「説明と同意」はどう根付いたか 問われる 苦情解決の仕組み

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患者の権利オンブズマンが解散18年の活動に幕

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解散報告集会の様子

 「正確な診断がなされなかったために症状が悪化した」「病院がカルテを開示してくれない」--。

 こうした患者の訴えの受け皿として1999年に設立された「NPO法人患者の権利オンブズマン」が、4月23日、天神ビル(福岡市中央区)で解散報告集会を開いた。すでに活動自体は終えており、5月31日をもって解散する。主な運営資金だった寄付金が集まらなくなったことに加え、ボランティアが十分に確保できなくなり、活動継続が難しくなっていた。

 「インフォームド・コンセント」が医療法上の医師の努力義務として医療法に明記されたのは1997年。患者の取り違え、誤薬による死亡事故などが多発し、社会問題化した1999年は、「医療安全元年」と言われる。

 同オンブズマンは、市民と医療、福祉、法律などの専門家が協働する機関として活動をスタート。患者やその家族が苦情を整理し、医療機関や福祉施設と直接話し合って苦情が適切に処理されるよう、面談や同行支援でサポートしてきた。

◎公的な第三者機関を

 日本医師会の「医師の職業倫理指針」第3版(2016年10月)では、インフォームド・コンセントを「患者に対して検査・治療・処置の目的、内容、性質、また、実施した場合およびしない場合の危険・利害得失、代替処置の有無などを十分に説明し、患者がそれを理解したうえでする同意」と定義している。

 言葉自体は浸透したといえるが、医療者と患者間では、しばしば「説明と同意」に対する認識や理解にズレが生じ、トラブルへと発展するケースも少なくない。

 同オンブズマンの平野亙副理事長(大分県立看護科学大学准教授)は「インフォームド・コンセントの不成立による苦情事例が圧倒的に多い。患者の権利ではなく、医療者主体で進めるものとして根付いてしまった」と指摘する。

 医療者と患者の間にある溝を埋め、あるいは橋をかける。同オンブズマンが目指してきたのは、両者が健全に意思疎通できる社会を実現することだったともいえる。

 今後、医療に対する患者の不信感、疑問を、どうやって受け止めるのか。患者アドボカシー(※)への意識が高い欧米では、公的第三者機関による苦情解決が機能しており、日本でも実現が待たれている。「早急に第三者機関の活動を支えるための法制度の整備が必要です」(平野副理事長)

 平野副理事長は18年間の活動を振り返り、「世界的にも、ボランティアだけでこうした機関の運営を担ってきたのは私たちだけだろう」と、果たしてきた役割を評価する。

 「苦情は文句ではない。患者の苦しい事情が存在することを忘れてはいけない。組織は解散するが、市民として、一人一人ができることを続けていきたい」(平野副理事長)

 18年間の活動内容の累計は、電話相談3265件、面談相談3361件、同行支援68件、苦情調査・点検・勧告21件など。患者の権利オンブズマン東京は、活動を継続する。

※アドボカシー=権利擁護、支援


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