社会医療法人盛全会 岡山西大寺病院 小林 直哉 理事長

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「医療と介護の町」をつくる

【こばやし・なおや】 1987 岡山大学医学部卒業 同医学部外科学第一講座入局 1992 岡山大学大学院医学研究科修了 1995 米国ネブラスカ州立大学医療センター 2000 岡山大学医学部附属病院助手 2007 岡山大学医学部・歯学部附属病院講師 2010 岡山西大寺病院院長 医療法人盛全会理事長 2013 社会医療法人盛全会理事長

 2016年5月に新築移転した岡山西大寺病院は、地域活性化の一翼を担っている。洗練されたデザインが評価され、2016年度の岡山市景観まちづくり賞も受賞。「医療と介護の町」の象徴として、さまざまな構想を練っている。

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―移転して1年が経ちました。

 地域の方々から「いい病院をつくってもらって本当にうれしい」という言葉をいただけたのが、一番心に残っています。

 職員に働きやすい環境を提供することも、かねてからの願いでした。旧病院は、職員用のロッカーがなく、駐車場のスペースも足りませんでした。

 新病院にはロッカーや自由に使える休憩室を設置し、154台分の駐車場を整備しています。もちろん私自身も、働くことに喜びを感じられる病院になったのではないかと感じています。

 移転の大きな理由は、築40年以上が経過した建物の老朽化と、空間の制約によって、やりたい医療をなかなかできなかった

ことです。新病院は、旧病院のおよそ2倍の面積に拡張しました。

 岡山大学時代の私の研究テーマはバイオ人工肝臓。透析装置に肝細胞を組み込み、肝機能の回復を図るシステムの開発を目指していました。

 その経験を地域医療に役立てたいと思い、私が院長に就任した2010年(同年に理事長就任)以降、透析に力を入れています。

 当院の柱として透析を充実させていきたいと思っていましたが、旧病院では部屋をやりくりしても、13ベッドを置くのがやっと。配置できる設備やスタッフも限られていました。

 現在は25ベッドに増床し、体への負担を低減できるオンラインHDFを導入。40ベッドまで対応できます。

 もう一つの柱はリハビリテーションです。365日、切れ目のないリハビリに取り組んできました。

 リハビリ室は3倍に拡大。明るさと、眺望の良さが特徴です。職員も8人から55人に増員し、急性期から訪問リハビリまで対応できる体制を整えました。

 のびのびとした環境でリハビリに励んでもらいたいと強く思っていましたので、ようやく実現することができました。

―診療体制は。

 最新のCT、MRI、内視鏡システムを導入したことで、より正確な診断と安全な医療が可能になりました。

 手術室、内視鏡室はそれぞれ1室から3室に増室し、外来診察室は8室から13室に増えました。

 救急車の患者搬入は、一般車両とは異なる専用の動線を設計。「断らない救急」をスローガンに、年間約1200台の救急車を受け入れています。

 町並みや自然を見渡せる6階の療養型病床からの眺めは、とても美しい。もちろん裏付けとなるデータはありませんが、患者さんの早期の回復を後押ししているのではないでしょうか。

 建物や設備が古くても、技術やハートでカバーできる。そう信じていましたが、やはりハードとソフトの両方をそろえ、融合させることが大切なのだと実感しています。

 ゆくゆくは教育機関の役割も果たしていきたいですね。地域医療に従事したいと希望する人が、しっかりと学べる環境も提供したいと思っています。

―新設のヘリポートの活用状況は。

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岡山市東区の病院で唯一のヘリポート

 これまでに7回、使用しました。車で30分ほどの距離にある岡山市立市民病院まで、ドクターヘリならほんの3分。脳梗塞など、一分一秒をあらそう患者さんを救う、大きな力となっています。

 旧病院のさまざまな問題をこの病院で解決できたいま、イメージどおりの医療に取り組むことができています。

 ただ、実はもう次の展開に移っています。2019年5月、隣接地に新たな病院を開院します。

 当院が移転した後の建物は現在、耐震工事を施して療養病床の「岡山西大寺病院附属中野分院」として運用しています。その機能を移転して、当院と渡り廊下でつなぐ計画です。

 新病院は5階建てで、丸みを帯びたデザインが特徴です。中央部分を吹き抜けにするなど、開放的な空間にします。

 当院は急性期病院、新病院は療養型病棟の機能を担います。新病院は通称「西大寺ドーム」と呼ばれ、ランドマークになるのではないかと期待しています。

―地域でどのような役割を果たしていきますか。

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2019年5月に開院予定の新病院(右)完成イメージ

 これからの時代は、いい病院があり、いい介護施設があるところに、ますます人が集まると思うのです。

 西大寺というと「裸祭りの町」を連想します。それを、私は「医療と介護の町」に変えていきたい。

 質の高い医療サービスを提供すれば、県内はもとより、県外からも人が集まるでしょう。そのためにも積極的に行政を巻き込むつもりです。

 防災週間中の9月3日、当院の向かいにある西大寺緑花公園で、岡山県による防災イベントがあります。県の要請で当院もイベントに協力し、ドクターヘリの演習を市民のみなさんに披露します。

 警察や消防、医療が一体となった住みやすい町の未来を、少しでも予感してほしいと思います。

 災害に対する取り組みも、今後は本格化させていきます。ここは避難所として500人を収容できます。再来年にできる新しい病院でも500人。計1000人を守ることができます。

 当院の1階は防潮扉で水害に強く、自家発電機を7階に置いているので、電源も心配ありません。

 万が一の事態にはヘリポートも活躍するでしょう。「岡山市東区は災害に強い」という点も広くアピールして、安心して暮らせる町づくりに貢献したいと思います。

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 当院の開院に合わせて「岡山西大寺病院前」バス停が新設されました。

 熱心な患者さんが、1カ月かけてバス停設置のための署名活動をしてくれたのです。約2000人の同意書を集めて、岡山東警察署に嘆願書を提出しました。住民の思いが、町を動かしたのです。

 病院が発展していけば、地域内のアクセスも利便性が高まるのではないかと確信しています。

 私たちと同じビジョンを持った人材をもっと集め、この地域が「医療と介護の町」の成功例として知られるようになることが目標です。

 ノウハウを、全国のいろいろな地域にも展開していきたい。日本の医療、介護のレベルを引き上げる一つの出発点になれれば、こんなにうれしいことはありません。

社会医療法人盛全会 岡山西大寺病院
岡山市東区金岡東町1-1-70
TEL:086-943-2211
http://www.saidaiji-hp.or.jp


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