小林市立病院 徳田 浩喜 病院長

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西諸地区の医療を"地域"と共に支える

【とくだ・こうき】 鹿児島県立鶴丸高校卒業 1991鹿児島大学医学部卒業 鹿児島大学消化器・乳腺甲状腺外科学教室(旧第一外科) 2002 小林市立病院(消化器外科、腫瘍外科)2013 同副病院長 2015 同病院長

 小林市を中心にした西諸医療圏の人口は約7万5千人。その中核病院となる小林市立病院は、急性期から回復期までの医療に携わり、幅広いニーズに応える。就任から2年が過ぎた徳田浩喜病院長に話を聞いた。

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◎充実した病院建物

 2009年の秋に新病院が完成。2010年がグランドオープンでした。建物は、地上5階建てで免震構造となっています。

 64列マルチスライスCTや、1.5テスラのMRIなど、最新の医療機器を導入。電子カルテやPACSを導入するなど、IT化も進めてきました。

 二次救急医療機関として救急医療に取り組んでいるほか、災害拠点病院でもあります。大規模災害に備えて、待合室はトリアージ室として使用できるようにしています。

 がん診療にも力を入れています。外来化学療法室は4床あり、2016年度の実績は348件。

 南側の病室からは、霧島連山、北側からは九州山地が見えるなど眺望も大変良く、患者さんから好評です。

◎医師不足を乗り越えるために

 新病院が完成した直後の2010年、鹿児島大学医局の方針で、内科医が引き上げられることになりました。

 当時、内科にいた4人の医師のうち大学の派遣は3人。その全員が大学に戻ることになったのです。

 当院としても、1度に3人の内科医がいなくなるというのは厳しすぎる。そう大学に掛け合った結果、引き上げの時期をずらすなどの配慮はしてもらえました。

 しかし、その後、何度かの再派遣の依頼もかなわず、翌年には病棟の一部を閉鎖する事態になってしまったのです。

 当院の役割は、入院と二次救急を担うことですが、当時の坪内斉志病院長は、これを維持するためには「これ以上医師を減らすことは避けなければならない」と訴え西諸医師会に協力を要請しました。

 医師会は、これに応えて、2010年4月には西諸医師会による夜間急病診療体制や、休日小児科診療体制を整備しました。

 加えて、行政も、この窮状を理解し、2009年に「地域医療対策室」を新設、住民への理解を求める広報活動なども実施しました。

◎住民の新たな活動

 ありがたいことに「小林市立病院の勤務医を守らないかん」と、住民がボランティアで、「地域医療を考える会」をつくりました。2010年7月のことです。これには、われわれも感激しました。

 重症でないのに、自分の都合を優先するために夜間救急などを受診する「コンビ二受診」という言葉があります。

 会では、住民に「コンビ二受診をやめましょう」などといった情報を伝えてくれます。「今、ここに残っている医者が疲弊すれば、ますます出ていく可能性もある」と考え、呼びかけてくれるのです。

 もちろん、それで、当院の勤務医が、すぐ楽になるわけではありません。しかし、住民の方が、そうやってバックアップしてくれているということが、医師にとっては本当に心強いんです。

 私も担当の患者さんから、「昨夜、お腹が痛かったけれど、我慢できそうだったので、今朝来ました」と声をかけられたことがあります。

 今、この会の活動は地域にしっかりと根付いています。

 例えば医学部の学生が授業の一環で実習に来ると、会の方が学生さんを食事会に誘ってくれたり、歓迎会を開いてくれたりするんです。学生は驚き、喜んで帰っていきます。

 現在は、会の人たちと毎月定例会をするようになりました。情報交換をしたり、催しなどをする時には、お互い協力したりもします。

 このような活動が、住民の健康への意識が高まることにもつながるのかもしれません。

◎医療機関とのつながり

 地域連携室長を兼任していることもあり、年4回ほど院内外の医療関係者向けに、症例検討会をします。毎回100人ほどが参加者します。

 また、地元の消化器内科医や外科医と当院の外科医が一緒になった勉強会も、年3回ほどしています。

 当院の外科医も、今後長く外科医をやっていくわけですから、より、深い知識や高いスキルをつけてほしいと思います。

 地方の病院にいると学ぶ機会も少なくなってしまいます。ですから、学びの機会を作ることも、私の役目だと思います。

 大学の医局との繋がりも大切にしなければなりません。一時期は、内科医の派遣がなくなりましたが、現在は、内科医も含む複数の診療科で、非常勤の医師が派遣されています。

 われわれより高度な技術を持っている病院との横の繋がりを持たなければいけません。鹿児島市や宮崎市内だったら、助かる病気なのに、ここでは助からなかった、ということではだめなんです。

◎地域の課題、若手に学んでほしいこと

 この西諸地区には、公立病院が三つあります。この三つを、どう機能させ、役割分担をするのかが地域の課題です。

 国の方針に沿いながら、それぞれが、足並みをそろえて、良い方向に進めていきたいと思います。

 当院の良さは、患者さんと接する機会が多く、コミュニケーションを学べるチャンスが多いということだと思います。

 患者さんにとって最適な医療を選んで、納得してもらって、治療に専念してもらう。そのためには医師が、医療についていかにわかりやすく伝えられるかが、腕の見せどころではないかと思うのです。

 もちろん、最新の医療の知識を学び続けなければ、最適な治療の選択肢を伝えることができないのは、言うまでもありません。

小林市立病院
宮崎県小林市細野2235-3
TEL:0984-23-4711(代表)
http://www.kobayashi-city-hp.jp/


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