徳島市民病院 三宅 秀則 院長

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「ここにあってほしい」と思ってもらえる病院に

【みやけ・ひでのり】 岡山県立朝日高校卒業  1983 徳島大学医学部卒業 同附属病院医員(研修医) 1984 阿南共栄病院外科1985 徳島県立三好病院外科 1987 徳島市民病院外科 1989 町立海南病院外科医長 1990 金磯病院外科 1991 米国スタンフォード大学留学(Postdoctoral fellow) 1992 米国ピッツバーグ大学移植外科研修 1995 徳島大学医学部附属病院助手 2002同講師 2004 徳島市民病院外科主任医長 2014 同副院長 2015同がんセンター長兼務 2016 同院長

 2015年にがんセンターを開設した徳島市民病院。初代がんセンター長でもある三宅秀則院長に、がんセンターの特徴と地域における病院の在り方、そして地域住民・地域医療への思いを聞いた。

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―2010年に地域がん診療連携拠点病院の指定を受け、5年後にがんセンターがオープン。開設の理由は。

 「がん」と言っても、患者さんの状態や置かれている環境、悩みはさまざまです。

 当院のがん手術件数は年間600件超。その数以上にいるがんの患者さん一人ひとりに最適な医療と支援を提供するため、チーム医療をさらに強化する必要がありました。

 そこで2015年4月、がんセンターを開設。多職種の専門スタッフが意見を出し合って治療方針を決定するだけでなく、地域の医療機関との連携を密にすることで、診断から治療、退院後のケアに至るまで、くまなくカバーできる体制を整えました。

―がんセンターの特徴を教えてください。

 「腫瘍外来の開設」「キャンサーボードの充実強化」「緩和ケア病床の設置」、それに「あんしんカードの交付」。この四つを柱としています。

 腫瘍外来は、腫瘍内科、腫瘍外科、血液腫瘍内科、腫瘍精神科、緩和ケア外来の5診療科で構成。がんと診断された初期の患者さんを全人的に診る、いわゆる「がんの総合診療科」のような位置づけです。

 ここでは、術前・術後の口腔ケアにも力を入れています。2015年には、徳島県歯科医師会とがん患者歯科医療連携合意書を締結。口腔ケアを充実させたことで、術後の肺炎など感染症の予防に大きな効果が出ています。

 そのほか心のケアやがん検診、看護師や社会福祉士によるがん相談も、腫瘍外来で実施しています。

 二つ目の「キャンサーボードの充実・強化」は、多職種による効率的で効果的な治療方針の確立が狙いです。これまでは参加人数も少なく低調だったのですが、がんセンター開設を機に活発化していこうと、現在は週に1度、医師や看護師、理学療法士、栄養士といったがん治療に関わる職種のスタッフ約50人が一堂に会し、症例検討会を開催。それぞれの職種から見た患者さんの様子を報告して共有したり、治療の方向性を検討したりしています。

 緩和ケア病床は、当院最上階の11階、その中でも一番眺めの良い場所に開設し、5床からスタートしました。

 2016年4月には24床に増床。今年6月に緩和ケア病棟専任医師が入ったことで、厚生労働省の定める緩和ケア病棟の基準をクリアできました。

 当初は、在宅で過ごす患者さんが一時的に入院する場、という考えで始めましたが、実際は緩和ケア病棟で看取るケースが多くなっています。在宅に移行しようとしても、核家族化や共働き家庭の増加で、難しい場合が多いのです。

 現在、徳島県内でほかに緩和ケア病棟があるのは徳島県立三好病院(三好市)、近藤内科病院(徳島市)。当院は徳島市内の公立病院としては初めて緩和ケア病棟を開設しました。現在はこの3カ所のみで、他県と比べるとやや遅れているのが実情です。

―「あんしんカード」とは、どういうものなのでしょうか。

 がん患者の中で、救急診療を必要とする可能性があると担当医が判断した患者さんに、「あんしんカード」を渡しています。

 「この患者さんは、24時間365日、急変時は徳島市民病院で受け入れます」という意思を表示したカードで、大阪の和泉市立病院の取り組みを参考にしました。

 当院が連携するクリニックは医師1人のところがほとんどです。がんの患者さんが当院を退院し、在宅に戻る際、逆紹介をしようとしても、急変時に対応が困難だからと断られることが少なくありませんでした。

 このあんしんカードを渡しておくと、急変時に入院できる「バックベッド」があるという安心感から開業医の先生も受け入れてくれやすい。

 「いざという時は徳島市民病院が診る」という安心感があるので、入院中の一時帰宅などをためらう患者さん、ご家族も少なくなりました。

 担当医を含むわれわれ病院スタッフも、何かあったら自分たちで診ることができると思うと、送り出す際の不安が軽くなります。連携する開業医の先生も、患者さんやご家族も、病院スタッフも安心できるから「あんしんカード」。今後、もっと周知して、地域に広げていきたいですね。

―がんセンター開設と同じ年、患者支援センターもできました。その役割は。

 がんセンターの患者支援部門でもあり、治療に関する相談から、福祉制度、介護に関する相談まで、幅広く対応。退院調整や地域連携などの仕事も受け持っています。

 がん患者の就労支援には特に積極的に取り組んでいます。ハローワークと協定を締結。ハローワークの就労支援ナビゲーターが月1回当院を訪れ、患者支援センターで患者の相談に乗っています。がん患者の早期の社会復帰は病院としても大きな目標ですね。

 さらに今年4月には地域や病院の状況もよく知っている、前看護部長が患者支援センターのセンター長補佐に就任。医療連携部門の担当として地域の各医療機関を回り、連携をより充実・強化する試みを開始しました。これにより、紹介・逆紹介が一層円滑になると期待しています。

―病院の今後の展開を。

 病院の中で毎年目標を決めています。昨年はがんセンターの充実。今年は、地域周産期母子医療センターの強化に力を入れていきます。

 当院が扱う分娩数は年間700弱。婦人科腫瘍の手術件数は約220例、そのうち悪性腫瘍の手術件数は約100例と、県内トップクラスです。

 がん治療後の妊娠・出産を希望される方のための「妊孕(にんよう)性温存外来」があるのも特徴です。こういったニーズにも応えていきたいですね。

 7月、第8回病院まつりを開催し、半日で約700人の地域住民の方にお越しいただきました。職員が、来てくださる方にいかに楽しんでもらうかを考えた結果、内視鏡手術機器操作体験、屋上ヘリポート見学ツアーなど充実の内容になったと思います。

 病院まつりに来た子どもたちの中で、医療職に興味を持つ子が少しでも出てきてくれたらうれしいですね。

 病院を改築して8年がたちました。現在、病院の内部をきれいにしていく取り組みをしています。

 例えば、院内の廊下の一部は市民病院ギャラリーとして絵や写真を飾っていますが、こちらは3カ月に一度、一新します。他にも、バルーンアートが得意な看護師さんが集まり、ひなまつりの時期にはひなまつりのバルーンアートなど、季節に合わせて作ってくれます。病院まつりの時は病院の正面玄関に巨大なアーチ状の作品を作り、来た人を楽しませてくれましたよ。

 市民病院として、救急医療、災害医療をベースに、がんセンター、地域周産期母子医療センター、脊椎・人工関節センターなど、特色ある医療を打ち出していく。地域の皆さんから、信頼され、「ここにあってほしい」と思っていただけるような病院になっていくのが目標です。

徳島市民病院
徳島市北常三島町2-34
TEL:088-622-5121(代表)
http://www.city.tokushima.tokushima.jp/siminbyoin/


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