戸田中央医科グループ 医療法人伊豆七海会熱海 海の見える病院 鈴木 和浩 院長

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QOLを支える慢性期医療を

【すずき・かずひろ】 東京学芸大学附属高校卒業 1989 昭和大学医学部卒業 昭和大学藤が丘病院 1991 国立循環器病研究センター 2001 戸塚共立第2病院 2004 熱海所記念病院 2014 同病院副院長 2016 熱海 海の見える病院院長

 熱海市街と相模湾を望む「熱海 海の見える病院」は、2016年4月、市内の慢性期を担う病院として開設された。開院から1年余り、鈴木和浩院長に取り組みなどについて聞いた。

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―新病院開設の経緯は。

 熱海市は、人口約3万7千人。リゾート地としても有名で、冬暖かく、夏は涼しいという気候のため、暮らしの場としても快適な地域です。しかし高齢化率は極めて高く約44%(2015年度)。高齢化社会の課題に早い時期から直面してきました。

 さらに静岡県東部は、西部の静岡市、浜松市などと比べて病院が少なく、熱海市も例外ではありません。

 市内の急性期病院は、当院の同一法人である熱海所記念病院を含め2カ所のみ。現在当院があるこのエリアには慢性期病院は、当院ができるまでありませんでした。

 私は昨年3月まで、熱海所記念病院に勤務していました。熱海市内では首都圏にご家族がいらっしゃることで老老介護や独居の高齢者も増えています。実際、熱海所記念病院では、退院後の受け入れ先が市内にない患者さんが多く見受けられていました。これまで、急性期での治療を終えたものの慢性期的な治療を要する患者さんがいた場合、隣接する三島市や湯河原市の病院に治療をお願いしていました。

 このため熱海所記念病院としても、また地域医療の観点からも、慢性期病院の必要性が数年前から持ち上がっていました。

 行政の意向もあって、4年ほど前に新病院の建設が具体化することになりました。約2年ほど前には、準備室が立ち上がり計画が動き出しました。

―特徴は。

 患者さんの療養環境も考えて、市内でも少し高台に位置しており、山と海の両方の景観が楽しめるこの場所が選定されました。

 熱海市内に住むご高齢の患者さんが「市内でこんな風景は初めて見た」と感激していました。

 病院は6階建てで112床です。障害者病棟、療養病棟に加え、透析ベッド15床も設けています。

 熱海所記念病院にない機能を持たせようと考え、急性期・回復期の病院では在宅復帰に至るまで改善が得られなかった患者さんを主として診ています。当院で長期療養を経て十分な回復が得られた方は、在宅や施設に移ることになりますが、多くの医療介入を要する終末期の患者さんは、当院で看取りになることもあります。

 多くの患者さんには、住み慣れた町で最期まで過ごしたいという気持ちがあります。その思いに応えていきたいですね。

 療養型の病院というと暗いイメージがあると思いますが、当院はそのイメージを新しい方向へと転換できたと考えています。患者さんからこのロケーションでの長期療養を希望されるというニーズもあります。

―急性期と慢性期を経験して感じたことは。

 急性期と慢性期の病院は、最終的な目標が違ってくると思います。

 急性期は、あくまで疾患を改善し、在宅復帰することを目指しています。慢性期では、長期療養の方のQOLをいかに維持していくことが肝要だと考えています。

 しかし、この1年で感じたのは、現在の療養型病院で求められているのは、限りなく急性期病院に近い医療なのではないかということです。

 従来の慢性期の病院は、終の棲家(すみか)、つまり居住の場としての要素が大きかったが、今はあくまで医療を提供する場でなければなりません。

 超急性期のような手術やカテーテルといった侵襲的な治療は求められませんが、感染症に対する治療や気道浄化、呼吸管理などの治療は、慢性期の病院で行う方向にあります。

 そして、ある程度医療行為の不要な状態まで改善できれば、施設や在宅に戻ることも可能です。

 急性期病院では、在院日数の短縮が求められており、地域包括ケアの完成のためにも、当院のような慢性期病院は急性期病院と有機的につながり、連携を密にしなければならないと感じています。

―課題は。

 医師はもちろん、メディカルスタッフ等の専門性を生かし、チームとして機能することだと思います。医師の場合は特に、ジェネラルでありながら、急性期、慢性期の役割も担わなければなりません。

 たとえ終末期の患者さんであっても、最期までいかにQOLを維持していくかを考えると他職種連携とスキルが問われます。

 例えば、最期まで、自分の口で食べること、家族と散歩ができること、起きた時に景色が見えること。これが、できるのとできないのとでは、QOLとして、大きな差が生じるのではないでしょうか。

―やりがいは。

 これまで、循環器の専門医として、急性期医療に携わってきましたが、そこでは、その時の疾患さえ乗り越えれば良かった。しかしそれは、患者さんの人生のほんの一部でしかなかったと、振り返ってみて思います。

 今は、人生の全般に目を向けなければならないと思っています。医師として、人として、患者さん、ご家族と、向き合うことは、苦しい部分もあります。しかし、お礼の言葉を頂いた時などは、自らの仕事に強い手ごたえも感じています。

医療法人伊豆七海会 熱海 海の見える病院
静岡県熱海市熱海1843-1
TEL:0557-48-7404
http://www.tmg.or.jp/uminomieru/


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