久留米大学医学部外科学 乳腺・内分泌外科 唐 宇飛 准教授

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最新、最良の治療をバランスよく

【とう・うひ】 1990 久留米大学医学部卒業 2001 米国国立がんセンター(NCI) 2015 久留米大学医学部外科学 准教授・外科部長

 久留米大学外科学乳腺・内分泌外科グループが、大学病院内の独立した診療科となったのは、1988(昭和63)年。九州の先駆けとなり、乳腺疾患分野の治療をリードしている。同グループの取り組みについて唐宇飛准教授に聞いた。

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◎最先端の診療と研究を

 当教室は、乳がんを中心に、乳腺疾患の診断と治療をしています。乳がんは、その治療成績の向上に伴って、生命予後も良くなっています。これにより、患者さんの社会復帰が一般的になっています。

 このため、患者さんの術後のQOLを高める治療法を提供することが重要な課題だと考えています。

 大学としては、社会的要求に応えるためにも、最先端の診療と研究を進めることが使命だと思います。

 外科手術では、標準的胸筋温存乳房切除術、乳房温存手術、センチネルリンパ節同定による腋窩リンパ節郭清の省略など、根治性を保ちつつ、整容性や機能面にも十分配慮した手術を実施しています。

 また、内視鏡補助下の手術やセンチネルリンパ節生検では、近赤外線カラーカメラシステム(HEMS:Hyper Eye Medical System)や、アイソトープ(RI)法を併用することで、手術時間の短縮と整容性の両立を図っています。HEMSによる生検は、これまで、300を超え、これは、九州でも上位の実績です。

 1年ほど前に、乳頭乳輪温存乳房切除術を開始。形成外科とも連携し、整容性と、患者さんの治療に対する考え方を大切にしています。

 術後は、遺伝子診断などで、化学療法の必要性を総合的に判断。できるだけ無駄のない治療を目指しています。

 2016年1月の国立がん研究センターの発表によると、全国の乳がんの5年生存率は92.9%。当講座では、95.9%(2017年3月現在)でした。

◎新たな治療法の研究にも尽力

 化学療法では、新しい標準治療薬を積極的に取り入れています。多施設共同の臨床試験にも参加。治療法の研究にも挑戦しています。

 2015年に設立された本学のがんワクチンセンターと、共同で乳がんペプチドワクチン療法による乳がん治療の臨床試験を進めています。

 ワクチン療法は、手術療法、化学療法、放射線療法に続く第4の治療法とも言われています。

 がん細胞のタンパク質の一部から作られたもので、投与することで、患者さん自身が持っている免疫力を高める治療方法です。自分の免疫細胞を活性化して働かせるため、副作用が少ないことも大きな特徴となっています。

 放射線治療においては、放射線科や九州の陽子線施設と連携。手術をせずに陽子線治療だけで、がんを治療する臨床試験も開始しました。

◎患者中心のチーム医療

 乳がん治療は、患者さんを中心にして、チームで進めるという考えを実践しています。

 がん看護専門看護師などが、患者さんの考え方、性格、家庭環境、生活スタイルについて聞き取りながら、患者さんの気持ちをくみ取ったサポートをしています。

 もちろん看護師だけでなく、放射線技師、臨床検査技師、薬剤師などを含めた多職種で週1回、カンファレンスを開いています。必要に応じて、緩和ケアチームも一緒に話し合います。

 連携病院も含めたカンファレンスにも力を入れています。久留米・筑後地域乳がん診療ネットワークには、現在47施設が登録しています。症例検討などの情報交換をするなど連携も密です。

 大学で治療した後は、連携病院や地域の開業医の先生方に治療をお願いしていますが、手術後の投薬や、患者の状態で疑問があれば、大学に足を運んでくれます。

 患者さんにとっては、連携病院などと大学病院、両方、主治医がいるという形なので非常に安心なことではないでしょうか。

◎乳がん検診にも取り組む

 6月に、福岡県の乳がん検診の方法が改定されました。例えば、視触診は、がんの早期発見には結びつかないということで、乳がん検診からなくなりました。このため、マンモグラフィーのない施設は一次検診施設から外れて、検診施設が少なくなり、現在は不足している状況です。

 そのような背景から、久留米大学病院も検診事業に協力することになりました。6月から、市町村の検診、市民検診も予約制で実施しています。

 福岡県は全国的に見て、乳がんの検診の比率が低く、40位台。しかし、久留米地区の女性は検診に積極的で、県内で上位の受診率を挙げています。当院も、受診率向上に貢献していきたいですね。

◎医師の原点を大事に

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 医師の原点は、やはり患者をしっかり診ることだと思います。われわれも先輩からそう教えられていますし、また、若い世代にも伝えています。

 近年、検査機器の発達で、検査の数値を重視する傾向があります。

 しかし、基本はしっかり患者を診察して、直接患者から話を聴く、症状を診ること。それを忘れないでほしいですね。

◎久留米市で乳癌学会開催

 2018年3月3日(土)、4日(日)の2日間、久留米市のシティプラザで、「第15回日本乳癌(がん)学会九州地方会」を開催します。

 乳がんについて、幅広く研究発表をする他、特別講演や市民公開講座なども予定しています。多くの皆さんの参加をお待ちしています。

久留米大学医学部外科学 乳腺・内分泌外科
福岡県久留米市旭町67
TEL:0942-35-3311(代表)
http://www.kurume-geka.com/clinical/nyusen/


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