日本赤十字社 小野田赤十字病院 清水 良一 院長

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切れ目なく地域医療を支える

【しみず・りょういち】 兵庫県立明石高校卒業 1980 山口大学医学部卒業 同附属病院第二外科(現:消化器・腫瘍外科)入局 1981 国立下関病院(現:独立行政法人国立病院機構関門医療センター) 1982山口大学医学部附属病院第二外科 1991 米国ネブラスカ州立大学(移植外科客員助手) 1993 山口大学医学部第二外科講師(学内併任講師) 1996 山口県厚生農業協同組合連合会小郡第一総合病院外科部長 2016 独立行政法人地域医療機能推進機構徳山中央病院外科診療部長 2017 日本赤十字社小野田赤十字病院院長

 人間のいのちと健康、尊厳を守る―。小野田赤十字病院は、その使命の下、病床機能の再編や介護老人保健施設開設などに取り組んできた。

 2010年からの5年間で人口は2000人ほど減少し、高齢化率は31%を超える山陽小野田市。4月就任の清水良一・新院長が現状と今後を語った。

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◎急性期から慢性期まで

 私たちの病院は、前院長の時代から、段階的に医療体系ごとの病床再編と機能分化に取り組んできました。

 再編前は、急性期一般病床132床でしたが、現在は急性期病床24床、回復期の地域包括ケア病床16床、慢性期の医療型療養病床80床と介護型療養病床12床となっています。

 背景には、急速に進む高齢化がありました。

 1966年、日本の人口が1億人を突破した当時、65歳以上の高齢者は700万人程度。全人口の7%ほどでした。現在、日本の総人口は1億2600万人余り。30年先の2047年ごろには、人口は再び1億人にまで減少し、65歳以上は3800万人超、40%近くになる、と推計されています。

 赤十字病院には、いかなる状況でも、「人間のいのちと健康、尊厳を守る」という人道的任務があります。昭和の激動の時代を支えてきた高齢の方々の尊厳を保ちながら最期まで看る。その役割ができる病院にしなければならないという思いが、前院長にはあったのでしょう。

 今後も、急性期から回復期、そして慢性期までを切れ目なく支える役割を果たしていかなければならないと思っています。

◎老健も併設

 1995年には介護老人保健施設「小野田赤十字老人保健施設 あんじゅ」が併設されました。現在、入所定員100人で運営しています。

 介護老人保健施設(老健)は、介護保険法上「看護、医学的管理の下における介護および機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設」と定義されています。

 あんじゅは、要介護高齢者にリハビリなどを提供し、在宅復帰を目指すという性格を持ち、当院の「医療業務の一環」という位置づけです。

 私はここの施設長も兼務しています。最近、和太鼓を使った健康増進・介護予防フィットネスプログラム「エクサドン」を取り入れようと和太鼓を新調しました。有酸素運動と、在宅復帰のために必要な筋力増強に、有用だと考えています。

◎医療から福祉へ

 山口県地域医療構想の2025年必要病床数を見ると、宇部・小野田保健医療圏は高度急性期と急性期、慢性期の病床は現在過剰。回復期は不足、となっています。今後、当院の慢性期病床92床も削減の対象となるでしょう。

 当院を含め、地域の慢性期病床を退院した方の受け皿が必要になる。自宅以外の居住場所としての、特別養護老人ホーム(特養)開設も視野に入れています。

 私たちの病院がシームレスに急性期から慢性期までの患者さんを受け入れると言っても、最後、在宅にまでもっていけなければ、行き詰まってしまいます。

 特養開設はその流れを作り、本当の意味で地域で患者さんを支えるという趣旨を達成するカギになると確信しています。

 ただ、ハードルはあります。老健は医療法人が設置できますが、特養の主な設置主体は地方公共団体、社会福祉法人なのです。

 これから、特別養護老人ホームの開設を日赤山口県支部に働きかけるなどして、支部全体として地域包括ケアに寄与できる組織構築を進めていけたらと思っています。

 さらには地域包括ケアが山口県に根付くまでの間、病院、老健といったわれわれのシステムをフルに使って、地域の人を支えていくことも大切だと考えています。

◎急性期医療に特殊性を

 4月、当院に赴任するにあたって、急性期病床を持つ病院として、何ができるだろう、と考えました。

 私はもともと消化器外科医です。肝移植をはじめ、肝臓外科を専門にしてきました。しかし、近くには山口大学医学部附属病院があり、肝臓の大きな手術は集約されつつあります。山口労災病院、小野田市民病院もあり、大きな消化器疾患の手術をしている。では当院ならではの役割は何か。

 実は、私は痔(じ)核、いわゆるいぼ痔の根治手術も得意としています。その分野に特化して、差別化を図ろうと考えました。6月には肛門科外来を開設。予約制で診療しています。肛門の病気は、潜在的な患者さんも多くいると考えられます。今後、広げていきたいですね。

◎乳がん検診を強みに

 日本赤十字社は健診にも力を入れています。当院にも、年間3000人ほどが健診に訪れます。

 私たちの病院の強みの一つに乳がん検診があります。検診マンモグラフィ読影認定医が4人。うち2人が指導医の資格を持っています。エキスパートが複数いるということは、見落としや不必要な検査を防ぐという意味で、重要なことだと思います。

 国は2017年度、問診とマンモグラフィを検診項目とし、視触診は「推奨しない」としました。視触診が乳がんによる死亡を減らすというエビデンスがないこと、省くことで検診時間が短縮でき受診率向上が期待できることなどが理由です。

 今後、私たちには自己触診の啓発活動という大事な役割が加わります。また公民館で地域の方に話をしたり、自治体の講演会に出向いたりして、市民の方々に自己触診や乳がん検診の重要性を伝えていくのも欠かせない仕事になるでしょう。

 2016年の国立がん研究センターの発表では9万人が新たに乳がんに罹患(りかん)し、1万4000人が死亡すると予測されました。

 女性の12人のうち1人が生涯のうちでかかると言われ、罹患率のピークは40代後半から50代前半。食事の欧米化とともに、出産回数の低下や初潮の低年齢化、閉経の高年齢化など、長期間女性ホルモンにさらされることで、患者数が増加しているのです。

 欧米では減少傾向にあるものの、日本では依然として増加を続けている乳がんは、若くして命を奪われることも多い病気です。検診を通じて、亡くなる人を少しでも減らし、地域に貢献したいと思っています。

日本赤十字社 小野田赤十字病院
山口県山陽小野田市小野田3700
TEL:0836-88-0221
http://www.onoda-redcross-hosp.jp/


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