岐阜大学大学院医学系研究科 麻酔・疼痛制御学分野 飯田 宏樹 教授

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岐阜の麻酔科医療を支えるために

【いいだ・ひろき】 東大寺学園高校卒業 1981 岐阜大学医学部卒業同附属病院麻酔科研修医 1989 岐阜大学医学部助手(麻酔・蘇生学) 1991 米国ジョンスホプキンス大学(Departmentof Anesthesiology and Critical Care Medicine) 1994岐阜大学医学部附属病院講師(麻酔科蘇生科) 2010 岐阜大学大学院医学系研究科教授 麻酔・疼痛制御学分野 2014岐阜大学医学部附属病院副病院長 2015 岐阜大学医学部附属病院手術部長

 手術のための一般麻酔をはじめ、集中治療や痛みの治療など幅広い分野を担う麻酔科医。岐阜県内の麻酔科医の育成に尽力してきた岐阜大学大学院の飯田宏樹教授は、麻酔科医の役割を「痛み(侵襲)をコントロールすることが原点」と語る。

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◎専門性を増す「麻酔」

 「麻酔科医の仕事」と一言で言っても、扱う分野は大変幅広いものです。周術期管理に携わる仕事をはじめとして、集中治療医学、多面的に痛みを治療するペインクリニック、そしてがん治療に関わる緩和医療と領域が広がっています。

 麻酔関連の学会だけを見ても日本麻酔科学会、日本小児麻酔学会、日本神経麻酔集中治療学会、日本心臓血管麻酔学会、日本区域麻酔学会、日本産科麻酔学会など、それぞれの分野に専門が細かく分かれています。

 当講座では、まず、全般的な麻酔科の知識と技術を身につけ、麻酔科専門医を取得することを目標にしています。その上で、より多く専門性の高いサブスペシャリティーの領域を習得するように、と指導しています。

◎痛みをサイエンスする

 7月20日(木)から22日(土)までの3日間、岐阜市内で開かれる「日本ペインクリニック学会第51回大会」で学会長を務めます。

 テーマは「痛み治療におけるサイエンスと技の伝承」。インターベンション治療の技術の伝承について考えると同時に、「痛み治療」をサイエンスベースの立場から多面的に取り上げ、意見交換する場にしたいと考えています。翌日から役に立つような知識、技術も伝えたいですね。

 痛み治療をインターベンション・薬物治療・運動療法・心理療法など多面的に考えることに加えて、内臓や傷の痛みも、心の痛みも同じ痛みとして脳の同じ場所が反応していることを示す「脳機能画像」という研究も、今学会で取り上げています。

◎禁煙に関わる

 今回、日本緩和医療学会との共催で、セミナー「痛みと禁煙―がん関連痛を中心に」を開きます。

 これまで、われわれ麻酔科医は禁煙に対して社会に働きかけることはほとんどありませんでした。しかし、私は2015年、日本麻酔科学会の周術期禁煙ガイドライン作成ワーキンググループの責任者としてガイドラインを作成しました。

 ニコチンの急性効果は痛みを抑える方向に働きますが、長く使っていると痛みを誘発することがわかっています。がんにおいても、喫煙は、がんそのものの痛みを増強し、手術後の遷延性術後痛の誘因となり、化学療法や放射線治療の治療成績ひいては生命予後にも悪影響を及ぼすのです。

 麻酔科医は、患者の手術前後に関わります。禁煙をする絶好の時期に立ち会うのです。従来とは違い、がんになっても、完治するあるいは寛解する人が多くなっている今、麻酔科医がこれらの患者の禁煙に果たすべき役割を討議する場になると考えています。

◎術中の侵襲から患者を守る

 麻酔科医は長年、痛みの評価を普遍化して、客観的な指標を作ろうとしてきました。しかし今のところ、痛みを正確に数字で測ることはできません。痛みの感じ方には個人差があり、文化的な影響もあります。例えば、日本人は、「痛い」と弱音を言うのは美学に反すると考え、辛抱強く、痛みに耐えることを「是」とするところがあります。一方、欧米人は、痛ければ痛いと率直に伝えます。

 また、意識がある人は、痛みを訴えることができますが、全身麻酔で手術中の患者さんは、言葉にできません。麻酔科医は、バイタルサイン、脳波といった情報から痛みの有無やその強弱をつかみ、コントロールしなければならない。術中の痛みは、侵襲という言葉に変わります。人間の体を襲ってくる痛みをはじめとする侵襲を制御することが、われわれの原点です。

◎男性医師も女性医師も「燃え尽きない」

 当講座の医局員の5割が女性です。女性医師が、出産や育児をしながら働き続けられる環境を作らなければ、岐阜県の麻酔科医は増加していきません。

 実際、岐阜県の人口10万人当たりの麻酔科専門医の数は全国の中でもかなり低い順位にとどまっています。

 2014年、育休中でも月80時間までの就労なら「育児休業給付金」がもらえる仕組みに国の制度が変わりました。従来は、11日以上就業すると受給不可となっていましたので、育休中であっても、かなり柔軟に働けるようになったと思います。

 この制度を利用し、育休中のパート勤務を経て復帰するシステムを大学の協力で運用したところ、スムーズに早期復帰できる女性医師が増えてきました。

 さらに、この4月には、JA岐阜厚生連の協力で寄付講座「周術期女性医師活躍支援講座」が開設されました。この講座では、育児休業を経て復帰した助教など、2人の女性医師を担当教員に任命。周術期の分野で麻酔科専門医の資格を取得し、それを維持することを目指しながら、女性の麻酔科医が長く働き続けられる環境を作るにはどうしたらいいのかを、5年間で考えてもらいます。

 われわれの講座では、医師派遣の際、男性だから、女性だからという理由で区別はしていません。女性医師を大学から離れた病院に派遣しない大学もあると聞いたことがありますが、当講座では、女性医師であっても都市部を離れた病院に行ってもらいます。女性医師が地域医療の担い手になることの意義は大きいです。

 もちろん、無理やり都市周辺部に派遣することはありませんが、女性ばかりを優遇すると、男性が疲弊し、意欲を失わないとも限りません。誰かにしわ寄せがいく形ではなく、公平かつオープンに情報を開示し、お互いカバーし合える体制を作っていかなければなりません。

◎ペインクリニックを県内全域に

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 腰痛治療の患者さんの満足度について、興味深い調査があります。受診している診療科と満足度を聞いたところ、満足度が非常に高かったのはペインクリニックの痛み治療でした。ところが、よく見ると、その母数は他の診療科の1割程度。つまり残念ながらペインクリニック専門医が治療を担っている患者数がまだまだ少ないということです。

 ペインクリニック専門医が情報、知識を持っていても、そのメリットを享受できる地域が少ない。これではいけないと、現在、関連病院にペインクリニック外来を作り始めています。

 診察日は週1回だけでも、まずは外来を作る。そこで大学からの医師の協力のもと専門性の高い診療を提供します。岐阜地域のみなさんが、適切な痛み治療を受けられるように地域医療の環境改善を目指しています。

指定管理者 医療法人 沖縄徳洲会 榛原総合病院
静岡県牧之原市細江2887-1
TEL:0548-22-1131
http://www.hospital.haibara.shizuoka.jp/


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