国家公務員共済組合連合会 広島記念病院 宮本 勝也 病院長

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強みを生かした病院へ

【みやもと・かつなり】 修道高校卒業 1984 広島大学医学部卒業同第一外科入局 1985 県立広島病院小児外科 1987 広島大学医学部第一外科 1992 米国ミネソタ大学留学 1994 広島記念病院外科 2015 同病院長

 広島記念病院は広島における消化器疾患のトップランナーを目指すと同時に在宅医療・介護の充実のため、地域包括ケアシステムの一役を担うことを目標に掲げている。

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―昨年、消化器センターを開設しました。

 専門性を打ち出した特徴のある病院へと変化し、他の病院との差別化を図っていくことが求められています。

 当院は消化器を得意としています。それをさらに強化したいとの思いで開設したのが、県内初の消化器センターです。内科、外科の垣根なく、疾患ごとに専門医が診断、治療に当たるのが特徴です。

 科をまたがる症例や、診断や治療について意見が分かれる症例を対象に、週1回、内科、外科、放射線科で合同カンファレンスを実施。各患者にとって、最善だと思われる方法を導き出しています。

 上部・下部消化管、肝胆膵などすべての臓器について、議論するため、医師は専門領域以外の疾患に対しても、理解が深まり、視野も広がっています。

 センター化が当院スタッフの知識・技術の向上にもつながり、それがさらに患者さんに還元できる。良いサイクルができていると実感しています。

 当センターでは「安心で苦痛のない内視鏡検査」の提供を心がけています。内視鏡・エコー室では胃カメラ、大腸カメラと超音波検査を実施。また食道がんや大腸がんに対する内視鏡下粘膜切除(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などもしています。 

 今秋、内視鏡・エコー検査室の改築工事をスタート。2019年の完成を目指しています。

 消化器センターを地域の開業医や住民にもっと知ってもらうために、診療内容を紹介した冊子を制作中です。12月完成予定で、開業医には無料配布。書店でも500円で販売する予定です。

―地域包括ケアシステムにおいて貴院が果たす役割はなんでしょう。

 今後の医療政策がどのように変化していくか、先行きが不透明な状況です。人口減に伴い、患者数も減少していくでしょう。そんな中で当院が生き残るために何をすれば良いかを真剣に考えなければなりません。

 広島記念病院は、2015年4月、地域包括ケア病棟を51床で開設しました。

 地域包括ケア病棟では急性期を脱して病状が安定したポストアキュートの患者さんや、在宅療養中に入院が必要になったサブアキュートの患者さんを受け入れています。

 今後は、サブアキュートの患者の受け入れに、より力を注いでいきたいと思っています。国の方針で、自宅や施設で医療を受ける患者が増えています。地域包括ケア病棟は、在宅医療を担う開業医の先生の後方ベッドの役割を果たします。在宅で療養する患者の家族を支えるため、レスパイト入院も積極的に受け入れていきます。

 病診連携強化の取り組みの一環で、毎月1回、地域の医療従事者を対象とした地域医療従事者研修会を院内で開催。毎回80人前後の方に参加していただいています。

 「医療安全」「リハビリ」など、毎回テーマを決めて、それぞれの専門家、職種をお呼びして講演してもらいます。このような活動を通じ、地域の医療従事者のスキルを高めるとともに、連携を強化したいですね。

 市民公開講座も年に4回開催。副院長で内科医の隅井雅晴先生が中心になって取り組んでおり、毎回100人強の人が参加しています。

 地域の小学校では、当院の看護師が子どもたちに手の洗い方を指導する「手洗い実習」を定期的に実施。教職員にはAED(除細動器)の使い方などを指導しています。

―医師を志したきっかけを教えてください。

 私の祖母が脳卒中で、叔父の家で長期間自宅療養をしていました。

 毎週のように祖母に会いに行っていて、祖母のような人を助けたいと思うようになったのが医師を志した最初のきっかけでしょうか。

 広島大学の医学部卒業後、外科に進みました。外科を選択した理由は、手術の成否がハッキリとわかるからですね。

 患者さんが元気に退院する姿を見ると、「この仕事を続けてきてよかった」と心から思います。

 職員には「なぜ医療従事者を志したのか」という原点を忘れずに仕事をしてもらいたいと思っています。そのため新人の面接時には必ず各々の「志」を聞くようにしています。

 常に患者さんの立場から物事を考えて、患者さんを自分の親だと思って接してもらいたいというのも願いですね。

 私の医師としてのモットーは「患者さんに寄り添うこと」です。広島大学第一外科時代の恩師である教授は、常々「ベッドサイドに行けば患者さんの様子がわかる」と語り、患者さんのベッドサイドに行くことを何よりも大事にされていました。この姿勢は広島大学第一外科に脈々と受け継がれています。私自身、休日であっても、患者さんのことを考えない日はありません。「若い人に任せれば」と言う人もいますが、こればかりは若いころから体に染み付いた医師としての習慣です。その習慣はなかなか抜けませんね。

 若い外科医全体に言えることですが、チャンスをもらえて当然だと思っている人が実に多い。

 しかし、先輩の手術を見て盗むような積極的な姿勢をもっと持ってほしいと思っています。

 今の時代、手取り足取り教えることが主流だと思うし、当院でもそうしています。でも受け身ではなく、もっと技術の習得にどん欲になってほしいのです。

 人の手術を見て覚えることはとても重要です。当院に来て、自分自身がそれまで一度もやったことがない手術をする機会がありました。でも、以前に大学病院で先輩がやるのを見て覚えていたので、苦もなく執刀することができました。

―職員との接し方で心がけていることは何でしょう。

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 最近、精神的に不安定になってしまう新人職員が増えてきたように感じます。

 看護師の場合、1人で患者さんを4、5人診ないといけないので、パニックになったり、自分の無力さに絶望したりする人が多いのです。まだ新人なので、それも仕方ないことだと私は思うのですが、本人はそれに対して納得ができないのでしょう。

 私は職員とすれ違ったときにはできるだけコミュニケーションをとるようにしています。職員の心配事を取り除いてやるのも院長の仕事だと思うからです。

 ただあまり期待を前面に押し出すとプレッシャーになりかねません。さじ加減を考えないといけませんね。

 今でも外来、手術をしています。院長と外科医、二足のわらじですね。前院長は引退するまで、現場に立たれていました。

 私にとって現場に立って患者さんの診察、治療をすることは働くうえでの原動力になっています。

 引退するまで、まだ10年以上あります。いつまでできるかは分かりませんが、これからもできる限り現場に立ち続けていきたいですね。

国家公務員共済組合連合会 広島記念病院
広島市中区本川町1-4-3
TEL:082-292-1271(代表)
https://www.kkrhiroshimakinen-hp.org/


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