公益社団法人 出水郡医師会広域医療センター 今村 博 院長

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医師会病院を中心にした新しい地域医療を

【いまむら・ひろし】 ラ・サール高校卒業 1981 鹿児島大学医学部卒業 1982 鹿児島大学第一外科入局 1996 同助手1998 鹿児島県立大島病院外科部長 2001 鹿児島共済会南風病院外科部長 2006 阿久根市民病院副院長 2017 出水郡医師会広域医療センター院長

 1986年、国は国立病院・療養所の再編成プランを公表。経営移譲の対象となっていた国立療養所阿久根病院は、出水郡医師会によって再生した。2市1町の地域医療を支えるために、ハード、ソフト両面から意欲的な取り組みを続けている。

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―病院の成り立ちを教えてください。

 1989(平成元)年、当院は歴史的な瞬間を迎えました。「国立病院再編特別措置法」(1987年)のもと、出水郡医師会が国立療養所阿久根病院を買い取り、国立病院の民間移譲第1号「阿久根市民病院」が誕生したのです。

 全医労(全日本国立医療労働組合)組合員が病院前に集結し、地域住民も見守る中、10月1日の午前0時に引き渡しが敢行されたのでした。

 当時、阿久根市は医療過疎の状況に陥っていました。医師会の「地域医療を守っていかねばならない」という熱意が、紆余曲折を乗り越えて民間移譲を実現した原動力となったのです。

 もともとは「阿久根市民のために」という思いからスタートした病院でしたが、しだいに出水市、長島町の患者さんも増加。2市1町で構成する出水保健医療圏の中核病院として発展してきました。

 2007年には、現在の8階建ての建物が完成。222床ある病床のうち個室率が40%と、思いきった仕様が特徴です。この地域らしい景色を楽しんでもらおうと、90の個室はすべて東シナ海に面しています。

 2013年、阿久根市民病院は「出水郡医師会広域医療センター」に改称しました。入院患者さんの半数は阿久根市、もう半分は出水市と長島町の方々です。2市1町に対して私たちが負っている責務をあらためて示そうと、名称を変更したというわけです。

 総面積580.55㎢、鹿児島県の6.4%を占める出水保健医療圏に、中核病院は当院と、出水総合医療センター(出水市)の二つ。相互に連携しながら地域医療に取り組んでいます。

―方針は。

 私たちが目指すのは、都市部と同等の高度医療と救急医療を地域のみなさんに届けることです。

 近年では、2015年に手術室を一新。3D鏡視下システムなどを導入し、学習と教育の機能を充実させたラーニングルームも備えています。

 2008年、通常の血管造影装置に加えて、心血管専用の造影装置を増設。2台体制となりました。2016年には2台とも更新しました。

 阿久根市の救急車搬入は、小児科と産婦人科を除き、ほぼ全例を当院で受け入れています。

 毎日、各診療科の常勤医が待機し、必要に応じて速やかに連絡網が機能。患者さんがスムーズに専門科の診療が受けられる体制が整っています。セクション間のつながりが強いことも、当院の特徴でしょう。

 救急車の受け入れ台数は年間で1700台以上(2015年実績)に上ります。救急隊からは「転送率がゼロに近く、誇らしく思う」との言葉もいただいています。

―積極的に新しい仕組みを取り入れています。

 医療現場の質、医療安全の向上を図るにあたり、10年以上前にQC活動(小集団改善活動)を取り入れました。

 さらにPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを活用したカイゼン活動を展開。2005年にはマネジメントシステムの国際規格であるISO9001を取得しました。

 当院では、日本医療機能評価機構の認定も取得しています。こちらは5年に1度の更新ですが、ISOは毎年、審査を受ける必要があります。つまり、常時PDCAサイクルを回しておくことが求められます。審査に通るための「間に合わせの準備」は通用しないのです。

 品質管理をより組織化したものにするために、2010年、TQM(Total QualityManagement)センターを設置しました。品質向上、医療安全活動の全体的な底上げをコントロールする上で、非常に効果的に機能しています。

 電子カルテは2006年に導入。2013年には、医師会が中心となり、2市1町の医療機関がインターネットを介してカルテの情報を共有するシステムを稼働しました。広域で医師会が先導するこのような連携の試みは、全国的にも数少ないと思います。

 職員にも新しいことにチャレンジしようという雰囲気が醸成されています。国立病院の移譲を日本で初めて成し遂げたDNAが、そうさせるのかもませんね。

 組織が成り立っていくためには、「プライドを持って働ける職場かどうか」が問われると思います。ポイントの一つは教育環境でしょう。例えば看護部門は、教育システムのクリニカルラダーを充実させ、各種の研修なども推奨しています。

 専門職ですから「勉強したい」というモチベーションが高い人が多い。そのモチベーションに見合うだけの教育環境の整備に努めています。

 また、24時間対応の院内託児所を設置するなど、働きやすい職場づくりにも力を入れています。大学病院から来たドクターはみんな、「職員の和が保たれていて、とても働きやすい」と言います。こうした評価を聞くと、病院が着実に充実してきていることを実感します。

―今後は。

 私たちは民間でありながら、公的病院と同じ使命があります。緊張感を持続させていることが、病院の進化となって現れているのでしょう。

 公的病院と大きく異なる点は、救急患者を除いて「紹介患者さんのみの受け付け」を徹底できていることです。

 地域の開業医の先生方との役割分担は明確で、国が目標とする地域医療のイメージと重なっています。医師会病院を中心にした新しい地域医療の形を模索し、提示していきたいと思っています。

公益社団法人 出水郡医師会広域医療センター
鹿児島県阿久根市赤瀬川4513
TEL:0996-73-1331(代表)
http://www.akunehp.com/


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