【眼科特集】長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 眼科・視覚科学分野 隈上 武志 准教授

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眼科の救急から慢性疾患まで幅広い領域を学ぶことが可能

【くまがみ・たけし】 長崎県立佐世保西高校卒業 1991 鳥取大学医学部卒業 同附属病院眼科入局 1997 同大学院修了 同附属病院助手 米国ヒューストン大学研究員 2002 長崎大学医学部附属病院助手 2003 同医学部附属病院非常勤講師(兼務) 長崎市立市民病院医長 2005長崎大学講師2012 佐世保市立総合病院部長 2016 長崎大学医歯薬学総合研究科医療科学専攻眼科・視覚科学分野准教授

 長崎大学開学の祖であるポンペ・ファン・メーデルフォールトは1861年、医学伝習所で日本初の系統だった眼科講義をした。

 日本最古の眼科教室である長崎大学眼科・視覚科学分野の隈上武志准教授に教室の取り組みを聞いた。

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◎網膜硝子体手術

 当教室は眼科のほぼすべての領域をカバーしていて、多種多様な手術経験を積むことが可能です。

 北岡隆教授が専門にしている網膜硝子体疾患の手術では、顕微鏡を覗くのではなく、3Dモニターを観察しながら手術するHeadsupSurgery を実施しています。

 当教室では3年前にこの手術システムを導入しました。全国的にもかなり早い時期での導入で、長崎県では当院だけです。

 この手術方法は術者以外の人間も3D画像で手術の見学が可能です。3Dなので、奥行きも把握でき、研修医や若い医師にとって、興味がわくと思いますし、勉強になると思いますよ。

◎難治性緑内障へのチューブシャント手術

 私の専門は緑内障です。

 緑内障を大まかに言うと、眼内の液体である房水の排出が阻害され、眼圧(目の硬さ)が高くなることで視神経が圧迫されて、視野が狭まっていく病気です。治療が遅れると最悪の場合、失明してしまいます。

 治療法としては薬物治療、レーザー治療、手術治療があります。私たちは手術治療の中で、難治性緑内障の患者さんに有効なチューブシャント手術もしています。

 これは人工のチューブを眼に穴をあけて挿入し、房水の排出を促すことで眼圧を下げる手術法です。また最近、日本にも導入された、穴を開けなくてすむ低侵襲緑内障手術の「MIGS」(Minimally InvasiveGlaucoma Surgery)を近いうちに導入する予定です。

◎多焦点眼内レンズによる水晶体再建術

 先進医療である多焦点眼内レンズを使った水晶体再建術を、県内で唯一実施しています。

 白内障の手術は濁った水晶体を取り除き、人工の水晶体(眼内レンズ)を挿入します。それによって、患者さんは視力を取り戻せるのです。

 焦点(ピント)の合う部分が1点だけのものを「単焦点眼内レンズ」、複数のものを「多焦点眼内レンズ」と言います。

 一般的に使われているのは単焦点眼内レンズです。単焦点眼内レンズは、焦点が一つなので、見る対象物との距離によって見え方が異なり、多くの場合は眼鏡の装着を余儀なくされます。

 一方、多焦点眼内レンズは近くも遠くも見やすくなるというメリットがあるのです。

◎羊膜バンク

 昨年12月、日本組織移植学会から当院が「羊膜バンク」の「カテゴリーⅡ」に認定されました。羊膜バンクは「カテゴリーⅠ」と「カテゴリーⅡ」とに分類されています。

 「カテゴリーⅡ」は自施設のみで羊膜の採取・利用ができるカテゴリーです。現在、当院は、採取した羊膜を全国にあっせんできるようになる、より審査基準の厳しいカテゴリーⅠを目指して申請中です。今秋頃までには認可される見込みです。

 羊膜とは妊婦の胎児を包む薄い膜のことで、羊水を保持しています。羊膜は非常に薄いのですが、丈夫です。また抗炎症作用があり、免疫拒絶反応が起こりにくいという性質を持っています。

 結膜や角膜の表面の疾患や結膜の欠損に対して羊膜を移植すると予後が良好なことが分かっています。

◎網膜色素変性症

 失明原因の1位は緑内障、2位は糖尿病網膜症、3位が網膜色素変性症です。

 網膜色素変性症は加齢や遺伝などにより、視細胞が変性し消失していく疾患です。

 緑内障と糖尿病網膜症には治療法がありますが、網膜色素変性症には、現在のところ有効な治療法がありません。

 しかし現在、理化学研究所の多細胞システム形成研究センター(兵庫県神戸市)で研究が進められているiPS細胞由来網膜の臨床応用が実現されれば治療が可能になるでしょう。

◎人材確保が課題

 初期臨床研修で眼科は必修になっていません。もともと眼科に興味がある人は研修に来てくれるから良いのですが、それ以外の研修医との接点がありません。

 必修になっている診療科のように元々興味はなかったが研修をしてみて、眼科の魅力に気付くといったことがないのです。ですから、医学部の臨床実習で、いかに眼科の魅力を伝えるかが特に重要だと考えています。

 人材の確保と育成が急務です。長崎には離島がたくさんあり、それらの病院に医師を派遣しなければなりません。どの科も同様だと思いますが、私たちもマンパワーを必要としているのです。

◎眼科医のやりがい

 今でこそ白内障は治る病気です。しかし私が入局したころは、まだ白内障に対する眼内レンズが保険適用されておらず、分厚いメガネを装着しなければなりませんでした。

 眼内レンズを挿入すると眼帯を取った瞬間に裸眼でも見えるようになります。その時の患者さんの喜ぶ顔を見るのが眼科医としての喜びであり、やりがいですね。

◎今の常識を疑う姿勢を

 私の恩師からの教えですが、若手医師の皆さんには、今ある医療の常識をうのみにせず、絶えず「なんでだろう」という疑問を持っていてほしいと思います。

 教科書に載っていることが真実だとは限りません。医学は日進月歩、今分かっていることが10年後、20年後も正しいとは限らないのです。

 絶えず疑問点を持つ姿勢が重要です。日々の忙しさに流されて、なかなか実行は難しいかもしれませんが、ぜひ心がけてほしいですね。

◎幅広い領域を学べる環境

 当教室は大き過ぎもなく、小さ過ぎもしない、ちょうど良い規模だと思います。

 長崎県南部の最後の砦(とりで)としての眼科医療は、私たちが担っています。また眼科に関するほぼすべての領域を担っています。

 さらに離島が多いこともあり、地域医療も学べます。上五島、下五島に関連病院があって、眼科の救急から外傷、慢性疾患など幅広く経験できます。とても勉強になると思いますよ。

長崎大学大学院医歯薬学総合 研究科 眼科・視覚科学分野
長崎市坂本1-7-1
TEL:095-819-7200(代表)
http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/ophthlml/


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