医療法人朗源会 大隈病院 大隈 健英 院長

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待つ医療から打って出る医療へ

【おおくま・たけひで】 昭英高校卒業 1996 金沢医科大学医学部卒業兵庫医科大学病院第一外科学教室 2002 医療法人朗源会大隈病院外科医長 2011 同院長

 兵庫県南東部に位置する尼崎市は、人口45万人の中核市。かつては工業都市として栄えたものの1970年代から人口が減り始め、高齢化も進んだ。大隈病院の大隈健英院長に地域医療に対する思いを聞いた。

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◎76年の歴史変わる病院の役割

 1941(昭和16)年、祖父の義朗が大阪市に大隈外科医院を開設したのが始まりです。しかし空襲のため医院は消失。戦後の1951(同26)年に祖父が、医院を再開したのが兵庫県尼崎市の当地でした。

 1960年代から70年代の杭瀬地区は周辺にある工場の景気がよく大変にぎやかな町でした。

 1972(同47)年に2代目院長となった父・義彦(現:理事長)は、病床数を当初の50床から約3倍の159床に増床したり、新病院や老健などを建設したりと、精力的に事業を展開しました。当院もピーク時には、外来が1日約500人と、今の3倍程度はあったようです。

 しかし、工場閉鎖など杭瀬地区を取り巻く環境は激変。都会の中にありながら、まるで"限界集落"になったかのように人口減少やそれに伴う高齢化が進みました。従来の急性期病院の役割を果たすだけでは、当院の運営が難しい時代となっています。

◎地域にとって必要とされる医師とは

 若いころ、医局の人事で6年間一般病院に勤務。2002年には、外科医長として当院に戻りました。

 反省を込めて当時を振り返ると、ついつい「外科医の専門分野ではないから」と壁をつくりがちになっていたかもしれません。理事長には「外科医だからといって、それ以外はしないと考えていては、医師免許が泣くよ」と言われたこともありました。

 しかし15年を経た今は、患者さんの身体全体を診ており、医療の基本に立ち返ったように思います。

 高齢の患者さんが増え、合併症や認知症も多くなっています。一人ひとりに対する診療の中身が濃くなり、医師の力量が問われる時代になっています。

◎果たしている役割

 当院が目指しているのは、まず、地域の住民の方にとって、24時間安心して受診できる病院であること。加えて、高齢者施設や、急性期、高度急性期病院、そして開業医の先生方にとっては、安心して患者を任せられる病院であることです。

 急性期、高度急性期病院にとって、治療後、すぐに自宅や介護施設に戻れない患者さんの受け入れ先探しは、早急に解決すべき課題です。

 当院は、患者さんを積極的に受け入れるために、時として急性期、高度救急の病院に私自身が直接出向いています。

 ファクスなど書面のやりとりではなく、顔を合わせて、患者さんの状態について現場の医師や看護師と話をすることで、急性期、高度急性期の病院のみなさんに安心して、患者さんを送り出していただけると考えています。

 現在、当院は地域包括ケア病棟91床を持っています。兵庫県は、地域包括ケア病床を算定している病院の数が、全国で3位と、大変な激戦地です。そのような中で、当院を選んでもらうためにも、このような独自のアプローチは今後も続けていきます。

 また、地元の開業医の先生のところにも、私が積極的に足を運んでいます。必要があればいつでも在宅の患者さんの入院を受け入れる体制であることを伝えていますし、実際患者さんを迎えに行くこともしばしばあります。

 診療所の場合、医師が1人で経営していることが多くあります。連休前などには当院で患者さんを受け入れ、開業医の先生方がしっかり休みをとれるようにしたい。それによって、開業医の先生が疲弊することなく、気持ちよく患者さんを支えられるような体制を作りたいと考えています。

 当院が核となって、地域で在宅を支援する環境を作ることが、われわれの存在価値になると思っています。

◎今後の展望

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 地域の医療機関との連携を大事にしながら、住民が地域で安心して暮らせるような体制をつくらなければなりません。

 このためにも、医師のみならず看護師、療法士など人材の確保には力を入れていきます。10年ほど前、看護師不足で一時病棟閉鎖という経験もありますので、特に看護師の確保は重要です。

 最近では、通所リハビリテーションや、嚥下(えんげ)リハビリテーションにも注力しています。そのためセラピスト、特に言語聴覚士も増員したいと考えています。

 当院は、高齢の患者さんが多いので、看護師は赤、理学療法士がオレンジなどとユニフォームを色分けする工夫をしています。

 患者さんと話をするとき、「〇〇色の人に伝えてくださいね」と言うと、われわれも説明しやすく、患者さんもわかりやすいようです。

 この地域では一時、少子化で小学校閉校が相次ぎました。ところが、その跡地に最近建売住宅が多くでき、嬉しいことに30〜40代の住民が増えてきています。

 ただ、これに伴って増えている子どもさんに対応する小児科が地域にありません。親御さんが、安心して子育てができるよう、小児科の開設を計画しています。

 眼科開設も模索中です。白内障など、眼科疾患が回復することで、認知症の治療に高い効果を挙げるというデータもありますので、実現を目指したいですね。

 当院の職員は、地域住民が多く、患者さんに優しいのが強みだと感じています。地域の医療を支えるには、まずハートが一番。患者さん、職員の心を粗末にせず、この地域で頑張っていきます。

医療法人朗源会 大隈病院
兵庫県尼崎市杭瀬本町2-17-13
TEL:06-6481-1667
http://www.ookuma.or.jp/ookuma/


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