医療法人 友紘会 彩都友紘会病院 中村 仁信 病院長

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希望をつなぐがん治療を

【なかむら・ひろのぶ】 灘高校卒業 1971 大阪大学医学部卒業 1976 国立大阪病院放射線科 1981 大阪大学微生物病研究所放射線科長 1995 大阪大学医学部放射線医学教室教授(現:同大学院医学系研究科放射線統合医学講座) 2003 大阪大学ラジオアイソトープ総合センター長 2004 大阪大学図書館長 2009 大阪大学名誉教授 医療法人友紘会彩都友紘会病院病院長

 2007年に大阪府茨木市に開設した医療法人友紘会彩都友紘会病院。がん治療に特化した病院として検診から急性期、終末期までを担い、がん患者をきめ細かに支える。放射線科の医師として長年がん治療に携わってきた中村仁信病院長に話を聞いた。

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◎「切らずに治すがん治療」を目指して

 医療法人友紘会(林豊行理事長)の歴史は、1980(昭和55)年に大阪府茨木市に開設された友紘会総合病院から始まります。

 現在までに、大阪府のほか奈良県、岡山県で病院を運営しており、グループの病院は当院を含めて7病院になります。

 2007年に、医療法人友紘会で初めてとなる、がんの専門病院として彩都友紘会病院を開設しました。

 私は2年後の2009年に病院長として着任。がん患者の高齢化に着目し、低侵襲な「切らずに治すがん治療」の提供を目指しています。

 2010年11月には、日本医療機能評価機構から、がん専門病院の認定を受けました。これは民間病院としては国内で2番目です。患者さんは、茨木市、吹田市など周辺地区の方が中心です。

 現代は、2人に1人ががんになる時代です。新しい治療法も次々に開発され、がんと長く付き合う時代でもあります。さまざまな治療の選択肢を提供できるよう、病院も常に進歩を求められています。

◎ハイパーサーミア(温熱療法)を駆使

 当院では、人間ドックのなかでも特にがんドックに力を入れています。遺伝子関連検査として、RNAマイクロアレイ血液検査を実施。採血で、「マイクロRNA」という遺伝子の有無を調べ、がんの早期発見をするものです。

 また、血液中のアミノ酸の濃度でがんを検査する「アミノインデックス検査」を導入。できるだけがんに関係する検査は取り入れるようにしています。

 治療では、最先端の放射線治療装置2台を導入した放射線治療、抗がん剤治療、血管内治療をしています。また、専門的な手術が必要な場合には、大阪大学より専門医を派遣していただくこともあります。

 6階建ての病院の2階、3階、4階、5階が病棟となっており、3階は、最大40人が入院できる緩和ケア病棟です。緩和ケアには特に力を入れ、専門の医師やメディカルスタッフが緩和治療に当たっています。

 当院の一つの特徴として、積極的に取り組んでいるのが「ハイパーサーミア(温熱療法)」です。がんが熱に弱いメカニズムを利用したもので、首から下なら、どこでも治療可能です。これまで約1600人の実績があります。

 患部を電極で挟んで、1回の治療で40分間加温します。週1回の治療を8週間で1クール。通常、正常な組織は、温めると血管が拡張して放熱します。しかし、がんの血管は、未熟で拡張できないため温度が上がりやすく、摂氏42.5度を超えると死滅する可能性が高まります。

 ハイパーサーミアは、免疫力を高め、がんが大きくなるのを抑え、転移を予防する効果もあります。治療による副作用がほとんどないのも特徴で、長期間の治療も可能です。

 しかも、診療報酬は治療一連につき9000点と、がん治療としては安価な方です。1クールの治療の支払いが、3割負担の方ですと3万円もかかりません。実施医療機関が放射線治療(多くは診療報酬3万点以上)のように広がらないのは、この安さが理由かもしれません。

 「抗がん剤治療も、放射線治療もできないと言われました」と最後の頼みの綱として、当院を訪れる"がん難民"の方が多くいます。このような患者さんに「まだ、ハイパーサーミア治療がありますよ」と言うと、希望を持ち、目の色が変わって生き生きされる。そういう場面を数多く見てきました。

 ハイパーサーミア治療によって、余命が3カ月、半年などと言われた方が、結果的にそれ以上の期間を、安定した状態で過ごし、「この治療があって良かった」と言ってくれると本当にうれしく思います。患者さんのQOLを維持できるような低侵襲な治療を提供し続けたいですね。

◎対話を重んじる

 がん治療は次々と新たなものが登場し、情報も多数飛び交っています。最近では、ビタミンC点滴療法が注目されていますが賛否両論のようです。しかし、「科学的根拠がないものはダメ」の一言で片づけていいかというと、そうではないようにも思います。「この治療をやってみたい」。患者さんにその目の輝きがあれば、その分だけでも長生きできるのではないかと思います。

 若い医師の中には、「情報は率直に伝えるべき」と悪いことも包み隠さず言う方もいるようです。しかし、私は必ずしもそうは思いません。うそはいけませんが、何でもあからさまに伝えるのではなく、時には隠して上手に励ます。それが、本来の医師の役割だと思うのです。

◎放射線の正しい知識を伝える

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 1972年に放射線科医となり、肝臓がんの血管内治療を特に多く手がけました。患者さんの横で、長年エックス線を浴びてきました。

 1997年に国際放射線防護委員会(ICRP)の委員になり、放射線の人体への影響について改めて学び、低線量の被ばくでは、かえって免疫力が強くなることがわかりました。

 薬剤や放射線曝露(ばくろ)の問題が取り上げられ、悪い影響ばかりに目が向きがちです。でも、薬剤にしろ、放射線にしろ、カギはその「量」です。毒性があるトリカブトも適切に扱えば漢方薬になるのです。われわれ放射線科医は、医療関係者や一般の方に対して、「放射線はわずかでも危険という考えは誤りである」という、放射線の真実を伝える使命があると思います。

医療法人 友紘会 彩都友紘会病院
大阪府茨木市彩都あさぎ7-2-18
TEL:072-641-6898(代表)
http://www.saito-yukoukai-hp.jp/


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