独立行政法人 地域医療機能推進機構 南海医療センター 森本 章生 院長

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もう迷いはない
一丸となって医療を届ける

【もりもと・あきお】 福岡県立戸畑高校卒業 1986 大分医科大学(現:大分大学)医学部卒業 大分医科大学附属病院(現:大分大学医学部附属病院)1989 健康保険南海病院(現:南海医療センター) 1993 大分医科大学生化学教室(現:大分大学医学部細胞生物学講座)修了 1995 健康保険南海病院外科部長 2010 同副院長 2017 南海医療センター院長

 903.11㎢。九州最大の面積を持つ佐伯市で、地域医療の中核を担っているのが南海医療センターだ。独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)の一員となって4年目。新院長の誕生、新病院の計画など、変化のさなかにある。

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-4月に院長就任。森本院長の医療者としての原点はどのような部分でしょうか。

 私の出身である大分医科大学医学部第一外科(現:大分大学消化器・小児外科学講座)は、腹腔鏡手術の権威として世界的にも知られる北野正剛大分大学学長が教授を務めていた教室です。

 この教室で学んだ医師たちは、みな腹腔鏡手術を強みとしていて、私もその一人です。

 現在、南海医療センターの全手術件数のうち、約70%が腹腔鏡手術です。私と、私の先輩が南海医療センターに赴任した1995年以降、腹腔鏡手術の導入を推進してきた結果です。胆のう疾患、鼠(そ)径ヘルニア、大腸がん、胃がんを多く手がけています。

 1991年から、私は大分医科大学生化学教室(現: 大分大学医学部細胞生物学講座)で研究に打ち込みました。臨床、研究、そして再び臨床というコースを歩むのが科の特徴です。

 研究テーマは、がんの血管新生です。

 がんは成長するために、栄養や酸素を運ぶための血管を新たにつくります。血管新生を阻害すれば、がんが発育できなくなるのではないか。そのような考えに基づき、がんの血管新生にかかわる因子の研究に取り組みました。

 まだ、血管新生が研究され始めて間もないころでした。世の中で研究が進むにつれて、因子をブロックする抗体が明らかになっていきました。

 私個人としては、DNA、RNA、たんぱく質などの研究に没頭し、実際に新たな血管の生成も試みました。ゲル内で「血管らしきもの」ができるようになったところで研究活動を終えました。20数年前のことです。

-研究の経験はどう生かされていますか。

 私たちの研究は、大腸がんや胃がん、乳がんに適応のある血管新生阻害薬の開発につながり、臨床に応用されています。研究と臨床が結びつくなどとは、研究室にこもって実験をくり返していた当時は、あまりイメージできませんでした。

 この経験がなければ、薬の作用機序の理解なども、もっと時間を要したでしょう。

 たんぱく質を攻撃する、細胞分裂を止めるなど、抗がん剤の作用には多くの種類があります。ある薬が効かないとき、次に何を用いるか。幅広い視点から検討する能力を養えたのではないかと思います。

 当院の職員の現状を考えると、臨床で忙しく、研究へ気持ちを向ける余裕はないかもしれません。しかも佐伯のような地方にいると、情報を得る機会は限られます。

 学会などに参加すると、自分がやっている医療の何が問題だと言われているのか、どのような治療法が主流となっているのかが分かります。何年も前に学んだことを、ずっと続けていていいのか。現状を知り、問う機会を得ることが大切です。

 私は副院長の時代から看護師やメディカルスタッフにも、学会に足を運び、できれば自分で発表することを勧めています。そうした場で学んだことを持ち帰り、実践してもらう流れを、もっと形にできたらと考えています。

-これからのビジョンは。

 現在、新病院の建設計画が進行しています。来年中の診療開始を目指しています。

 佐伯市は2005年に5町3村と合併し、九州で最も広大な面積を持つ市になりました。

 市内の公的病院は当院のみ。急性期医療を中心に担ってきましたので、新病院の稼働後も、同じ役割を果たしていくことになるだろうと思います。

 腹腔鏡、心臓カテーテル、泌尿器科疾患治療といった強みのほか、血液疾患に対応できる科を持っているのは、県南エリアでは当院しかありません。これらの特徴を新病院にも引き継ぎます。

 また、当院は大分県内で最初に透析治療を始めた病院でもあります。現在、透析を受けている患者さんは約160人。透析治療の面でも、大きな責任を負っています。

 新病院は地上8階、屋上にはヘリポートを設置します。佐伯市には、ドクターヘリが着陸できるビルがなく、現状は公園や学校のグラウンドに着陸するしかありません。

 南海トラフ地震で予測される最大13㍍級の津波が押し寄せれば、甚大な被害が発生します。津波の被害を免れるヘリポートを有する当院への期待は大きいでしょう。

-高齢化の課題については。

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 私は南海医療センター附属介護老人保健施設の施設長も兼任しています。 施設の方針は、医療依存度が高い方を中心に引き受けていくこと。看取りを見据えたケアに力を入れていくことです。

 昨年は20人近くを看取りました。私たちが子どものころは、自宅で亡くなるのが普通でした。それがいつしか、病院で亡くなるのが当たり前の時代になった。自宅での看取りは不安だと、みなさんおっしゃいます。

 団塊の世代すべてを、病院で看取ることはできないでしょう。では、どこで看取るか。地域の問題として、しっかりと答えを出していかなければならない時期がきています。

 当院の答えの一つは老健での看取りです。同時に市内の医療機関とも話し合って、医療連携から看取りまでを地域全体でカバーできるよう、仕組みを整えていきたいと思っています。

 2014年に独立行政法人地域医療機能推進機構として再スタートした当時は、職員にも大きなとまどいがあったと思います。

 3年が経ち、足並みもそろってきました。私が院長になってすぐに、「私たちは佐伯市で中核的な医療をやってきた実績がある。それを踏まえて、また一丸となってやっていこう」と呼びかけました。もう、迷いはありません。

独立行政法人 地域医療機能推進機構 南海医療センター
大分県佐伯市常盤西町11-20
TEL:0972-22-0547
http://nankai.jcho.go.jp


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