7月22日、23日 第12回小児救急医療ワークショップ in 北九州
7月22日・23日、北九州市のAIM(アジア太平洋インポートマート)で「第12回小児救急医療ワークショップ in 北九州」(主催:北九州市保健福祉局)が開かれた。医師、看護師、研修医、学生など、全国各地から200人余りが参加。講義や実技指導を通して、熱心に知識や技術を吸収した。
北九州市は、主要都市を対象にした環境評価「次世代育成環境ランキング」(NPO法人エガリテ大手前)で6年連続1位(政令指定都市において)を獲得するなど、「子育てしやすい町」のイメージが定着しつつある。
特に高く評価されているのが「小児医療」の充実だ。少子化を背景に、小児科を標榜(ひょうぼう)する病院や診療所は減少傾向にある。
そうした中、北九州市は2006年に「小児救急医療ワークショップ in 北九州」をスタートするなど、実践的な手技手法を学ぶ貴重な機会を提供。小児医療にかかわる医療者のレベルアップや、この分野への関心を高めるきっかけづくりを進めてきた。
今回も、小児医療の第一線で活躍する医師が講師となり、2日間でさまざまなプログラムが実施された。
1日目の講義1は、井上信明医師(国立国際医療研究センター国際医療協力局)が登壇。「小児救急医療の未来を創ろう」と題して講演した。
「アドボカシーという言葉を知っているか」「夜間に軽症者ばかりだった経験はあるか」など、受講者のスマートフォンを活用してリアルタイムにアンケートを集計。うまく「ホンネ」を引き出しながら進行するスタイルに受講者は引き込まれていった。
井上医師が目指す日本の小児救急の未来像は「小児救急専門医」の誕生だという。「米国の小児救急専門医は42分野の専門医の中で、満足度が最も高いという調査結果がある」と話し、「魅力ある小児救急医療を創ろう」と会場に呼びかけた。
講義2は医師向けの「小児救急に役立つ小児腎臓病のエッセンス」(松戸市立病院小児医療センター小児科・小児集中治療科/平本龍吾医師)、講義3は看護師向けの「小児循環器科医からみた小児救急医療」(東邦大学医療センター大森病院小児科/松裏裕行医師)。
2日目は神薗淳司医師(北九州市立八幡病院小児救急センター)の講義のほか、トリアージ演習(定員80人)、腹部エコーのハンズオン(実技指導・定員60人)などが実施された。
ワークショップ座長の市川光太郎・北九州市立八幡病院院長は、「毎年、参加者の要望を反映しながら、講義、ハンズオンの内容に趣向を凝らしている。小児救急医療の今や課題を、さまざまな角度から見つめるきっかけにしてほしい」と話した。