市立東大阪医療センター 谷口 和博 理事長 / 辻井 正彦 院長・副理事長

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柔軟な経営で改革を進める

【たにぐち・かずひろ】 1977 大阪大学医学部卒業 1982 大阪大学医学部附属病院 1993 同第一外科医局長 1996 労働福祉事業団(現:独立行政法人労働者健康安全機構)大阪労災病院心臓血管外科部長 2008 同副院長 2016 市立東大阪医療センター理事長
【つじい・まさひこ】 1984 大阪大学医学部卒業 1988 大阪大学大学院医学部第一内科1993 米国バンダービルト大学消化器科 2011 大阪大学大学院消化器内科准教授2015 大阪労災病院副院長 2016 市立東大阪医療センター院長・副理事長

 昨年10月、運営を地方公営企業法の全部適用から、地方独立行政法人に移行した市立東大阪医療センター(旧: 東大阪市立総合病院)。谷口和博理事長、辻井正彦院長が描く改革プランとは。

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―地方独立行政法人に移行して半年。運営のポイントは。

谷口和博理事長(以下理事長) 当院は1949(昭和24)年、布施社会保険病院として開院しました。1967(昭和42)年、布施市、河内市、牧岡市の3市合併により東大阪市が誕生。東大阪市立中央病院となりました。

 1998年、現在地に移転し、東大阪市立総合病院に改称。中河内医療圏最大の自治体病院として、地域がん診療連携拠点病院、地域医療支援病院、災害拠点病院など、さまざまな役割を担っています。

 2016年10月、地方独立行政法人「市立東大阪医療センター」として新たにスタートしました。

 公的病院であることは変わらず、より柔軟な運営を推進できる体制となりました。医療情勢の変化や医師不足などの課題に対応し、安定的な経営基盤の構築を目標としています。

 病院の方針は2016年10月から2021年3月までの中期計画に基づいています。重点的に取り組む項目は三つあります。

 休診中の呼吸器内科、精神科の再開を含め、診療科の充実を図る。新設する心臓血管外科を軌道に乗せる。人材の育成・獲得を強化する。この3点です。

辻井正彦院長・副理事長(以下院長) この地域は昔から喘息(ぜんそく)の患者さんが多いのです。堺の工業地帯から流れてきた煙が生駒山にぶつかり、滞留したことが原因です。

 大阪府下でも高齢化率が高いことから、誤嚥(ごえん)性肺炎なども多く見られます。

 呼吸器疾患には一般内科が可能な限り対応。地域がん診療連携拠点病院であることから、肺がんに特化した診療も今年3月から始めました。

 とはいえ地域には、専門性の高い呼吸器内科の再開が望まれています。

 精神科の必要性は、救急医療の現場でも高まっています。精神科の患者さんに安心してもらえる受け入れ体制を整えるために、常勤の医師確保に努めます。

―心臓血管外科の新設については。

理事長 大阪大学の心臓血管外科教室から医師を派遣してもらい、2018年度から本格的に手術を開始する予定です。来年3月までに、ICUの環境を整備します。

 この地域の循環器疾患、特に心臓血管外科の領域の患者さんは、実に30%以上が大阪市に流出している状況です。

 心臓血管外科の新設によって、わざわざ遠くまで行かなくても地域で完結できる医療の提供を目指します。

 ICUの整備などで病院の魅力を高め、医師の獲得にもつなげていきたいと考えています。稼働中の31の診療科、547病床の規模に対して、現状の約120人の医師では足りない。20〜30人は多く必要でしょう。院長 大学の医局から派遣してもらっている医師は、約7割が大阪大学、約3割が奈良県立医科大学です。

 優秀な人材を継続的に獲得するためには、給与面なども重要ですが、別の側面にも力を入れていくべきだと考えています。

 一つはアカデミックな部分。学会活動や論文作成などを奨励していきます。積極的な研究活動で若い世代の育成、医療の質の向上を図りたいと思います。

 若い人たちにやりたいことがあれば、できるだけサポートしていきたいと思います。あるいは病院からテーマを提示して、大規模な臨床研究に発展させていく。臨床研究が活発に生まれる流れをつくりたいと思っています。

―どんな病院を目指しますか。

理事長 地域医療構想の中で当院が目指す姿は、高度急性期機能を持つ病院です。

 中期計画では、2018年度までに単年での収支を黒字化。2021年の3月までに、5年間を通じての黒字化達成を掲げています。効果的な人的、物的投資のための戦略を練っているところです。

 三つの重点目標と、もう一つ私が早急に進めたいと考えているのが、職場環境の改善です。

 休診中の呼吸器内科は、かつて全入院患者の10%程度の診療を担っていました。結果、スタッフが疲弊してしまった過去があります。

 政府は「働き方改革実現会議」で検討を重ねていますし、当院でも真剣に取り組むべき時期を迎えていると思うのです。

 「ワークライフバランスの導入は、働き方が特殊な医療現場にはなじまないのではないか」「人件費が増えて経営に深刻な影響が及ぶ」など、さまざまな意見があることは知っています。

 しかし、私は必ずしもそうではないという立場です。いい職場が先にあって、いい人材が集まる。内外の意見を募って、当院全体での意識改革を促したいと思っています。

―今後、強みをどう伸ばしますか。

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院長 当院の神経内科や腎臓内科は、十分な数の医師がいて充実していると自負しています。

 救急医療についても、複数の科が連携したチーム医療が強みです。高齢化が進み、いくつも疾患を抱えた患者さんが増えています。窓口として総合診療科を設置していますし、さまざまな合併症に対応できるだけの経験と力を備えています。

 2015年からは「断らない救急」を掲げ、救急車の受け入れ台数も年々伸びています。

 がん治療でもチーム医療の成果を発揮し、専門病院とは異なるアプローチで医療を提供できると思います。大阪市内にあるハイボリュームセンターとも連携しながら、当院の存在意義を示していきたいと考えています。理事長 4月から当院は、中河内救命救急センターの指定管理者となりました。

 当院は2次救急の指定病院で、中河内救命救急センターは3次救急を担っています。一体化できれば、1次から3次まで対応することになり、地域から期待されている救急医療の充実化に、さらに近づきます。

 現在、中期目標の各項目は、おおむね達成できているか、目標に近い数値を出しています。

 順調な滑り出しと言えますが、忘れてはいけないのは、「できるだけ多くの患者さんに利用してもらう」という公的病院としての思いです。このスタンスを軸に、改革の可能性を広げていきたいと思います。

地方独立行政法人 市立東大阪医療センター
大阪府東大阪市西岩田3-4-5
TEL:06-6781-5101
https://www.higashiosaka-mc.jp


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