宮崎大学医学部 内科学講座 神経呼吸内分泌代謝学分野教授 会長 中里 雅光

  • はてなブックマークに追加
  • Google Bookmarks に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • del.icio.us に登録
  • ライブドアクリップに追加
  • RSS
  • この記事についてTwitterでつぶやく

【10月宮崎市】第55回日本糖尿病学会九州地方会
糖尿病診療は今、新たなるステージへ

【なかざと・まさみつ】 ラ・サール高校卒業 1980 宮崎医科大学医学部(現:宮崎大学医学部)卒業 2003 同内科学講座神経呼吸内分泌代謝学分野教授

 10月13日(金)、14日(土)、宮崎市で「第55回日本糖尿病学会九州地方会」が開催される。学会長を務める中里雅光教授に、学会の狙いなどについて聞いた。

k8-1-1.jpg

◎節目の学会「新たなステージ」へ

 今地方会は55回の記念大会です。テーマは「糖尿病診療は今、新たなるステージへ」としました。糖尿病診療や研究の目覚ましい進歩と将来の展望を共有できればと希望しています。

 基調講演には、韓国の女性医師、キム・ミンセオン教授を迎えます。

 キム教授は、血糖や体重のコントロールにおける脳の重要性を、分子生物学的な視点で研究。臨床もしながら、研究でも多くの業績を挙げています。

 日本でも女性糖尿病専門医が増えています。仕事と家庭を両立するキム教授からは、キャリア形式といった点でも参考になる話が聞けます。

 特別講演では、ビッグデータをもとに人間の行動を解析し、生活習慣病の予防につなげようと研究に取り組んでいる吉原博幸先生(京都大学名誉教授)が、最先端の研究をお話しされます。

 門脇孝先生(東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授)は、糖尿病診療と研究の最前線についてお話しされます。

 記念シンポジウムでは、南昌江先生(医療法人南昌江内科クリニック院長)、栗林忠信先生(社会医療法人同心会古賀総合病院名誉院長)、荒木栄一先生(熊本大学大学院生命科学研究部代謝内科学分野教授)の3人のシンポジストにそれぞれの立場からお話しいただきます。

 南先生は、ご自身がⅠ型糖尿病で、糖尿病の専門医でもあり、マラソンもされています。医療者にとっても示唆に富んだ話が聞けると思います。

 総合病院の専門医としての立場からは、栗林先生の話を伺います。最後に、荒木教授から、最新の臨床や研究についてお聞きします。

 それぞれ、立場の違う3人ですから、糖尿病の治療において、果たす役割は自ずと違ってきます。これらのお話を、同時に聞ける貴重なシンポジウムになると思います。

 その他にもシンポジウムは3つ、教育講演は6つ、ホットトピックスが2つ、県民公開講座も企画しています。また、今回は九州外からも計11名の演者が来宮されます。

 「糖尿病と社会の関わり」のシンポジウムでは、厚生労働省と司法の立場からの講演もあります。

◎懇親会も充実

 13日の夜、九州糖尿病内科の歌ナンバー1を決める「55スターズ」によるライブショーがあります。医師5組が登壇。生バンドの前で歌唱力を競います。

 今学会では、広報にも力を入れてきました。宮崎の魅力をたっぷり伝えるプロモーションビデオを作製。私が企画・制作・監督しています。PR動画の一部は、学会ウェブサイト(http://www.c-linkage.co.jp/jdskyu2017/)でも見ることができます。

 参加者は、約2000人を予定しています。

 糖尿病の新しい展開、次のステージに向けた研究や臨床の話を、楽しみにしていてほしいと思います。

◎日本内分泌学会学会賞

 今年の4月、「生理活性ペプチドの同定と機能解析、臨床応用」に関する研究で、日本内分泌学会の学会賞を受賞しました。「どうして人はものを食べるのか」を原点とした、食欲のメカニズムについての研究です。

 普通、人間は空腹を感じ、ものを食べます。しかし、空腹でない状態でも食べることができます。おいしいものを食べている時や、「別腹」と言っている時が、それに当てはまります。

 「健全な食欲」と「快楽的な食欲」と言えるかもしれません。

 糖尿病や肥満の患者さんにとっては、この快楽的摂食が大きな問題です。食欲の乱れが糖尿病に繋がる可能性を、臓器と脳の関係で研究してきたのです。

 単純に言うと、そもそも「お腹が空いた」というメカニズムが実は良く分かっていませんでした。お腹が空いているという状態を、脳が感じているというのは一体どういうことなんだろうかというわけです。

 今回、動物実験などを中心に研究を進めました。それによると、胃がからっぽになると、神経を介して、脳にシグナルを送っており、そのシグナルになるホルモンが、「グレリン」だということを突き止めました。

 グレリンが神経を介して、「お腹が空いてるから何か食べましょう」というシグナルを脳に送っているわけです。

 一方、グレリンという空腹シグナルが無くても、食べることもわかりました。食べたことによって心地良い、嬉しいという感覚をより得られれば、グレリンとは関係なく食べ続けるのです。

 今後は、肥満や食べ過ぎる人の快楽的な食欲の回路を、人為的になくすことができないだろうか、という視点で、次の研究につなげていきたいと考えています。

第55回日本糖尿病学会九州地方会

【基調講演】

k8-1-2.jpg

Min-Seon Kim 氏(Division of Endocrinology & Metabolism, Departmentof Internal Medicine, University of Ulsan College of Medicine,Prof.)

【特別講演】

門脇孝氏(東京大学大学院医学系研究科 糖尿病・代謝内科教授)吉原博幸氏(京都大学名誉教授、宮崎大学医学部附属病院 前病院長)

【記念シンポジウム】

南昌江氏(医療法人南昌江内科クリニック院長)、栗林忠信氏(社会医療法人同心会古賀総合病院名誉院長)、荒木栄一氏(熊本大学大学院生命科学研究部代謝内科分野教授)

会期:10月13日(金)・14日(土)
会場:フェニックス・シーガイア・リゾート
学会事務局:宮崎大学医学部内科学講座 神経呼吸内分泌代謝学分野
学会HP:http://www.c-linkage.co.jp/jdskyu2017/


九州医事新報社ではライター(編集職)を募集しています

九州初の地下鉄駅直結タワー|Brillia Tower西新 来場予約受付中

九州医事新報社ブログ

読者アンケートにご協力ください

バングラデシュに看護学校を建てるプロジェクト

人体にも環境にも優しい天然素材で作られた枕で快適な眠りを。100%天然素材のラテックス枕NEMCA

暮らし継がれる家|三井ホーム

一般社団法人メディワーククリエイト

日本赤十字社

全国骨髄バンク推進連絡協議会

今月の1冊

編集担当者が毎月オススメの書籍を紹介していくコーナーです。

【今月の1冊, 今月の一冊】
イメージ:今月の1冊 - 88. AI vs. 教科書が読めない 子どもたち

Twitter


ページ上部へ戻る