独立行政法人 国立病院機構 兵庫中央病院 里中 和廣 院長

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セーフティーネット系医療を守る

【さとなか・かずひろ】 大阪府立北野高校卒業 1983 神戸大学医学部卒業 同第二内科入局 1984 石川島播磨重工健康保健組合播磨病院1986国立加古川病院 1987 神戸大学医学研究科(第二病理) 1990 国立神戸病院 1992 米国アルゴンヌ国立研究所 1994 神戸大学医学部附属病院 1995 医療法人裕泰会足立病院 1997 国立療養所兵庫中央病院(現:国立病院機構兵庫中央病院) 2007 国立病院機構兵庫中央病院副院長 地域連携室長 2014 同院長

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◎病院の特徴

 当院は、1968(昭和43)年に国立兵庫療養所と国立療養所春霞園が統合され開設された病院です。2004年に独立行政法人国立病院機構に移行しました。

 開設以来、セーフティーネット系医療(神経・筋難病、筋ジストロフィー、重症心身障害、結核など)を中心に、慢性期と、急性期の両方を担う病院として地域医療に取り組んできました。

 兵庫県内で唯一、筋ジストロフィー病棟を持ち、病床数は全体で500床。そのうちの350床が神経難病の病床で、内科、外科、整形外科を合わせた一般病床が100床、残り50床が結核病床です。

 県内に重症心身障害を扱う医療施設は他にもありますが、内科、外科などの一般的な医療ができるところは多くありません。ですから、他施設の患者さんが合併症を起こされたときなども当院で対応しています。

 丹波・有馬地区(三田市、西宮市北部、神戸市北区の東部)には、神経内科を標榜(ひょうぼう)している病院は当院以外にはほとんどありません。当院は診療だけでなく、研究においても高いレベルを維持していますので、日本神経学会から教育施設としても認定されています。

◎全員経営を推奨

 私は2014年に院長に就任し、今年で4年目になります。

 院長の役割は、医療の質を維持しながら収支のバランスがとれた経営をすること。しかし私は医者であり、経営のプロではありません。

 1人の考えには限界がある。そう考えた私は、「全員経営」を推奨し、職員全員でアイデアを出し合うことにしました。

 そのうちの一つが診療報酬の算定漏れ防止です。看護部ワーキングチームからの提案で、看護部の現状を調べてもらったところ、未請求のケースがかなり多いことがわかりました。

 そこで、医事課職員が病棟ごとに看護師を集め、診療報酬について講習会を開催。看護師が診療報酬に関する知識を身につけたことで、適正に診療報酬を請求できる体制が整いました。

 診療報酬点数を増やす努力をする一方で、経費削減も心掛けました。グローブ、マスクといった消耗品の使い方や購入価格を見直し、徹底的にコスト削減を図ったのです。こうした地道な取り組みが、収益増につながっています。

◎人員確保が課題

 現在、最も大きな課題は、各診療科の医師をいかに確保するかです。

 2004年に新医師臨床研修制度が施行される前は、大学病院からローテーションで医師を派遣してもらうことができました。しかし、今はそうはいきません。 現在、常勤医は私を含めて26人。昨年1年間の平均入院患者数は409人でしたので、単純計算で医師1人当たりが担当する患者数は平均15〜16人となります。

 ただ、診療科によるばらつきはあります。病院の特性上、神経内科の先生方は1人で20人以上の患者さんを診ている。彼らが疲弊する前に、国立病院機構の中で医師をローテーションするなど、人員確保のための仕組みを作る必要があると思います。

◎今後の展開

 現在の外来棟は、1976(昭和51)年に建てたものです。かなり古く、雨漏りなどの不具合が多いため、全面的に建て直すことにしました。

 工事は一期と二期にわけて計画しており、昨年10月に着工しました。一期工事では、外来、医局、管理部門などが入る「外来管理診療棟」を造ります。竣工(しゅんこう)は今年9月末ごろです。二期工事では、現在の外来棟を解体し、手術室、検査室、放射線部門などが入る建物を造る予定で、来年秋の完成を目指します。

 県内の結核病床は当院の50床、神戸市立西神戸医療センターの50床、喜望会谷向病院の28床、公立八鹿病院の7床、県立淡路医療センターの15床です。結核患者は年々減少傾向で、当院の結核病床も20床程度しか稼働していません。

 今後は地域全体の結核病床の規模の縮小も考えなければならないでしょう。

 阪神北医療圏には、当院がある三田市、宝塚市、伊丹市、川西市、猪名川町が含まれます。三田市と他市の間には六甲山があり、生活圏が分かれていますので、当院は三田市の人口約11万人を対象とした医療を考えるのが妥当でしょう。

 現在、三田市内で急性期病院を標榜しているのは当院と三田市民病院の二つです。

 当院はどちらかというと、亜急性期に近く、対象は高齢者が多い。一方、三田市民病院は救急・急性期医療を主軸とした病院です。

 今後は、うまく機能を分担し、連携強化を図りながら、この地域の医療を担っていきたいと考えています。

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 最近では医療と介護はシームレスな状態になりつつあります。現在、当院では訪問看護をやっていますが、将来的には介護にも取り組みたいと思います。多くの病院が目指しているような、ケアミックス型の医療を視野に入れて病院運営をしていきたいですね。

 私は、もともとセーフティーネット系医療をやっていたわけではありません。神戸大学からの派遣で当院に赴任しました。私の専門は消化器病診断学で、当時は消化器内科といっても、内視鏡検査くらいしかできなかった。ここで数年勤務した後、大学に戻る道もありました。

 しかし、この病院は医師が十分に足りておらず、患者さんと接しているうちに「この病院の医者が1人でも抜けたら患者さんは困るだろうな」と考えるようになりました。

 自分の専門だけに固執していては、患者さんを救うことは難しい。今では、一般内科はひと通り診ていますし、入院患者さんが合併症を起こしたときには、まず消化器内科で診療するシステムになりました。

 ここにとどまって、今年で20年。自分が必要とされている。そのことに、医師としての大きなやりがいを感じています。

 これからも、兵庫県のセーフティーネット系医療を担うと共に、今後は、増加する高齢患者の受け入れ先としての機能も充実させていきたいと考えています。

独立行政法人 国立病院機構 兵庫中央病院
兵庫県三田市大原1314
TEL:079-563-2121(代表)
http://hyogo-chuo-hosp.jp/


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