国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 原田 敦 病院長

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唯一のナショナルセンターとして認知症対策に取り組む

【はらだ・あつし】 1977 名古屋大学医学部卒業 1989 名古屋大学医学部整形外科講師 国立療養所中部病院整形外科医長 2001厚生労働省健康局国立病院部、国立長寿医療センター設置準備室員 2014 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター病院長

 2010年に、認知症を中心にした高齢者の医療に対応するために設立された国立長寿医療研究センター。臨床の場となる病院と、創薬など研究、開発のための研究所がその柱となる。原田敦病院長に同センターの果たす役割などについて聞いた。

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◎センター、病院の概要

 当センターは国立療養所中部病院を前身として2004年に開設。2010年に独立行政法人化し、2015年4月には、国立研究開発法人となりました。長寿医療の診療や研究を担う国内唯一のナショナルセンターです。

 当センターのミッションは、「高齢者の心と体の自立を促進して、健康長寿社会の構築に貢献」すること。

 このため、体の自立を阻害するフレイル(虚弱)とロコモティブシンドローム(運動器症候群)、心の自立を阻む認知症の三つを研究し、中でも認知症に力を入れています。

 病院の規模は321床。2015年度の実績で入院患者数は256.2人(1日平均)、外来患者数は597.8人(同)です。外来患者数は年々増える一方です。

 患者さんは愛知県内の方が9割を超えています。内訳は、大府市民が約40%、知多郡東浦町民が約30%。認知症医療を含めた地域の医療機関という役割もあります。

 2015年は、75歳以上と、65歳以上75歳未満の比率が1対1でした。2016年は、75歳以上の後期高齢者の数が上回るようになり、今後は、後期高齢者が高齢者の主役となる時代です。

◎激増する認知症とフレイル

 認知症のり患率は、65歳以上の高齢者の15%。462万人に上ります。また軽度認知機能障害(MCI)も約400万人と推計されています。つまり、高齢化によって、誰もがかかる可能性があるありふれた病気と言えるのです。

 90歳以上の生涯り患率は、50%という数値もあります。そうなると、長生きすると夫婦いずれかが認知症になるということ。

 また、夫婦のいずれかの親が認知症になる確率は93.8%という数値も推計されています。

 認知症の患者さんが増えるということは、ほかの疾患の治療にも影響を与えます。例えば、がん治療においては、認知症があるために、がんの初期診断を受けずに悪化したり、治療が遅れたりすることもあるかもしれません。

 標準的治療をどこまで進めるか、家族はどこまで関わりながら治療をするのか。医療提供者にとっても、これまで浮上していなかった課題が明らかになってくるかもしれません。

 また最近では、75歳以上の発症率が伸びている、フレイルにも注目しなければなりません。体が動かなくなる身体的フレイル、認知機能が落ちる精神神経的フレイル、独居、老老介護による社会的フレイルがあります。

◎センター機能

 当センターの特徴は、病院と研究所のほかに、認知症に関する課題を解決するための、八つのセンターがあることでしょう。

 病院には、①もの忘れセンター②健康長寿支援ロボットセンター③治験・臨床研究推進センター④長寿医療研修センター⑤メディカルゲノムセンターがあります。

 研究所には、⑥認知症先進医療センター⑦老年学・社会科学研究センター⑧歯科口腔先進医療開発センターの3つです。

 もの忘れセンターでは、年間に新患だけで、1000人の診断、治療をしています。専門のセンターとしては、医師の数が日本一。ここでは、診療だけでなく、研究も進めています。新オレンジプランの提案をしたのもこのセンターです。

 認知症は、根本的な治療がないのが現状です。治療と同様に重要なのが生活環境。このために、もの忘れセンターでは複数のプログラムを作っています。家族教室では、家族の対応の仕方などについて学んでもらいます。

 これは、長寿医療センターがオープンした時からの取り組みです。家族が支援プログラムを受けたかどうかによって、患者さんの受ける影響が全然違うことも数値で明らかになっています。

 また、認知機能を向上させ、予防に役立てるための運動「コグニサイズ」を開発するなど、臨床にとどまらず、役割は広がっています。

 生活、介護の分野で役立ち、リハビリ効果をあげる体の動きをサポートするロボットを開発するのが健康長寿支援ロボットセンター。このセンターでは、患者さんに協力をしてもらいながら、フレイル予防リハビリロボットなど、さまざまな実証実験を進めています。

 長寿医療研修センターでは、全国に拡大する認知症サポート医の研修にあたっています。

◎新たなセンターも計画

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 この4月にはロコモフレイルセンターを開設。整形外科や老年内科、リハビリ科の医師など多職種で、フレイルの診断や予防、治療に取り組んでいます。

 筋力が落ちていると、合併症も起こりやすく入院も長いというデータがあります。これに対応して、運動訓練、筋力回復、持久力をあげるトレーニングを実施し、機能効果を研究していきます。

 現在、治療薬がないため、治験を進めていきながら、いずれは、骨粗しょう症のように、筋肉を増やす薬剤なども開発したいと考えています。

 外来棟の建物は、築51年と老朽化が進んでいたため、2018年2月を目指して新たに建設中。ロコモフレイルセンターがここに入る計画です。

 また、感覚センターという五感に関わる眼科、耳鼻科(聴覚、嗅覚、味覚)も計画中で、患者さんを総合的に診ていきます。

◎患者さんと接する時

 認知症の患者さんと接する時に大事なことは、本人の希望や意思を一番大事にすることだと思います。

 そのためには、家族だけでなく、悩んでいる本人の話をしっかり聞くことも大切です。人生観やプライドを大切にした上で、一人の人間として、患者さんを支えるべきだと思います。

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター
愛知県大府市森岡町7-430
TEL:0562-46-2311
http://www.ncgg.go.jp/index.html


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