聖マリアヘルスケアセンター病院長 大会長 井手 睦

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【10月 久留米市】リハビリテーション・ケア合同研究大会久留米2017
美しくリハの縦糸 ケアの横糸
専門性を基盤に、患者さんを中心に置いた協働体制を

【いで・まこと】 福岡県立修猷館高校卒業 1987 産業医科大学医学部卒業 産業医科大学病院リハビリテーション科臨床研修医 1988 九州労災病院リハビリテーション科研修医 1989 豪州Royal PerthRehabilitation Hospital 1990 米国New York University,Post-Graduate Medical School 1992 産業医科大学リハビリテーション医学教室助手 1994 九州労災病院リハビリテーション科副部長 1998 九州労災病院第二リハビリテーション科部長 2000 産業医科大学リハビリテーション医学教室講師 2002 聖マリア病院リハビリテーション科診療科長 2005 聖マリア病院リハビリテーションセンター長(兼務) 2014 雪の聖母会理事 聖マリアヘルスケアセンター病院長

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―全国規模のものでは初の大会長を務められます。

 本大会は合同研究大会で、主催者として六つの団体が名を連ねています。リハビリテーション(以下、リハビリ)関連の団体や介護系のデイケアや訪問リハビリなど、リハビリに関連する団体が合同で開く全国規模の大会ですので、学術的な意味合いはもちろんありますが、関係者の交流や情報交換の場として、期待されているものは大きいと思います。

―多職種の方々が集まるのはリハビリならではです。

 今でこそチーム医療が珍しくなくなりましたが、そもそもリハビリという概念が日本に紹介された時から、医師だけが関係するものではない「チーム医療」というコンセプトが前提になっていました。そういった成り立ちからいえば、多職種が集まってさまざまな論点について議論するという形は当然だといえるでしょう。

 いまリハビリに関連するテーマで注目されているのは、栄養に関係した分野です。患者さんや利用者さんの栄養状態を向上させること、さらに食事のとり方であったり、高齢者の活動が低下する虚弱状態「フレイル(Frailty)」や「サルコペニア(加齢による筋量の低下)」といったテーマは、マスメディアで紹介されたこともあって注目されています。

 もう一つ、注目されているのは障害者や高齢者の自動車運転についてのテーマです。

 高齢者の運転による事故が続いたため、社会的にも問題になっています。今年3月には道路交通法が改正され、高齢者の認知機能チェックが厳格化されました。社会的にも議論のあるテーマですので、プログラムに組み込みました。

 個人的には医療・介護を問わず、組織マネジメントが重視される時代が来ていると認識していますので、この領域での教育講演を用意しました。

 マネジメントの一環でいえば、例えばリハビリや介護現場における「事故」の問題にも関心があります。

 手術がある外科や薬を使う内科などの医療事故は、医療事故調査委員会や新しい法制度のもとできちんと処理されますが、リハビリや介護現場の事故はいわばファジー(あいまい)な部分が大きいんです。つまり施設や自宅で起こる事故なので、原因や因果関係が特定しづらい。そういう意味では事故についてどこまで意識しないといけないのか一度整理しておきたいので、その分野の講演もお願いしています。

 さらに、医療職や病院で働く人のメンタルヘルスについてもきちんと議論すべきだと考えています。電通などの大企業やブラック企業などの過重労働の問題が社会的に注目されており、「働き方」についてはすべての業界でキーワードになっています。当然、医療業界においても働き方を考えるべき時期にさしかかっています。私は労働衛生コンサルタントの資格を持っていますので、専門的な立場から医療職の労働条件についても考えたい。

 介護職などケアに携わる現場は慢性的に人材不足であり、待遇面でも低く抑えられた状況が続いています。どの介護事業所や施設にしても人材の確保は最大の課題です。どれだけIT技術が進歩したとしても人をケアする仕事は人の手でないとできません。職員がどれだけ快適に働くことができるかというテーマには、みなさん関心があるでしょう。

―学会テーマに込めた思いは。

 久留米の特色を打ち出したいと考えたとき、思いついたのが久留米絣(がすり)でした。そこから学会のテーマを「美しく リハの縦糸 ケアの横糸」と掲げることになりました。

 リハビリはどうしても医療系の色が強く、ケアは介護、福祉の色が強くなりますが、どちらかだけでは患者さんを幸福にすることはできません。縦糸と横糸に例えるなら、どちらかが強くても布が破れちゃうんですね。うまく均等に力をかけ、糸の力を最大限生かしながら布を織りなしカバーする面積を広げていく、それが学会のコンセプトです。

―縦糸と横糸をうまく組み合わせるために必要なものとは。

 かつてと比べると医療分野が細かく分化しています。しかもいまの若い世代の方は一見器用そうでいて、間口が狭かったりするんですね。

 縦糸と横糸がうまく組み合わさるためには、お互いのことを知らなければならなりません。まずはお互いの顔を知ること、会って話すだけではなく、シンポジウムで発表するさまざまな職種の方の意見を聞きながら相互理解を深めることはこの大会の大きな目的でもあります。

 今回は韓国からリハビリ専門医をゲストとしてお呼びしています。私たちは隣の国にも関わらず韓国の医療状況のことをよく知らないんですね。せっかく同じアジア人で距離が近いのだから、この機会に隣国の事情も知ってみようと思います。違う国のことを知ることで新しい発想が生まれる可能性がありますから。

 今、看護職をもっとリハビリ分野に進出させようという動きがありますので、前回までの大会より看護系のカラーが強く出てくる気がしています。看護大学を持つ聖マリアが運営するということでも、今大会の特色になるでしょう。

 会場は昨年オープンした久留米シティプラザです。国際会議場ではないのでコンパクトな大会にはなりますが、逆にいえばあまり動き回る必要がなくなるので参加しやすくなるでしょう。遠方のお客さんもいらっしゃいますので、ぜひ久留米を堪能して帰っていただきたいですね。

10月19日(木)

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【基調講演 10:45-12:15】
脳卒中リハビリテーション~社会復帰に向けて~

【セミナー 13:30-15:00】脳障害者の自動車運転再開

10月20日(金)

【特別講演 13:30-15:00】
韓国におけるリハビリテーションサービスの現状とビジョン *同時通訳あり

【特別企画シンポジウム 15:15-16:45】
Evidence-Based Rehabilitation Nursing

【セミナー 10:45-12:15】
リハが変わる、医療が変わる~医原性栄養障害の制御と攻めの栄養管理でADL向上を目指すリハ栄養~

【セミナー 13:30-15:00】
医療従事者のための働きやすい職場づくり~質の高い医療提供を無理なく続けるために~

10月21日(土)

【特別講演 11:00-12:30】平成30年医療・介護同時改定 toward & beyond

会期:10月19日(木)~21日(土) 会場:久留米シティプラザ

学会事務局:聖マリアヘルスケアセンター
TEL:0942-35-5522 メールアドレス:rehacare@st-mary-med.or.jp
学会準備室:西日本企画サービス
TEL:0942-44-5800 メールアドレス:rc2017@nksnet.co.jp


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