宮崎大学医学部 感覚運動医学講座皮膚科学分野 天野 正宏 教授

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次世代の「総合皮膚科医」を養成する

【あまの・まさひろ】 1986 宮崎医科大学医学部卒業1988 同附属病院皮膚科医員 1990 宮崎県立宮崎病院皮膚科医師 1992 宮崎医科大学医学部皮膚科助手1996 宮崎県立延岡病院皮膚科医長 2000 宮崎医科大学医学部皮膚科助手 2008 米国マイアミ大学皮膚科留学 2009 宮崎大学医学部皮膚科講師 2011 同准教授 2015 同教授

 近年の新薬開発に伴い、苦痛やストレスを緩和し、QOLを向上する治療に注目が集まる皮膚科学分野。地域に根ざした「総合皮膚科医」育成への思いを、天野正宏教授に聞いた。

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-医局の特徴は。

 宮崎大学医学部附属病院は、重症患者を受け入れる「最後の砦(とりで)」です。19床の皮膚科の入院ベッドは、常に満床状態です。

 当大学医学部の皮膚科学分野には、13人の医師が所属。日々、皮膚がん切除や熱傷など、外科的なアプローチの必要な患者さんに対して数多くの外科的手術を実施しています。2015年に形成外科が開設された後も、皮膚に関する外科的手術の多くは当皮膚科で担っています。

 当医局の医師は、半数以上が女性です。前教授の瀬戸山充先生の時代から、出産や子育て後も復帰しやすい職場環境づくりに力を入れてきました。医局全体で相互にサポートし合う精神が、しっかり根付いているように感じます。

 医局の体制を維持・安定化するためだけでなく将来、医師を目指す学生にとっても、ライフイベントを経験しながら働き続けることのできる職場環境は魅力でしょう。今後もさらに、医師の働き方改革を進めていきたいと思います。

-地域の傾向は。

 超高齢社会は当皮膚科の臨床現場でも感じます。加齢に伴い、免疫力が低下または異常を起こし、皮膚炎や皮膚がんを発症する患者が増えています。

 高齢者の皮膚がんは、全国的に増えています。その中でも宮崎は、長時間炎天下で作業する農業就業人口が多く、長年紫外線を多く浴びることより、皮膚がんの発症が増えている地域です。

-HTLV-1遺伝子解析の臨床研究について。

 成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)の皮膚浸潤メカニズムの解明は、私の長年の研究テーマです。

 HTLV-1は、ヒトT細胞白血病ウイルス。九州の南西部に多発するT細胞白血病の原因だということが分かっています。

 30年以上前は、原因が分からず、南九州に多い風土病ではないかと言われていたこともありました。今では、母乳感染や輸血が感染経路であることが解明されています。感染に対し、地域における啓発活動や検査が進められ、この病気の患者は減少してきました。

 しかし、根絶したわけではありません。治療方法にはいまだ多くの課題が残っています。急性型の白血病の場合、抗がん剤等の治療を行っても発症後1年間で7〜8割程度の患者が死に至ります。慢性型が急性転化するケースもあり、定期診察での予兆を早期に発見することが重要です。

 慢性型で皮膚に白血病が浸潤する方は、慢性型白血病患者の中でも急性転化する確率が高く、早期に症状が悪化する傾向があります。そこで、皮膚自体に白血病の進行を左右する遺伝子変異がないか、当教室の大学院生や当大学の生化学教室と共同で研究を進めています。

 血液だけでなく皮膚においても白血病を進行させる変異遺伝子を特定できたら、その部分だけに作用する局所療法が可能になります。これにより、全身療法による他臓器への薬剤副作用を防ぐことができ、患者の負担を減らすことができます。

 また、この局所療法は、皮膚疾患を有する患者にとって強いストレスを誘引するかゆみや皮膚潰瘍などの症状の進行にも効果があるのではないかと期待しています。

-皮膚科医療の最先端治療について。

 近年、ステージⅣや再発・転移した進行期の皮膚がん患者の生存期間を延長させる「免疫チェックポイント阻害剤」と呼ばれる画期的な新薬が登場しました。

 新薬には、さまざまな副作用があり、自己免疫疾患にり患することが多いため、注意深く経過をみる必要があるものの、がんの進行を大幅に遅らせる効果を実感しています。

 悪性黒色腫の治療を目的に研究が始まったこの新薬は、後に肺がんなどの固形がんの患者にも有効だということが分かりました。最近、他の教室の先生から、この新薬を使用した治療方針や副作用の対処法などの相談を受けることが増えました。

 皮膚科の領域にとどまらず、より幅広い医療に寄与できることをうれしく感じています。

-皮膚科医の魅力は。

 専門医になって30年余り。内科的疾患か外科的疾患かを的確に見分ける力が必要な皮膚科医は、「奥が深い」と今でも感じます。

 今、広い知識と応用力を兼ね合わせた、いわば「総合皮膚科医」が求められていると思います。

 近年の皮膚疾患に対する新薬の開発スピードはますます加速し、治療のアプローチも多様化しています。現在の皮膚科医は、さまざまな新薬や治療法に精通し、個々の患者で治療法を検討するスキルが欠かせないのです。

 内科的アプローチと外科的アプローチの双方の視点による治療が、皮膚科医の醍醐味(だいごみ)です。

-皮膚科医を目指す若い医師にアドバイスを。

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 若い先生に「新しい皮膚科医像」を確立してほしいと心から思います。私が皮膚科医になったころに比べると、治療の幅は格段に広がっています。目の前の病状だけでなく、患者の意思も尊重した治療方針を組み立てる時代です。

 広くコモンディジーズを学び、さまざまな分野に興味を持っていただきたい。その上で専門性を身につけ、大学院での研究も選択肢に加えてもらいたいと思います。臨床をやりながら研究することで、専門性に大きな幅が生まれます。病状の個人差にも、柔軟な対応が可能になるでしょう。

 患者の苦痛や不安を和らげることに大きな喜びを感じる医師になってほしいと思います。

宮崎大学医学部 感覚運動医学講座 皮膚科学分野
宮崎市清武町木原5200
TEL:0985-85-1510(代表)
http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/home/derma/


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