鳥取大学医学部 脳神経医科学講座脳神経小児科学分野 前垣 義弘 教授

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正しい診断、今できる最新の治療を提供したい

【まえがき・よしひろ】 兵庫県立村岡高校卒業 1988 鳥取大学医学部卒業同附属病院研修医 1993 同助手 1997 文部省在外研究員Section ofEpilepsy Department of Neurology Cleveland Clinic Foundation 2003 鳥取大学医学部附属病院講師 2004 同脳神経医科学講座脳神経小児科学分野准教授 2014 同教授

 1945(昭和20)年に設置された米子医学専門学校が前身の鳥取大学医学部。脳神経小児科は、1971(昭和46)年に日本初の小児神経疾患の専門診療科として開設。以来、国内の小児神経疾患分野をリードしてきた。

 2014年に就任した4代目、前垣義弘教授に話を聞いた。

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―約50年という歴史ある講座です。

 講座の前身は「脳幹研究施設」で、他には、神経内科、脳神経外科、神経病理といった分野もありました。

 小児の神経疾患を専門に診る科は少なく、国内ではほかに岡山大学に小児神経科があるだけです。

 小児神経分野は小児科の中の一分野ですが、専門性が高く、しかも神経疾患、代謝異常、発達障害など幅広い分野を扱っています。最近では特に発達障害が増加するなど、患者数が多いことも特徴です。

 当講座では、基礎研究や診療を担う医師を養成します。彼らには、まずは正しい診断をし、治る疾患はしっかり治療をし、治すことを学んでほしい。今できる最新の治療を提供する医師を目指してほしいと考えています。

―発達障害が増えています。

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 国内はもちろん、世界的に増加しています。

 文部科学省が2012年、全国の公立小中学校の通常学級に在籍する児童生徒を母集団として実施した調査では、6.5%の児童生徒に対して担当教員が「知的発達に遅れはないものの、学習面・行動面で著しい困難を示す」と回答しました。

 鳥取県で、全数調査をしたところ、小学校で5%に発達障害など何らかの問題があるという結果もありました。

 それらの児童生徒全員に医療が必要かというとそうではありません。

 学校では教員向けの講習や学びの場が多くありますので認識は広がり、理解も深まっています。しかし、成長して大人になると、職場での問題が起きてしまうことがあるのです。

 発達障害の特性を十分理解できない職場、あるいは上司がいれば、彼らは社会の中で生きづらくなります。

 私たちの講座では、厚生労働省と県の委託事業として、2008年から「子どものこころの診療拠点病院」として、地域の支援システムの構築を進めています。

 大学病院だけで、すべての患者さんを診ることは難しいため、一般小児科の開業医の先生方の、発達障害など神経疾患に対するスキルをより上げるための講習会を開いています。

 一般市民向けの講演会も開催し、広く理解を深めてもらっています。昨年は、学習障害の当事者の話を聞く機会ができました。

―力を入れている診療については。

 当講座3代目教授で現在名誉教授の大野耕策先生の代から先天性代謝疾患の一つ、ゴーシェ病の新しい治療に取り組んでいます。

 ゴーシェ病は、遺伝子変異が原因の神経難病です。講座では、世界に先駆けて「薬理学的シャペロン療法」という治療を進めています。

 1万人に1人が発症するという結節性硬化症にも力を注いでいます。遺伝子変異による病気で、3年ほど前に内服の治療薬ができて、脳や腎臓、肺の腫瘍の治療ができるようになりました。

 年齢によって、出てくる症状が違うのが結節性硬化症の特徴です。われわれが診る小児の時点では、てんかんの症状が多いのですが、加齢によって脳腫瘍や腎腫瘍につながるケースもあります。

 このような症状を、それぞれの科が見逃すことのないようにと、院内で多職種のチームを昨年末作りました。中四国で初です。

 これまで、ほとんどの神経難病は、治療手段がないというのが実情でした。最近、ようやくその中の一部に、治療法が出てきています。最新治療を提供し、希望をつなげていきたいですね。

 一方で、多くは慢性疾患ですので、患者さんに一生寄り添う姿勢も大切だと考えています。

―地域での取り組みは。

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学校関係者に講演を行う前垣義弘教授

 現在、県内の難病の重症児の数は、1 0 0 〜200人とそう多くはないのですが、人工呼吸器を付けていたり、胃ろうが必要だったりと重症度が高い子ばかりです。そのケアを担っている家族の負担は決して小さくありません。

 そこで家族の負担を少しでも軽減させようと、3年前から訪問診療医、訪問看護師などの専門家に、小児のケアについての講習会を実施。私も、講師として指導にあたっています。

 昨年11月には、当院に「小児在宅支援センター」を開設。ここを拠点に、今 後、人材の育成を進めます。

 4月には、これまで小児のケアについて学んできた方が、支援センタースタッフ同行のもと、訪問診療や看護の教育をスタートします。

 難病や重症心身障害の重症児、その家族を、地域から孤立させないシステム作りは重要な課題でしたので、ようやく形になりうれしく思います。

―課題は。

 小児神経の裾野を広げたいと考えています。「神経専門医でなくては診ることができない」ではなく、一般小児の先生にも小児神経の典型的な症例は診ていただき、難しい場合に大学で診るというような連携を作りたいのです。

 このため、10数年前から毎年秋に「小児神経入門講座」を開催しています。小児科医が毎年80人から100人、全国から勉強に来てくれますので、一般的な神経の見方などを指導しています。

 若い研修医の方もお見えになります。今後、地域を支える人材になってくれることを期待しています。

国立大学法人 鳥取大学医学部 脳神経医科学講座 脳神経小児科学分野
鳥取県米子市西町36-1
TEL:0859-33-1111(代表)
http://www.med.tottori-u.ac.jp/nousho/


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