愛知医科大学 医学部 形成外科 横尾 和久 教授

  • はてなブックマークに追加
  • Google Bookmarks に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • del.icio.us に登録
  • ライブドアクリップに追加
  • RSS
  • この記事についてTwitterでつぶやく

見た目と機能の改善で患者を幸せに

【よこお・かずひさ】 愛知県立明和高校卒業 1978 名古屋大学医学部卒業 1985 社会保険中京病院(現:独立行政法人地域医療機能推進機構中京病院)形成外科医長1987 愛知医科大学医学部形成外科講師 1990 同准教授 2006 同教授

 第二次世界大戦以降、急速に発展してきた「形成外科」。1975年に標榜診療科となり、役割も従事する医師も増加の一途。現在では19ある基本的診療科目の一つとして確たる地位を認められるに至っている。

 愛知医科大学医学部形成外科の横尾和久教授は、形成外科が標榜科となったのとほぼ同じころ、医師になった。「結果が患者さんにはっきりとわかるところが、プレッシャーでもあり、やりがいでもある」と語る。

t9-1-1.jpg

◎0歳からの早期治療「あざ・血管腫」

 形成外科医の仕事は「見た目と機能」の診療。身体の見た目の異常や変形、欠損などを、より正常に美しくするのが大きな役割です。

 守備範囲は、先天性奇形や、がん治療後の欠損・変形に対する治療、重症熱傷、顔面骨折など外傷の治療、アンチエイジングなど多岐にわたっています。

 愛知県下の医学系4大学には、それぞれ形成外科があり、得意分野を持っています。

 私たちの教室の柱の一つは、あざや血管腫の治療です。レーザー治療が広く普及する前の30〜35年前から取り組んできました。東海地区だけでなく全国からも患者さんが訪れます。

 特に、0歳のうちに治療を開始する「早期治療」に力を入れています。

 あざのほとんどは生まれつきです。成長に従って目立たなくなっていく場合もゼロではありませんが、ほとんどの場合は消えません。

 多くの人が消えると思っている青あざの一種、蒙古斑(もうこはん)も、濃い場合は小学生や中学生になっても残り、「修学旅行に行きたくない」という悩みを持つ子もいるのです。

 赤ちゃんの皮膚は、薄くて透明度も高く、レーザー治療の有効率も高いのに対し、年齢が高くなると、それとともに皮膚が厚くなり、レーザーの効きが悪くなります。

 さらにあざの面積は成長によって広がり、治療範囲も拡大します。早期の治療開始は、成長してから治療するよりも、いくつものメリットがあるのです。

 私たちは、あざがある患者さんに最初に接する機会が多い「産婦人科」「小児科」そして「皮膚科」の医師が集まる講習会などに出向き、あざがあったら早めに紹介していただくよう依頼しています。今、私たちのもとには、生後1カ月に満たない新生児も、紹介されてきます。

 ただ、大人になったら治らないというわけではありません。

 青あざの「太田母斑」は、レーザー治療がよく効くタイプで、何十年も悩んで来院された成人の方でも、きれいに目立たない状態になるケースがほとんどです。

◎がん治療後の再起の支えに「乳房再建」

 乳がん手術後の乳房再建にも力を入れています。根治的手術と同時にする一期再建と、術後ある程度経った後に実施する二期再建。さらに自分の組織を使った再建と、人工物(インプラント)を使った再建のいずれにも取り組んでいます。

 自家組織を使う方法と人工物を使う方法、どちらにも、一長一短があります。

 自分の組織を使う場合は、主に腹部の組織を使い、顕微鏡下で血管をつなぐ手術をするため侵襲が大きく、手術時間も約10時間と長くかかります。けれども、感染のリスクが低く、柔らかく自然な形態の乳房が再建可能です。

 あらかじめエキスパンダーを入れて胸の皮膚を拡張してからインプラントに置き換える方法は、手術時間が短く胸以外の部分に傷も残らない一方、異物を入れることによる感染や、年齢を重ねても胸が下垂せず「形の良い乳房しかできない」という課題があります。

 現在は、ひとまずエキスパンダーを入れる手術をし、その後、じっくり時間をかけて自家組織か人工物かを選ぶ人が多くなっています。

 乳がんの術後、上肢のリンパ浮腫に悩む患者さんのリンパ管と静脈を顕微鏡下でつなぎ、リンパ液を静脈に流す「リンパ管静脈吻合(ふんごう)」が増えています。他院からの紹介も多くなり、患者数は一層増加する見込みです。対応できる体制を、さらに充実させていきたいと思っています。

◎眠そうで、眉毛上がって、おでこにしわ 「眼瞼下垂」

 近年、全国的に急速に手術数が増えているのが、「眼瞼(がんけん)下垂」。特徴は「眠そうな目」または「眉毛とおでこを使って目を開けている」ことです

 この眼瞼下垂は、目が開けにくいといった見た目の問題だけではありません。目を大きく開こうと無理をするので、肩こりや頭痛などが起こり、瞳孔が開いてしまうため、まぶしい。さらにおでこにしわができたりまぶたが下がったりして、見た目も老けてしまいます。

 しかも、徐々に進行するので、「年のせい」「なんとなく調子が悪い」と見逃されてきてしまっているのです。

 「コンタクトレンズ使用歴が10 年を過ぎるとなる」と言われ、かゆみなどで目をこする、化粧や洗顔で目元を念入りにこする、目を二重まぶたにするためののりを長期間使用することなどもリスクになります。

 この教室の眼瞼下垂の手術件数は年間100件程度。近年は小学生のころからコンタクトレンズを使ってきた若い患者さんや、花粉症などアレルギーが原因で眼瞼下垂になる患者さんも増えています。加齢によって増える疾患でもあるので、今後も手術件数は増加すると思います。

◎難治性疾患患者の「行き場」に

 私たちのところに「血管腫」だと紹介されてくる患者さんの中に「血管奇形」というカテゴリーの患者さんが混じってくることがあります。

 多くは先天性で、全身のどの部分にも発症します。症状は多様で、治療法も血管奇形の種類に応じてさまざまです。

 血管奇形は、これまで医療人の間ですら、ほとんど認識されないままで、治療の手だてもありませんでした。生涯にわたる治療や管理が必要で、今はまだ「治る」と言える段階ではありません。

 しかし、どういう疾患で、どういう治療方針で進めればいいのかは、患者さんに対して示せるようになりました。放射線科や血管外科と共同で、チームを組んで治療も始めています。

 血管奇形を扱う病院は全国的にもまだ限られ、行き場がない患者さんも多くいます。「ここに来てもらったら治る」と言える日まで、するべきことはまだまだあるのです。

愛知医科大学 医学部 形成外科
愛知県長久手市岩作雁又1-1
TEL:0561-62-3311(代表)
http://www.aichi-med-u.ac.jp/keiseigeka/


九州医事新報社ではライター(編集職)を募集しています

博多水引×九州医事新報

バングラデシュに看護学校を建てるプロジェクト

人体にも環境にも優しい天然素材で作られた枕で快適な眠りを。100%天然素材のラテックス枕NEMCA

暮らし継がれる家|三井ホーム

一般社団法人メディワーククリエイト

日本赤十字社

全国骨髄バンク推進連絡協議会

今月の1冊

編集担当者が毎月オススメの書籍を紹介していくコーナーです。

【2018年6月の1冊】
イメージ:今月の1冊 - 81.オシムの言葉 増補改訂版
オシムの言葉 増補改訂版

Twitter


ページ上部へ戻る