長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 呼吸器内科学分野(第二内科)教授 日本化学療法学会西日本支部総会 会長 迎 寛

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【10月長崎】第87回日本感染症学会西日本地方会学術集会/第60回日本感染症学会中日本地方会学術集会/第65回日本化学療法学会西日本支部総会
感染症対策の最前線を届ける

【むかえ・ひろし】 1985 長崎大学医学部卒業 長崎大学医学部第二内科医員 1993 宮崎医科大学第三内科助手 1997 カナダブリティシュコロンビア大学留学 2003 長崎大学医学部・歯学部附属病院呼吸器内科講師 2009 産業医科大学呼吸器病学教授 2015 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科呼吸器内科学分野(第二内科)教授

 第87回日本感染症学会西日本地方会学術集会(会長:岡山大学病院感染症内科・草野展周教授)、第60回日本感染症学会中日本地方会学術集会(会長: 金沢医科大学臨床感染症学講座・ 飯沼由嗣教授)、第65回日本化学療法学会西日本支部総会(会長: 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科呼吸器内科学分野[第二内科] 迎寛教授)が10月26日(木)〜28日(土)、長崎市内で開かれる。

 3学会合同開催のテーマは「進化する感染症学と化学療法〜魅力ある領域への展開〜」。迎寛会長は「長崎は感染症診療のメッカとも言われ、専門としている医師も多い。若い医師の関心が高まるきっかけになれば」と話す。

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◎高齢者を切り口にした新たな肺炎診療

 感染症にかかわるさまざまな問題点を取り上げ、広い領域を網羅できるよう、多彩なプログラムを用意します。

 特別講演の一つ目は、今年4月に日本呼吸器学会が公表した「成人肺炎診療ガイドライン2017」作成委員会の委員長を務めた河野茂先生(長崎大学理事・副学長)が登壇。新ガイドラインが肺炎診療に及ぼす影響をお話しいただきます。

 私も作成委員として携わった新ガイドラインは、かなりインパクトがある内容になったと思います。

 肺炎診療には、成人市中肺炎(CAP)、成人院内肺炎(HAP)、医療・介護関連肺炎(NHCAP)のタイプ別に、それぞれの診療ガイドラインが用いられてきました。 新ガイドラインはこれらを統合。治療方針をフローチャートで示すなど、単純・明瞭化しました。

 最大の特徴は高齢者の肺炎を切り口にして、「個人の意思やQOL」を尊重した治療とケアを盛り込んだ点です。

 肺炎は日本人の死因の第3位で、死亡者の約95%が65歳以上の高齢者。超高齢社会に入り、医療現場では、誤嚥(ごえん)性肺炎を繰り返す患者さんや、終末期の肺炎患者さんへの対応が大きな課題となっています。

 治すことを第一にするのではなく、ご家族とも相談して、それぞれの患者さんに合った方法でケアしていく時代です。ガイドラインがその一助となればと思います。

 二つ目は、齊藤厚先生(佐世保同仁会病院院長)による「糞線虫症」の講演です。

 糞線虫症は、線虫が十二指腸に入り込んで肺炎などを引き起こす疾患です。主に沖縄・奄美地方に見られます。

 齊藤先生は、ノーベル医学・生理学賞を受賞した北里大学特別栄誉教授・大村智先生が開発した感染症治療薬・イベルメクチンを応用した糞線虫症撲滅に注力。その活動を語っていただきます。

 三つ目の特別講演の演者は喜田宏先生(北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター特別招聘教授、長崎大学感染症共同研究拠点長)です。鳥、季節性、パンデミックなど、新型インフルエンザ対策のポイントを示してもらいます。

◎世界的に議論される「耐性菌」対策の必要性

 感染症に対する化学療法の観点では、抗菌薬が効かない「薬剤耐性菌」の問題が世界的に議論されています。

 耐性菌拡大の背景として、患者さんの不適切な薬の使用の増加があります。定められた量や期間を守らずに使用することで、菌は死滅を免れ、耐性を獲得してしまうのです。1980年代以降、院内を中心に耐性菌が増えていきました。

 感染症が主要な死因ではなくなるにつれて、世界の薬剤開発の主流は、継続的な使用が見込める非感染性疾患(NCDs)に移行。新たな抗菌薬の開発は減少の一途をたどっています。

 そこで、日本は「薬剤耐性(AМR)対策アクションプラン2016-2020」を策定。国の垣根を越えた「ワンヘルス・アプローチ」の視点に立ち、耐性菌の発生、拡大を防ぐための取り組みを進めています。

 医療機関の「院内感染対策チーム」設置の推奨、感染症サーベイランス(薬剤耐性菌の感染発生動向調査)の実施、国際協力などです。

 耐性菌の問題は人間界にとどまりません。

 抗菌薬は家畜の飼育でも使用されています。家畜の健康を守ることが目的ですが、不適切な使用で耐性菌が人間の生活環境にも増殖し、感染するケースがあります。動物に対する抗菌薬管理の必要性も高まっているのです。

 こうした問題を提起する教育講演として「新しい薬剤耐性菌の出現とその国際的動向」を予定しています。

◎遺伝子解析で見えた菌と疾患の新たな事実

 従来、感染症の検査は菌を培養して検討する手法を用いてきました。

 近年、まだ現場での応用には課題があるものの、流れは遺伝子解析による検査・診断へと向きつつあります。

 肺炎は、まだ原因菌が半分程度しか特定されていないと考えられるなど、原因菌が分かっていない感染症が多々あります。遺伝子解析の技術が進化すれば、今の医学ではつかみきれない、未知の原因菌が発見できる可能性があります。

 次世代シーケンサーによるマイクロバイオーム(細菌叢)解析で、個人の腸にどのような遺伝子の菌が存在しているのかが分かるようになりました。

 細菌叢の変化と疾患のかかわりの研究が進み、肥満、糖尿病、ぜんそくなど、さまざまな関連が指摘されています。シンポジウムでは、まさに最先端の解析技術に触れることができます。

 感染症入門的な「症例から学ぶ感染症セミナー」やワークショップ、研修医の研究発表の場など、若い方に向けた企画も用意しています。

 感染症の分野を志す医師は、全国的に多くはありません。この学会が興味を持つきっかけになればと思っています。

 医師に限らず、看護師、薬剤師、臨床検査技師といった幅広い職種が学べる講演などを準備。実際の臨床で役立つ知識を提供します。

 院内感染の対策はチームで取り組まなければ成立しません。職種を超えた連携強化につなげる場としても活用してもらえればうれしく思います。

3学会合同開催概要

【特別講演】

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  • 新しい肺炎診療ガイドラインは、肺炎診療にどのような影響を与えうるか?
    演者: 河野茂
  • 大村智博士開発のイベルメクチンによる糞線虫症撲滅の記録
    演者: 齊藤 厚
  • 鳥インフルエンザ、パンデミックインフルエンザと季節性インフルエンザ対策の要
    演者: 喜田宏

【シンポジウム】

  • 進化する遺伝子検査と感染症診断
    司会:栁原克紀、石井良和
    演者:賀来敬仁、鈴木匡弘、松村康史、飯田哲也

会期:10月26日(木)~28日(土)
会場:長崎ブリックホール
代表事務局:長崎大学病院呼吸器内科(第二内科)
HP:http://www.c-linkage.co.jp/wm-jciid2017/


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