琉球大学大学院 医学研究科医科学専攻 整形外科学講座 金谷 文則 教授

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日本最高レベルの  整形外科医療を提供

【かなや・ふみのり】 埼玉県立熊谷高校卒業1978 新潟大学医学部卒業 同整形外科入局1987 Hand&Micro Fellow(U of Lousville,Kentucky) 1991 琉球大学医学部整形外科助教授AO fellow(Kantonspital Basel,Switzerland)1994 琉球大学医学部附属病院理学療法部長1997 AOA/JOA(米国/日本整形外科学会)Traveling Fellow 2000 琉球大学医学部整形外科教授 2003 同医学部附属病院リハビリテーション部長 2010 医師国家試験委員(特別公務員) 2011 琉球大学大学院医学研究科医科学専攻整形外科学講座教授(現在に至る) 2014琉球大学教育研究評議会評議員

 琉球大学の整形外科学講座は1982(昭和57)年に開講。

 金谷文則教授に、教室の取り組みや、会長を務める「第32回日本整形外科学会基礎学術集会」について聞いた。

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◎日本最高レベルの整形外科医療を提供

 開講当初の目標は、「内地と同等の医療をこの地で提供すること」でした。今では、その目標をとうに達成し、同等どころか日本最高レベルの整形外科医療を提供できていると思っています。内地から受診に来る患者さんもたくさんいます。

 沖縄県の人口は144万人で沖縄県全体の整形外科医の数は約250人。全国の整形外科の平均は10万人あたり約20人なので平均より、やや少ない程度です。

 しかし東京の人口が1370万人で、大学の附属病院が15あるのに対し、人口144万人の沖縄県には当院しかありません。ですから整形外科疾患全般にオールラウンドに対応し、かつ、日本最高レベルの医療を維持し続ける必要があるのです。

 県内約250人の整形外科医のうち、230人が県医師会の整形外科医会に加入しています。未加入者の中には、沖縄に来たばかりの人も含まれます。

 加入率92%というのは驚異的な数字です。ちなみに少ない科だと10%台というところもあります。いかに沖縄県の整形外科医の結束力が高いかがわかるでしょう。

◎チームドクターを輩出

 整形外科は運動器を対象とする科です。運動器とは頭部とおなかの中、胸の中、皮膚以外の全身です。日本整形外科学会によると循環器、泌尿器、消化器、呼吸器という言葉を聞いたことがある、という認知度は、一般の人で90%台。一方、運動器の認知度は、なんと54%なのです。今後は運動器に対する理解を深めてもらう努力をしなければならないと思っています。

 教室員の中にはサッカーJリーグ「ジュビロ磐田」のチームドクターやビーチサッカー日本代表のチームドクターがいます。整形外科はスポーツ抜きには語れないのです。

 一般の人が交通事故に遭い手術をした場合、術前の90%ぐらいの状態にまで回復すれば治療は成功だと言えるでしょう。

 しかし、アスリートの場合はけがをする以前の95%の状態にまで回復しても十分ではありません。最低でも100%に戻さなければならないのです。

 さらに、けがをしにくいフォームに矯正するなどして、スポーツ障害の予防にも努めなければなりません。スポーツ整形は、一般の人の外傷や高齢者の骨折と、求められるものが異なるのです。

 スポーツ整形でのノウハウは、他の整形外科医療に還元されます。スペースシャトルやF1マシンの技術が、飛行機や自動車に還元されていることを例に挙げると分かりやすいかもしれません。

 一方で健康寿命も延ばさなければなりません。かつて沖縄県は、日本一の長寿県でした。しかし、現在では首位の座から転落。メタボリックシンドロームの割合は日本一です。

 その要因として挙げられるのが運動不足と食生活の欧米化です。

 生活習慣の改善をしないと長寿県に復活できません。今後、ロコモティブシンドローム予防なども含めた啓発のための市民公開講座などにも力を入れる必要があるでしょう。

 われわれが担うべきことはたくさんあります。子どもからお年寄りまで、さらにはプロスポーツ選手を目指す子たちから現役のトップアスリートまでを担当し、予防、治療、啓発など幅広い整形外科医療に関われるのも当教室の特徴であり、魅力でしょう。

◎マイクロサージャリーのネットワークを構築

 現在、日本マイクロサージャリー学会の理事長を務めています。私が沖縄に来た2001年当時、切断された指などを再接着するマイクロサージャリーができる施設は県内でここの大学病院しかありませんでした。

 しかし、それでは大学から離れた地域の患者さんが指切断の事態となった場合、再接着まで時間がかかってしまいます。それによって、治療がうまくいかないケースも出てしまうのです。

 そこで私は県内7病院にネットワークを構築しました。現在は、沖縄のどこで切断があっても、迅速に対応できる体制が整っています。この7病院はすべて琉球大学の関連病院です。必要であれば、私たちが出向いて手術をすることもあります。

◎「第32回日本整形外科学会基礎学術集会」

 10月26日(木)、27日(金)沖縄コンベンションセンター(沖縄県宜野湾市)で「第32回日本整形外科学会基礎学術集会」を開催、私が会長を務めます。沖縄県での開催は、今回が初めてなので光栄ですね。

 同学術集会は例年、10月第3週の開催ですが、台風を避けるために今回は第4週にずらしてもらいました。参加者は約2000人と予想しています。

 基礎学術集会なので、参加者は専門領域を研究している人が多いのが特徴です。自分の専門以外については、分からないという人も多いので、そういう人たちが集まって意見交換をする場になればと思いますね。

 異種文化、異業種技術交流の場だとイメージしてもらえばわかりやすいかもしれません。

 今学会のテーマは「STANDINGON THE SHOULDERSOF GIANTS」です。これは万有引力の法則などで知られるアイザック・ニュートンの言葉です。この言葉を日本語に訳すと「私がより遠くまで見渡せたとすれば、それは巨人の肩の上に乗っているからである」といった意味です。

 巨人の肩が意味するものは過去の先駆者たちです。現代医学の進歩は、先駆者たちの業績のたまものです。先駆者の肩の上からさらに遠くを見ることで、現時点での整形外科医療の立ち位置が分かります。その上で、日本の整形外科医療の今後の発展について考える集会にしたいですね。

 さらに言えば、この学術集会によって、「THE SHOULDERSOF GIANTS」が今より少しでも高くなり、整形外科学を志す若手医師が、より遠くの地平を見渡すことができるようになれば、と考えています。

琉球大学大学院 医学研究科医科学専攻 整形外科学講座
沖縄県中頭郡西原町上原207
TEL:098-895-3331(代表)
http://w3.u-ryukyu.ac.jp/orthop/


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