。

 ここに至るまでには、職員の意識改革、地域住民への丁寧な説明など、多くの努力が必要でした。精神障害者であっても、チャンスがあれば、社会の中で生活を営む適応力がある。身を持って感じたことが、私の支えとなりました。

 八幡浜の体験は、次の目標につながっていくのです。

◎地域の医療ニーズに応えて

 1994年には八幡浜市真網代(まあじろ)に「真網代くじらリハビリテーション病院」を開設。現在、回復期リハ病棟(60床)、療養病床(29床)、地域包括ケア病床(31床)そして、認知症療養病棟(60床)で運営しています。

 2018年には、くじら病院との統合を予定。新病院名は「真網代リハビリ精神病センター(仮称)」です。真網代くじらリハビリテーション病院の建物に機能を集約する計画です。

 八幡浜地区は、高齢化が進行し、認知症の患者さんも増加しています。リハビリテーション医療と精神科医療を融合化した病院をつくり、地域の医療ニーズに対応したいと考えています。

◎子ども食堂を計画

 減床によって、くじら病院には、空きスペースが生まれました。有効に活用して、地域に貢献できることをしたいと考えています。

 そこで計画しているのが「子ども食堂」の運営です。親の代わりにはなれないけれど、おいしい食事を朝から食べられる場所があれば、子どもたちに「安心」は与えられると思います。来年1月初旬の開設を目指します。

 精神科医療にとって、子どもの心の発達の問題は大きなテーマ。食堂を通して、子どもの心に関わっていきたいですね。

◎関東地区での展開も

c14-1-2.jpg

 東京都江東区に、2006年「くじらホスピタル」を立ち上げました。

 もともと、出身大学も東京でしたし、子どもに対する精神科医療に興味がありましたので、子どもの数が多い関東地区で開院したいと考えたのです。

 摂食障害、人格障害、児童思春期に特化。精神科病院ではなく一般病院92床で、患者さんを治療しています。

 くじら病院では、患者さんと社会の接点を保ちながら治療をすることに力を入れましたが、東京でもその経験を生かすことができました。

 外来で多くの患者さんを診るうちに気付いたのが、家族の問題でした。精神科の病気は、そのほとんどが、家族の構造の問題だと考えるようになったのです。

 臨床心理士や作業療法士などと一緒に、患者さんの家族の背景や生い立ちに焦点を当て、その方の生きづらさをどう解決するかを考えた医療を提供しています。

 開設から12年。東京での挑戦は不安でしたが、患者さんの成長と一緒にわれわれも成長することができています。

くじらグループ 医療法人青峰会
愛媛県八幡浜市五反田1-1046-1
TEL:0894-22-2309(くじら病院)
http://www.kujira.biz/


九州医事新報社ではライター(編集職)を募集しています

楽採で医師の採用を「楽」に!

博多水引×九州医事新報

バングラデシュに看護学校を建てるプロジェクト

人体にも環境にも優しい天然素材で作られた枕で快適な眠りを。100%天然素材のラテックス枕NEMCA

一般社団法人メディワーククリエイト

日本赤十字社

全国骨髄バンク推進連絡協議会

今月の1冊

編集担当者が毎月オススメの書籍を紹介していくコーナーです。

【草水 敏[原作] 恵 三朗[漫画]】
イメージ:今月の1冊 - 73.フラジャイル 病理医岸京一郎の所見
フラジャイル 病理医岸京一郎の所見

Twitter


ページ上部へ戻る