金武外科肛門科 金武 良憲 院長

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便秘治療には朝1杯の冷たい水を

【かなたけ・よしのり】 龍谷高校卒業 1998 北里大学医学部卒業 日本大学医学部消化器外科入局 2003 所沢肛門病院 2006 金武外科肛門科副院長 2016 同院長

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―痔(じ)の手術は、自由診療の地域が多いですね。

 自由診療の手術明細を見て、すごく高額なことに驚かれるのではないですか。なぜか地域ごとに差があって、痔の手術について自由診療がほとんどの地域もあるんです。

 九州とはまったく違う文化です。痔の手術に関していえば、すべて保険適用されますので、普通に保険適用で治療したほうがいいでしょう。

―表面化していませんが、痔など肛門周辺の疾患は多いといわれています。

 他人に見せるのに躊躇(ちゅうちょ)する部位ですので、敷居は高いみたいですね。よほど症状が悪化した方、痛みと出血がはっきりと表れるようになってから通院される方が多いと思います。

 いぼ痔に代表される、内痔核と呼ばれるものは痛みがほとんどないので、放置して市販薬などで様子を見る方がほとんどです。来院される方は痔という疾患の潜在層のごく一部ということです。

 テレビなどで塗り薬の広告をよく見かけますが、じつはそれで治ることもあるのです。放置していて治ることもありますが、普通の方に放置していいのかどうかの判断はできません。適切な処置が必要な症状なのかどうか、少しでも自覚症状があるのであれば、ぜひ病院で診てもらってほしいと思います。

 現在、1日に約50人の患者さんを診ています。疾患としては痔が多く、残りは大腸検査ですね。痔の場合、まず直接目で見る視診、そのあとに指で検査する触診、次に肛門鏡を使っ

て中の状態を確認し、手術の適用があるかどうかを確認します。手術は年間に300例程度になります。大腸検査も年間750例くらい実施していますので、クリニックの中では多いほうだと思います。

 当院にはお尻から出血したことがきっかけで来院する方がいますが、その方がもし内科に行ったとしても、まず「お尻を見せてください」とはなりません。当院では見て、指で届く範囲であれば確認できますので、触診で大腸がんが見つかることもあるんですよ。

 そういう意味でも、大腸内視鏡検査の重要性をもっと啓発して、受ける方を増やさなければならないでしょう。たしかに胃カメラよりもハードルが高く、下剤を飲んだり前処置もあったりしてきつい検査のうちの一つですが、大腸がんの発見には効果が高いですから。

 いかに大腸検査をしてもらうか、国や自治体でも便検査を推奨して検査に取り組んでいますが、われわれも啓発活動に取り組んでいきたいと思います。

―痔にならないために心掛けることは。

 代表的な痔である切れ痔の裂肛や内痔核、外痔核は、排便習慣の改善が一番効果があると思います。トイレに長く座ったり排便するときに強いいきみがあったりする方、さらに便が硬い方は痔になりやすい。

 痔にならないためには食生活を含めた日常生活のすべてが関係すると思っていいでしょう。

 当院は便秘治療にも力を入れています。便秘で悩んでいる方は多く、市販薬を使ったり他の病院で出された下剤を使いすぎたりして慢性化して薬が効かなくなるとか、そんな方が多いんですね。いかに薬の効き目が慢性化しないように、それぞれのニーズにあった薬を調合するか、そこに力を入れています。

 ひどい便秘は病気だと考えていいと思います。若いころは女性の便秘が多いのですが、70歳以上になると男性のほうが多くなります。これは、男性は便秘の経験が少なかったために「自分は便秘ではない」と思いこんで、適切な治療を受けない方が多いことも原因の一つだと思います。

 便秘薬は飲みすぎると効き目がなくなってきます。今では慢性化しにくい薬が発売されており、今年は数社から同様の薬が出る予定です。それをどううまく使って患者さんに効果がある調合ができるか、腕の見せ所ですね。

 便秘治療には薬と生活習慣の改善、食事の改善が、効果があります。食事は水溶性の繊維質を多く摂取すること。あとは水分補給と適度な運動です。

 大事なことは我慢しないことです。職場や学校で排便に行けずに我慢していると直腸神経がおかしくなって「排便したい」という指令に結びつかなくなり、排出困難型便秘、直腸型便秘につながります。「いきたくなったらすぐ行く」。これを心がけていただきたい。

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 排便する姿勢について、実は和式便所のほうが理にかなっているんです。少し前かがみになって排便すると直腸の角度が直線化するので出やすくなります。

 子どもの便秘として一番多い原因は学校で排便できないことです。その場合、まずは小児科に連れていかれることが多いのですが、小児科ではほとんどの場合、浣(かん)腸で便秘を治そうとします。

 これは肛門科のわれわれとは異なる方法論で、便秘を治療する医師にとって浣腸は最終手段なんですね。だから「小児科では浣腸しかされない」と、困って来院されるお母さんもいます。

 まずは飲み薬や生活習慣でコントロールすべきで、浣腸も外部刺激であることに変わりはなく、繰り返すと刺激がないと排便できないお尻になってしまいます。一般の方でも、浣腸は最終手段と考えてほしいですね。

 大便は、小腸で栄養と水分の90%が吸収されます。残りの10%が大腸で吸収されますが、その部分ではまだ「下痢便」で、残りの10%がゆっくりと吸収されて、水分5%程度の状態が一番良い硬さの便になります。それより少ないととても硬い大便で、5%を超えると下痢になる。じつはほんの数%の差なんですね。

 便秘だから、と何も食べない方もいますが、これも逆効果です。胃結腸反射といって、胃にものを入れることで内臓は動き出すので、まずは食べて下剤でも飲んで水分を多くとって出してしまうことを考えたほうがいいと思います。

 朝、寝起きにコップ1杯の冷たい水を飲むのも効果的ですし、オリーブオイルなどの体に良いオイルを少し摂取するのも便秘治療の一つです。

医療法人 金武外科肛門科
佐賀市城内2丁目2-56
TEL:0952-24-3232
http://www.kanatake.com/


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