済生会長崎病院 衛藤 正雄 院長

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「坂の町」に密着した医療を

【えとう・まさお】 1981 長崎大学医学部卒業 長崎大学医学部整形外科 1982 長崎労災病院1983 北九州総合病院 1984 山口県立中央病院 1987 長崎大学医学部整形外科 2008 長崎大学医学部整形外科准教授 済生会長崎病院副院長兼整形外科主任部長 2015 済生会長崎病院院長

 済生会長崎病院は来年、前身の診療所の開設から数えて80年を迎える。205床はすべて個室。「入院特化型の急性期病院」を掲げてきた。医療を取り巻く変化に対応するべく、課題解決と新たな体制構築が進む。

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◎活性化する院内

 当院の基本方針は五つ。「地域に密着した急性期病院」「救急医療を推進する」「医療人の育成に力を入れる」「職員の成長と活力を大切にする」「最高品質を求めて変革していく」です。

 基幹型臨床研修病院である当院は、今年度、初めてフルマッチを達成。初期臨床研修医4人を採用しました。長崎大学病院との「たすきがけ」を含めて、常に10人ほどの研修医が勤務しています。

 また、2014年に開設した長崎大学病院外来・救急医療教育室の初期臨床研修機関に指定されています。

 室長の長谷敦子教授が研修医とともに当直勤務。1次・2次救急の経験を積む場となっています。幸い高い評価を得ており、当院での研修を希望する声が増えていると聞いています。

 ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などで口コミが瞬時に広がる時代です。「済生会長崎病院の職員食堂が安くておいしい」といった一面も、当院の魅力の一つとして認識されているようですね。

 やはり、若い人が増えると病院が活性化することを実感しています。指導するドクターたちも、「自分もしっかり勉強して教えよう」という気持ちになります。

◎変化の4月

 4月、急性期病棟の一部を地域包括ケア病棟(41床)に転換しました。2018年度に診療報酬と介護報酬の同時改定が控え、地域医療構想による病床数の削減、地域包括ケアシステムの構築が進む中、このタイミングで転換しておくべきだと判断し、準備を進めてきました。

 在宅復帰に向けて十分な時間をかけてリハビリをしたいという声や、レスパイト入院へのニーズも高まっています。地域に密着した病院として、より患者さんの要望に応えていける土台ができ上がったと思います。

 同じく4月、昨年10月から休診していた腎臓内科と人工透析内科の診療を再開しました。14ユニットを備えた腎透析センターで、入院・外来患者さんの透析治療を受け入れています。

 医師の確保の関係から空白期間ができてしまい、患者さんを他院に移さざるを得ませんでした。今、少しずつ患者さんが戻ってきている状況です。

 高齢化で透析の需要は高く、認知症を合併している患者さんの割合も大きくなっていくでしょう。当院の全部門で、認知症専門看護師の育成にも力を入れているところです。

 虚血性心疾患の治療も再開にこぎ着けました。こちらも医師が不在の期間があり、心臓カテーテル治療を休止。春、長崎大学から循環器専門医が着任したことで対応できるようになりました。

 もう一つ、新たに病理診断科を開設したことも大きな変化です。

 ずっと外部の先生に依頼していましたが、診断件数の増加などを理由に、引き受けるのが難しいということになったのです。病理専門医が勤務できることになり、検査室を設置。4月から稼働しています。また、整形外科医を2人増員できたことで、救急医療の体制も強化できました。

 当院のドクターの数は、総数としては決して少なくはないと思います。しかし、どの診療科も常に充足しているかというと、そうではない。

 医師の確保では長崎大学との連携を維持しつつ、人を引きつける職場づくりを進めていかねばと考えています。

 方針の一つ「職員の成長と活力を大切にする病院」の面では、女性職員を中心にワークライフバランスの推進を本格化させています。

 総合診療科、整形外科、産婦人科、麻酔科では、ドクターの事情に合わせた当直や日直の免除、時間を制限した勤務形態を導入しています。

 看護師も時間制限や夜勤免除などの希望に沿って、うまく職員の負担を分散させながら働けるよう配慮しています。24時間対応の院内託児所も併設しています。

 以前と比べて女性医師が増え、看護師はほとんど女性。仕事と家庭の両立を支援できる環境は欠かせません。産休や育休を経て、また戻って働きたいと思える病院を目指します。

◎みんなのために

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 私の専門である整形外科の分野で言えば、高齢者の増加に伴い、骨粗しょう症を要因とする脊椎の圧迫骨折や大腿骨の骨折が目立ちます。4月、骨粗しょう症の検査の精度向上のために骨密度測定装置を導入しました。

 年に数回、当院内で市民に向けた公開講座を開いています。整形外科が担当する回では、骨粗しょう症、ロコモティブシンドローム予防の運動、骨折後のリハビリのポイントなどを伝えています。

 長崎市の高齢化率は全国平均をやや上回っており、「坂の町」とも言われる地形です。みなさんが住み慣れた地域で元気に暮らすために、足腰のケアや予防法をどう発信していくか、私たちも知恵を絞らねばなりません。

 広域の役割としては、九州の自然災害が頻発するようになり、災害拠点病院として即座に動けるよう準備しています。

 今年、DMATを1チームから2チームに増強予定。また、長崎市内の医療機関で、有事を想定した連絡網強化の協議を進めているところです。

 「最高品質を求めて変革していく」を実践していくために、新しいことをどん欲に取り入れ、医師のスキルアップを心がけています。

 最高の医療を提供するためには、最先端の医療を知ることが大切です。職員の学会や勉強会への参加を奨励しているほか、当院で積極的に取り組んでいる内視鏡治療関連の機器なども、職員の要望を吸い上げ、できるだけ最新のものを揃えるようにしています。

 個人の活動として、私は長崎県ラグビーフットボール協会の会長も務めています。事務的な決裁のほか、試合に派遣するドクターの選定や、監督を対象にしたドーピングの講義など、メディカル面の業務も担っています。

 職員との会話の中でも、ラグビーに例えた話が多いかもしれません。根底にあるのは、有名なフレーズですが「One for all, All for one(1人はみんなのために、みんなは1人のために)」の精神だと思います。

 腕の立つドクターが1人いても、周囲のスタッフと力を合わせることができなければ、医療は成り立たない。

 医療者も、患者さんも含めて「みんなのために」頑張ることができる人を、当院は求めています。

社会福祉法人 恩賜財団済生会支部 済生会長崎病院
長崎市片淵2-5-1
TEL:095-826-9236(代表)
http://www.nsaisei.or.jp/


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