榛原総合病院 森田 信敏 院長

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医師不足と経営難を乗り越えて

【もりた・のぶとし】 静岡県立沼津東高校卒業 1989 近畿大学医学部卒業 浜松医科大学医学部附属病院 1990 藤枝市立総合病院 1991浜松医科大学医学部附属病院 1991 医療法人宝美会青山病院 1998富士宮市立病院 2001 国立療養所天竜病院 2002 公設公営榛原総合病院(現:指定管理者医療法人沖縄徳洲会榛原総合病院)副院長 2015同院長

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◎病院の歩み

 当院は1954(昭和29)年、国民健康保険共立榛原病院として開院。地域の基幹病院として発展してきました。

 1996(平成8)年から2006(同18)年までの間に、四つの病棟を順次新設。当時の最新の医療設備を整え、建物は免震構造。南館の屋上にはヘリポートを完備しました。

 しかし、完成したころから医師不足が深刻になりました。新医師臨床研修制度の影響で、いくつかの診療科で大学派遣の医師が減り始めたのです。

 さらに、サブプライムローン問題、リーマンショックが国内自動車産業に影響を及ぼし、牧之原市のおもな産業である自動車製造工場の経営を直撃。市は税収が減少したことで、財政が逼迫(ひっぱく)し、当院への経営補填(ほてん)は困難になりました。アメリカの不況が、まさか地方の病院の経営に影響するとは夢にも思いませんでした。

 経営の建て直しを図るために、2010年には指定管理者制度に移行。管理者となった徳洲会グループの強力な応援体制によって、一時休止していた救急外来、循環器内科を再開し、療養病棟(42床)や介護老人保健施設(100床)を開設してきました。

 ただ、指定管理者制度になったからといって、大人数の医師が得られるわけではありません。常勤医は現在21人(医科17人、歯科4人)で、関連大学や近隣の病院、グループ病院からサポートをいただきながら、少ない人数で頑張っているのが実状です。

 今は「立て直しの真っ最中」という表現が適切かもしれません。これまで単年度で10億円近くあった赤字は、建物の減価償却費などを含む公営企業会計と指定管理者の法人会計を合わせた合算収支でも、指定管理者制度移行後3年目で黒字化できました。

◎救急搬送受け入れの現状

 当院の使命は、救急・急性期の医療を維持・継続することです。牧之原市または榛原郡吉田町で救急案件が発生すると、まず当院に連絡が入るようになっています。

 1日平均5台の救急車を受け入れており、2016年度の受け入れ件数は計1953件。中には他院搬送もありますが、ファーストタッチは可能な限りしています。

 救急車の受け入れ台数は、現在の3倍の常勤医師がいた2002年から変わっていません。そう考えると、一次医療としては奮闘していると言えるのではないでしょうか。

◎在宅医療

 今の強みは「在宅医療」です。2010年、大井陽江副看護部長が中心となって在宅医療支援チームを立ち上げました。

 当初は、自宅で診る、看取ることに対する地域住民の不安が大きかったのですが、医療講演で、住み慣れた自宅で家族に見守られて過ごすことの意義を説明し、「何かあったらわれわれがすぐに駆けつけます」と伝え、実行していくうちに、患者さんとご家族の信頼を得られるようになりました。

 かかりつけ医との連携も密にしています。かかりつけ医の先生が主治医、当院の医師が副主治医という体制で、開業医と勤務医が併診・往診できる仕組みを採り入れています。

 ゼロからのスタートで、何もノウハウを持たない中、試行錯誤しながら、理想とする在宅医療の形に近づいてきたのはここ最近ではないかと思います。

 現在の在宅登録者数は122人。他の病院に先駆けて地域と協働して先進的に取り組んでおり、近隣病院など医療関係者の方が多数見学に来ます。

 昨年、厚労省が基礎自治体別に在宅死の割合を公表しました。牧之原市の在宅死の割合は県内2位。当院が高い在宅看取り率の一翼を担っているという自負があります。これからも在宅医療の発展に貢献していきたいと思います。

◎今後の展望

 当院の許可病床数は450床(一般355床、精神科53床、療養42床)ですが、現時点で稼働しているのは、192床(一般150床、療養42床)。脳卒中や心筋梗塞、ノロウィルスによる感染性胃腸炎などが起こりやすい冬には192床が満床になる日が続きます。

 地域のニーズはあるので、内科の医師を中心にスタッフを集めて、急性期病棟を再開し、3棟から4棟に増やしたいという希望もあります。

 また、人口約45万人の志太榛原の二次医療圏内では、回復期が700床不足しています。この現状を踏まえ、当院としても今年度中の回復期リハの開設を計画中です。

 450床のフルオープンはなかなか難しいと思いますが、今、眠らせている病棟を、少しずつ再開し、救急医療、急性期、亜急性期、慢性期、在宅、老健、健診の機能をシームレスにつないだケアミックス型の病院を目指していきたいと思います。

 今は、少ないギリギリの人数で診療していますが、少しずつ増員し、安定的に運営できるようにしていくこと、総合内科という形で診療している内科を、専門分野ごとに充実させていくこと、これらも、院長としての責務だと考えています。

◎たった一人の常勤整形外科医

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 私は今も、整形外科医として年間400件近くの手術をしています。院長業と二足のわらじを履くことは、思った以上に大変です。でも、地域の方に頼られることはうれしいし、やりがいも大きい。チーム医療として支えてくれているスタッフにも感謝しています。

 当院所在地である牧之原市の高齢化率が、2013年度が25.59%、2015年度には27.71%と増加傾向。2、3日に1人の割合で大腿骨骨折の患者さんが搬送されてきます。

 入院になった場合の面会など、ご家族のご苦労を考えると、できるだけ地域の中で診ていきたい。高度医療はできませんが、一般的な医療は地域の中で完結できるよう努力していきたいと思います。

指定管理者 医療法人 沖縄徳洲会 榛原総合病院
静岡県牧之原市細江2887-1
TEL:0548-22-1131
http://www.hospital.haibara.shizuoka.jp/


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