公立玉名中央病院 中野 哲雄 企業長・病院長

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新病院が2021年開設 玉名の医療が変わる

【なかの・てつお】 1977 熊本大学医学部卒業同整形外科入局 1979 熊本市立熊本市民病院1980 水俣市立湯之児病院 福岡整形外科病院1981 熊本中央病院 1983 公立玉名中央病院2004 同副院長 2009 同病院長 2011 同企業長

 昨年9月、「公立玉名中央病院新公立病院改革プラン」が公表。玉名地域にある二つの病院(公立玉名中央病院、玉名地域保健医療センター)が経営統合し、2021年、新病院の開設が予定されている。誕生に向けた第一ステップとして、今年10月、「地方独立行政法人くまもと県北病院機構」が発足。プロジェクトが本格的に走り出す。

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◎スペースが足りない!

 新病院開院までのスケジュールとしては、2018年4月に玉名郡市医師会立玉名地域保健医療センターと経営統合し、2021年に新病院が竣工(しゅんこう)、3月オープンを目指します。建設予定地は九州新幹線・新玉名駅の近く、玉名小学校の跡地です。既存の2病院は解体することになります。

 当院の現状を整理すると、建物のキャパシティーとスタッフ数とのバランスが取れていないという問題があります。過去、増改築を実施してきたものの、22の診療科、60人ほどの医師が勤務する想定では設計されていなかったのです。

 医師たちは極めて狭い空間で外来診療にあたっており、科によっては必要な機器を持ち込むことができないなどの不都合が生じています。4月に皮膚科を新設したのですが、2人の医師に対して診察室が1室。非効率な医療をせざるを得ません。

 また、医療ニーズに対して、医師はまだまだ不足しています。確保に動きたいのですが、現在の建物では受け入れることが難しい。

 当院と玉名地域保健医療センターの医療圏を合わせると、人口はおよそ10万人。住民のみなさんとしては、病院により多くの診療科をそろえてほしいという思いでしょう。

 公立病院という性格上、採算性を少々度外視してでも、期待に応えるのが望ましい姿ではないかと考えています。できるなら、すぐにでもいくつか増やしたい科がありますが、それもかないません。

 診療面に限らず、駐車場にも余裕がなく、患者さんが車を停めるまでに10分、20分かかることも珍しくありません。少しでも空きをつくろうと、職員の車通勤を禁止したほどです。

 現状は悩ましいことばかりなのですが、新病院が完成すれば、さまざまな問題が解消します。前向きな話ができるのも、堅実な経営を推し進めてきた結果だと思っています。

◎「迷わない」病院に

 新病院は、一般病棟312床、回復期病棟90 床の計402床。急性期医療を中心とした基幹病院です。大きな課題であった駐車場のスペースも、患者さん専用に370台程度を確保する予定です。

 二つの病院の医療資源を集中させることで、職員1人あたりの負担が軽減されますし、夜間の救急体制の充実なども期待できます。

 最大の魅力は、「広くなる」という点に集約されると思います。

 一般的にまずイメージする病院の機能といえば、きっと高度な医療機器が並ぶ様子でしょう。実は「広さ」というのは、質の高い医療を実現する上で、大切な機能なのです。来院して気持ちよく過ごせたかどうか、空間設計によって受診の満足度はずいぶん変わるでしょう。

 また、私が重視しているテーマの一つとして、「高齢者が受診しやすい病院」、そして「迷わない病院」をつくりたいと考えています。

 新病院は市街地からやや離れた場所に建ちますので、これまでよりも時間をかけてお越しになる患者さんが増えることになります。

 交通網が発達した都会とは違って、数分おきにバスが運行しているわけではありません。診察後も、しばらく院内にとどまっていただくことになる。そう考えると、居心地の良い待合スペースが必要でしょう。また、スムーズにバスを利用できるよう、バス停を新設する場所も、市としっかり協議しなければなりません。

 外来患者さんの傾向を調べると、ほとんどの方が採血を受けます。受付、採血室、診察室の距離をできるだけ近づけ、患者さんの移動のストレスを軽減したいと思っています。

 また、職員の動線の工夫は、医療の効率化につながります。経営的には、ここをどう徹底できるかで、収支に大きな差が生まれるのではないかと思っています。

 病院という施設は、あまり「行きたくない場所」でもあるわけです。ご高齢の方、疾患のある方には当たり前に通う場所であっても、若い方などは、なかなか足が向かない。

 交通手段や距離的なアクセスだけでなく、受付の雰囲気やスタッフの対応なども含めて、広い捉え方で「アクセスしやすい病院」が理想です。

◎総合医の育成拠点

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 2015年、当院は熊本大学医学部附属病院地域医療・総合診療実践学寄附講座の教育拠点病院となりました。講座の教員が常駐して医師、研修医、学生たちのトレーニングに取り組むとともに、当院の総合診療科の業務を支援しています。

 高齢化によって複数の疾患がある患者さんが中心になった今、対応する職員たちも「どの科に案内したらいいのか」と、判断に迷うことが多くなりました。また、専門性の細分化が進んだことで、「自分の得意な領域以外は診療できない」という医師も増えています。

 結果、良質な医療を提供するためにいくつもの診療科の医師が、1人の患者さんを診なければならないという状況が続いていました。

 幅広く、一定程度の深い知識も持ち合わせている総合診療科の医師なら、1人で診療できます。実際、複数の疾患があるといっても、それぞれの重症度はあまり高くない患者さんがほとんどです。かなりの割合の患者さんが総合診療科で診察を受け、完結しています。

 地域医療に求められる「なんでも診る」が実践できていますので、教育拠点になったことで得たメリットは非常に大きいですね。また、講座の本来の目的である「教育の場」として、充実したトレーニング環境を提供できているのではないかと思います。

 将来的には、講座出身の医師が熊本県内の各地で診療に従事し、医師不足解消に貢献してくれたらと願っています。

 当院が教育拠点としての実績を重ねていけば、講座の規模が拡大され、もっと多くの総合医を志す医師たちを受け入れる場に発展する可能性も広がるでしょう。このプロジェクトは新病院でも引き続き取り組み、総合医の育成に協力していきます。

公立玉名中央病院
熊本県玉名市中1950
TEL:0968-73-5000(代表)
http://www.tamana-chp.jp/


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