公立邑智病院 荘田 恭仁 院長

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24時間断らない医療
人材確保が課題

【そうだ・やすひと】 熊本マリスト学園高校卒業 1980 長崎大学医学部卒業 1986 熊本大学大学院医学研究科修了 2006 飯塚病院総合周産期母子医療センター長 2008 公立邑智病院 2015 同院長

 中国山地の真ん中、風光明媚(ふうこうめいび)な於保知(おおち)盆地の中央に建つ公立邑智病院。高齢化と過疎化が進む邑智郡内唯一の急性期・救急病院だ。その役割と地域が抱える課題を荘田恭仁院長に聞いた。

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◎24時間断らない救急

 当院から、近隣の病院まで車で約1時間。「24時間救急車を断らない」を合言葉に、救急医療に取り組んでいます。

 医師は私を含めて10人。それぞれの専門分野だけでなく、診療科の垣根を越えてお互いに助け合い、教え合いながら救急医療に当たってきました。

 ただ、大学病院と同じレベルの救急医療はできません。できる範囲の診療を確実にすることを心がけています。受け入れられない救命救急医療・高度医療は、県内の浜田市、出雲市や、隣県の広島市にある救命センターと連携して対応しています。一般的な病気やけがの治療には、すべての常勤医師が総合医として対応し、8割程度は院内で完結させることが目標です。残り2割は島根大学、広島大学、島根県立中央病院、浜田医療センター、広島市立安佐市民病院などの基幹病院に受け入れをお願いしています。

 98床の病院ですが、総合診療科、産婦人科、小児科、外科、麻酔科、泌尿器科、整形外科、歯科、それぞれに優秀なスタッフがそろっていると自負しています。

 2月、総合診療科に皮膚科専門の医師が着任。それを機に皮膚領域の専門外来を開設しましたが、皮膚科の外来患者さんが思いのほか多く、開業医から紹介を受けた難しい症例だけを専門の医師に診てもらい、比較的軽症の患者さんは他の医師たちが診ています。

◎高齢化率40%超

 人口1万人余りの邑南町は、高齢化率40%を超えています。

 慢性疾患や複数の疾患がある患者さんが多く、老衰に近い患者さんも増えてきました。しかし当院には慢性期の患者さんを受け入れる病床がありません。周辺にも、受け入れ可能な医療施設が少なく、地域連携室職員も頭を悩ませているところです。

 子育ての問題も深刻化しています。産婦人科医として妊婦の様子を見ていると、近所に相談できる人がいないために、産後の子育てに不安を抱えた方が多いのです。母親が妊娠や育児に対して強いストレスを受けると、子どもの発達にも影響を及ぼします。

 高齢化と過疎化に歯止めをかけるため、邑南町は「子育て日本一」を目指し、2人目以降の保育料の無料化をはじめとする、さまざまな取り組みをしています。

 4月には「ネウボラ制度」が始まりました。福祉の先進国、フィンランドの子育て支援制度をモデルにしたもので、1人の保健師が特定の妊婦を担当し、出産から子どもが小学校に入学するまで、育児相談に乗るのです。

 昔でいう"近所の世話好きおばさん"の役割を保健師が担うもので、全国でもまだ数カ所の自治体でしか実施されていません。この町では年間80人ほどの赤ちゃんが生まれています。1人の保健師が数人の妊婦を担当するとしても、その数に見合うだけのマンパワーが必要です。今後は保健師の確保も求められると思います。

◎がん診療

 当院は、がんの手術・放射線治療といった初期治療には対応できませんが、がんが再発した時の対応や緩和ケア、みとりなどについては、今から少しずつ力を入れていかなければならないと考えています。

 地元で治療したい患者さんのために、術後はなるべく当院で受け入れたい。現在は抗がん剤治療の導入も検討しているところです。

 ただ、外来化学療法をするとなると、専門の設備や専従の看護師も必要になります。それだけの需要があるのかどうか、見極めが難しいところです。

 5年後をめどに本館棟の建て替えを予定しています。どのような病院にするのか、今年中には結論を出したいと思います。

◎開業医の高齢化

 地域の開業医の高齢化も問題です。このままでは、あと10年もすれば、現役の医師がほとんどいなくなってしまいます。

 行き場がなくなった患者さんは当院が引き継ぐことになるのでしょうが、現状はそこまでの余力はありません。

 これまで、在宅医療は民間病院にお任せしてきましたが、今後は在宅診療も念頭に置く必要があります。看護師を少しずつ増やすなど準備を始めているところです。

◎人員確保が課題

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 現在、最も大きな課題は、いかに人員を確保するかということ。看護師、薬剤師、放射線技師など、まだまだ十分とはいえません。

 医師もほとんどが還暦前後。あと5年もすれば引退してしまいます。今いる医師の多くは大学からの派遣で来たわけではないので、後任の医師が大学から来てくれるという確約もありません。

 もし私が交通事故に遭って、明日から診療ができなくなったら、代わりがいないのでお産ができなくなります。ほとんどの診療科に医師が1人しかいないことを考えると、早急に解決しなければならない問題です。

 島根大学の地域枠の学生の何人かは卒業後、ここに来てくれるとは思います。しかし、キャリアを積んで一人前になってから来てもらわないと、この地域で必要とされている総合医療は荷が重いでしょう。

 最近は、地域医療をやろうという志を持った若い人が少なくなりました。医師の数が足りないわけではなく偏在しているのが現状です。

 国公立大学の医学生は国民の税金で育てているわけですから、卒業後は地元に還元すべきだと思います。

 島根大学を出た人には、島根県内で頑張ってほしい。ある程度強制力のある制度を設けるなどしてもらわないと、いつまでも解決できないのではないでしょうか。

日南町国民健康保険 日南病院
鳥取県日野郡日南町生山511-7
TEL:0859-82-1235(代表)
http://nichinan-hospital.jp/


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