静岡県立静岡がんセンター 高橋 満 病院長

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患者視点をもとに次世代のがん医療に挑戦

【たかはし・みつる】 静岡県立沼津東高校卒業 1980 名古屋大学医学部卒業 1994 愛知県がんセンター中央病院整形外科医長 2002 静岡県立静岡がんセンター整形外科部長2008 同副院長 2017 同病院長

 2002年に開設した静岡がんセンター。県のがん医療を支える役割を担うとともに、先進的な取り組みで国内のがん医療をリード。新患者は約7千500人(2016年度)と、国内のがん専門病院のトップ3を維持し続けている。4月、3代目として就任した高橋満病院長に抱負などを聞いた。

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―がん専門の病院として、全国でも高い評価を受けています。その理由は。

 地方の病院でありながら、一定の実績を挙げられているのは、大変有難いことだと思います。

 1997年に当院の基本計画がまとまり、その後、建物ができる前から、山口建総長や玉井直前病院長たちと共に、当院のコンセプトについて議論しました。

 結果、患者さんの視点を重視することをもとに理念を決めました。「がんを上手に治す」「患者さんと家族を徹底支援する」、そして「成長と進化を継続する」の三つです。

 今では、患者さんの視点を大事にするという考え方は比較的一般的ですが、15年前は先進的だったと思います。

 例えば、20年前は、手術後の根治率や生存率といった数字が重視されていました。しかし、われわれは、サバイバーの治療後のQOLに目を向け、低侵襲な治療を目指しました。

 われわれの「がんを上手に治す」という理念には、患者さんが、がんの治療後も日常生活に困らない。また、たとえ命が助からなくとも、人生を「上手に」全うしてもらえる。そのような治療を目指そうという気持ちが込められています。

 掲げた理念を、具体的に実践してきたことが、多くの評価につながっていると思います。

―今後目指すがん治療や具体的な計画は。

 当院が目指した理想のがん医療は、常に先進的なものだったと自負しています。

 しかし、今は、全国の多くの病院が、より低侵襲な治療を目指し、患者や家族を支援しようとしています。ですから、従来のやり方を続けているだけでは、今のがんセンターの立場を維持することはできません。

 2016年度から2024年度に向け、「新10カ年計画」を立て、実践しています。

 治療面で特に注力するのが、より低侵襲な外科手術の推進です。

 まず、低侵襲治療センターを中心に、内視鏡下手術に引き続き力を入れます。内視鏡的粘膜下層剥離(はくり)術(ESD)においては、3000例を超える症例数を持つ小野博之副院長が、引き続きこの分野をけん引してくれると思います。

 手術支援ロボット「ダビンチ」の手術にも力を入れており、大腸がんでは、全国トップ(121件・2016年度)でした。胃がん手術での保険適用なども見据え、今後もスキルアップに努めます。

 同時に、外科手術時の医療安全という視点を大切に、スタッフの養成、研修を進めます。

 高齢者のがん医療も、10カ年計画の柱です。

 高齢者の場合、一番の問題は体力面です。患者さん一人ひとりへの対応が重要だと考えます。

 自宅から入院した高齢者が、せっかく手術を受けたにも関わらず、術後に合併症を引き起こして、別の病院に転院し、自宅に戻れなくなる。そんな事態にはならないようにと思います。

 当院では、初診の段階で患者さんの情報を本人や家族から収集。入院後にどういう生活を送りたいのかを多職種で共有しながら治療を進めています。

 今年7月に拡充した「患者家族支援センター」には専任のスタッフが常駐し、よりきめ細かな対応をしていきます。

―AYA(Adolescentand Young Adult)世代のがん治療にも力を入れていますね。

 思春期から若年成人を指す「AYA世代」は、がん医療の中でも隙間の世代と言われ、社会的にも問題となっています。

 小児科や整形外科で治療する希少がんが多く、これまでは命さえ助かれば良い、という治療が中心でした。治療後のQOLや心のケアまでは手が回っていないのが実状です。

 当院では、開院後すぐに、CLS(チャイルド・ライフ・スペシャリスト:米国などで専門教育を受講した認定資格)という子どもの心のケアにあたる専門職を導入、昨年は、国内初のAYA病棟を設置しました。

 AYA世代のがんの生存率は骨肉腫を例にあげると、この30年間で、20%から70%と急速に伸びています。一方、治療の難しさや、治療によって起こりうる障害の問題などでどうしても孤立しがちです。

 病院をあげてきちんとサポートすることがわれわれの役目ですので、当事者、家族の座談会なども毎年開いています。

―人材育成についてはいかがですか。

 当院のがん治療の特徴は、多職種によるチーム医療です。このため医師はもちろんメディカルスタッフの教育、研修に力を入れています。

 2008年には独自の「多職種レジデント制度」を設立。看護師、薬剤師などの13の職種に対し、当院ががん医療のスペシャリストを養成します。研修期間は2年間。これまでに約30人が研修を終え、全国各地のがん医療に貢献しています。

 また、特に、看護師に対しては、日本看護協会の協力を得て、がん看護に特化した認定看護師の養成施設を病院に併設しました。多くの養成施設は大学にあり、病院が、このような養成施設を併設している例は国内にはほとんどありません。

 当院では、がん化学療法看護分野、がん放射線療法看護分野、乳がん看護分野など五つの分野で、年間計約60 人の認定看護師を養成します。

 学校の教員は、当院の看護師のため、現場は人員減となり大変です。しかし、それぞれの職種が、専門的知識とスキルを持つことで、各職種の立場から専門的な意見を言うことができる。それによって本当の「多職種によるチーム医療」が成り立ちます。

―新病院長としての思いは。

 私の役割は、当院の理念を守りつつ、かつ15年間に当院が培ったものを大切にしながら、さらに先進的な取り組みを進めることだと思います。新しい方向に進むためには、軌道修正も必要かもしれません。

 そういう意味では、強いリーダーシップというよりは、むしろ組織の調整が、私の大きな役割になるのかもしれません。

―ご自身は整形外科医ですね。

 専門は肉腫、がんの転移です。2018年7月には、第51回日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会の学会長を務めます。会場となる静岡県の良さも伝えたいと考えています。

静岡県立静岡がんセンター
静岡県駿東郡長泉町下長窪1007
TEL:055-989-5222
https://www.scchr.jp/


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