産業医科大学病院 尾辻 豊 病院長

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未来の姿をつくる時期
今秋、増改築に着手

【おつじ・ゆたか】 鹿児島ラサール高校卒業1981 九州大学医学部卒業 鹿児島大学第一内科研修医 1995 米国ハーバード大学マサチューセッツ総合病院 2005 鹿児島大学大学院循環器・呼吸器・代謝内科学助教授2006 産業医科大学医学部第2内科学教授2017 産業医科大学病院病院長

 人口約110万人の北九州医療圏で高度急性期・急性期医療を担う産業医科大学病院。4月、尾辻豊・新病院長が誕生した。医療をとりまく環境や制度が刻々と変わる中、尾辻病院長の視線の先にあるものは。

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―力を入れていこうと思っていることは。

 一つは「質が高くて活発な診療」。もう一つは医療人の育成です。ほかにもいろいろな役割がありますが、この二つは、特に重要だと思っています。

 診療機能強化のため、この秋から2022年度までの計画で、ハード面を整備します。

 9月、放射線治療室などが入るリニアックセンター(南別館)の建設工事を開始。ほぼ同時に、病院本館の耐震改修工事と、それに合わせた外来・病棟の改築に着手します。

 それが終わった後、急性期医療の核となる手術室や設備、機器を備える新棟を整備。5年後には一連の工事が終わり、新しい産業医大病院の建物群が完成する計画です。

 産業医大病院の将来の姿を創生する、非常に大きな仕事です。院内の意見を集約し、取り組んでいきたいと思っています。

―医療人の育成という点では。

 当大学は近いうちに、日本医学教育評価機構(JACME)の国際認証を受審する予定です。

 国際認証の基準では、参加型臨床実習の充実が求められ、これまでよりも長い期間、実習に充てることが必要になる。早い時期から実地経験を積み、卒業後、早い段階で臨床ができる医師になれるというメリットがある一方、病院での教育が増えるため、マンパワーの確保が課題になります。

―人員確保の手段は。

 医師に限らずすべての職種のがんばった人に対して、インセンティブ(意欲を引き出すためのさらなる刺激)を提供できないかと考えています。

 ただ、産業医大病院職員の給与は国立大学に準じているため、給与面のインセンティブはなかなか難しい。格上げや組織の増員、仕事に関連して取得した資格に対する手当、最先端の医療機器の導入などが、それに充当すると思っています。

 この秋スタートの整備計画では、最新の放射線治療装置「リニアック」の設置も予定されています。これまで他病院にお願いせざるを得なかった放射線治療が院内でできるようになるなど、職員がやりがいを感じられる場面が一層、出てくるでしょう。もっとみんなが楽しく診療できるよう、機器の高度化、拡充を図っていきたいですね。

 さまざまなインセンティブによって、今、この病院で働いている人のやる気がさらに高まる。外部からも「産業医大病院で働きたい」という人が、集まってきてくれる。そういう効果を期待しています。

―医療界でも「働き方改革」が言われています。現状は。

 労働環境改善は、多くの医療機関の課題ではないでしょうか。私たちの病院も同様です。

 私が医師になった36年前を振り返ってみると、当時の患者さんや家族に対する術前説明は、医師1人で15分程度。今は医師、看護師など2〜3人が1時間かけて、インフォームドコンセントを取っています。

 現在の状態が、あるべき姿だと思います。だからこそ、その方法を実行している。ただ、単純に仕事量だけ見ると、36年前に比べてかなり増えています。インフォームドコンセントは一つの例であり、ダブルチェック・医療安全活動、その他仕事が増えている例は数多くあります。忙しくなったという声が出るのも当然で、医療スタッフの疲弊が問題となっています。

 職員はこの仕事にやりがいを感じていると思います。今の医療の質を維持しながら、疲弊せず、元気に生き生きと働き続けられるようにしなければならない。近年導入を始めた医師事務作業補助者、看護師業務補助者をさらに増やすなど、工夫していきたいと思っています。

―地域の医療従事者との連携、情報発信は。

 病病連携、病診連携のための情報交換会や勉強会をそれぞれの診療科で実施しています。

 私の教室(医学部第2内科)だけでも2種類。「循環器・腎臓連携会」と「心エコーの勉強会」を開いています。

 情報交換会や勉強会の良い点の一つは、ちょうどいいタイミングで開業医の先生から大学病院に患者さんを紹介していただけるようになること。

 例えばある病気の場合は早期の紹介であればあるほどよく、別の病気の場合は、「少し進んでこの状態になったら紹介を」という時期がある。近所の開業医などで診療すべき時期は近所で、必要になったら大学病院へ、というすみわけは、医療者側の診療効率という点でもメリットがありますが、何より患者さんのためになると思っています。

―今後の医療圏内での役割をどうとらえていますか。

 われわれは、今後も高度急性期と急性期を担当し、回復期以降はほかの病院にお願いする形を目指していきます。

 悪性腫瘍の診療症例数は、北九州地区で一番になりました。しかし、もっと頑張れる余地を残している分野もある。地域で必要性がある分野、求めに十分応えられていない分野をもっと伸ばせるよう組織を整えていきたいですね。

 当院の患者さんの数は増え続け、外来は1日1300人。年間入院総数は1万5000人超です。手術件数は6800件ほど、平均在院日数は12.4日。患者数は今後一定期間は増え続け、在院日数はさらに短くなると思います。

―現在、二次救急病院です。三次救急を目指す考えは。

 救急医療は大事です。ただ、私たちの病院の救急は2013年スタート。まだ始めたばかりで小規模です。三次を目指す、というよりも、今は徐々に大きくしていきたいと考えています。

 救急診療はきついというイメージがあります。しかし、多くの人数がいれば、居心地の良い、快適な職場環境になるはずです。

 産業医大病院の職員数は現在約1500人。医師が約500人、看護師が約700人です。健全経営を続け、病院職員の数を増やして、たくさんの仕事をする。良いサイクルを回していきたいと思います。

―最後に、どんな病院を目指しますか。

 職員が産業医大病院で働いていることを誇りに思える。そういう病院にしたいと思います。

 そのためには患者さんの評価が第一です。患者さんは医療の質・量を重視されるでしょう。もちろんそれが大前提です。

 しかし、それだけでは十分ではありません。もう一つ、大切なことは、患者さんの心のケアです。

 病気の人は、大なり小なり、気持ちが沈みます。「この病院で診療を受けると気持ちがいい」「満足だ」。そう思ってもらえる診療を提供し、患者さんに喜ばれることの積み重ねが、職員一人ひとりの誇りにつながっていくはずです。

産業医科大学病院
福岡県北九州市八幡西医生ケ丘1-1
TEL:093-603-1611(代表)
http://www.uoeh-u.ac.jp/hospital.html


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