医療法人 和香会 / 医療法人 博愛会 / 社会福祉法人 優和会 江澤 和彦 理事長

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「尊厳を守る」ことが最大のテーマ

【えざわ・かずひこ】 1997 岡山大学大学院医学研究科卒業 1988 岡山大学医学部第三内科 1993 倉敷広済病院(現:倉敷広済クリニック) 1996 医療法人和香会 医療法人博愛会理事長 2002 社会福祉法人優和会理事長

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◎最初の気づき

 1月15日、私が理事を務める岡山県医師会が、当法人の倉敷スイートホスピタルで「医師のための介護体験実践講座」を開きました。

 おむつを着用しての排せつや、介助を受けての入浴などを医師たちに体験してもらおうと、私が発案しました。介護される側の気持ちを身をもって知ることは、医師にとってとても大切だからです。

 1996年、医療法人和香会、博愛会の理事長に就任した私がまず取り組んだのは、実は夜な夜なおむつをして排せつしてみることでした。ずっと他人におむつを取り換えてもらっていたら、尊厳が破壊されてしまう。そんな危機感を抱きました。

 それ以前は、救急医療の現場で年間240日当直し、夜勤明けもそのまま勤務し続けるなど、ずっと病院にいる生活でした。この仕事に喜びを感じていましたから、望んでこのような働き方を選び、苦にもなりませんでした。

 ただ経営者の立場となったからには、私たちが提供している医療や介護といったすべてのサービスの質は私の責任です。そこで看護、リハビリ、栄養など、あらゆる職種の勉強を始めました。

 その中で、目からうろこが落ちたのが、介護の実体験でした。自分だけが裸になって機械で体を洗われるのも、不安や恐怖感すら伴うものだと分かりました。

 この体験を通して、医療とは疾患を治すことにだけ目を向ければいいのではなく、人々の生活を支えるためにあるのだと気づきました。

 私のライフワークである「一人一人の尊厳を守る」という決意が、改めて固まった瞬間です。その後、日本建築協会に通い始めたのも、尊厳を守り、自立を支援できる建物の知識が必要だと感じたからです。

◎人が行き交う拠点に

 和香会が運営する倉敷広済病院(現: 倉敷広済クリニック)は開院から30年以上が経過し老朽化。機能を移転するため、2012年に「倉敷スイートタウン」を設立しました。

 1〜3階が全室個室ユニット型の倉敷スイートホスピタル。4、5階がサービス付き高齢者向け住宅の倉敷スイートレジデンスです。

 常に人が行き交う、地域包括ケアの拠点となる施設をつくりたいと考えました。

 安心・安全な住まいがあり、必要なときに質の高い医療や介護を受けることができ、人生を豊かにするような付帯設備も充実している。「スイート(優しい)なホスピタリティーにあふれたコミュニティータウン」をコンセプトとしています。

 設計や内外装、カーテン、照明の選択などは私が手掛けました。特に意識したのは、過去の生活になかったものを極力排除し、どこまで普通の生活環境に近づけられるかという点です。

 倉敷スイートレジデンスは和風、洋風を合わせて130戸あり、全室デザインが異なります。これには、愛着を持って暮らしてほしいという願いを込めています。

 1ユニットは10人程度で、ユニットごとにひのき風呂を用意しています。肩までゆっくりと湯につかるのが日本の風習ですから、要介護者に向けた個浴のための浴槽を設計しました。修練すれば、職員1人によるマンツーマンでの個浴介助も十分に可能です。

 居室には、通常のコールボタンの他に緊急用のボタンも設置しています。緊急用を押すと、ドクターやナースの携帯7台が同時に鳴ります。

 ホスピタルの病室、レジデンスの居室ともに、私が考案した自立支援型のトイレを採用しています。

 例えば、ひじを乗せて体重をかけることのできる「板状の手すり」(写真)を開発しました。要介護になっても自力での排せつを促すためです。

 また、共有スペースのトイレは、車いすが自由に動ける十分な空間を確保しています。水回りも、通常のものと車いす用、二つの洗面台を設置しています。

◎地域の主役は

 地域の拠点を目指していますから、いかにも病院っぽい外観にはしたくありませんでした。1階のエントランスホールには季節の花々をあしらい、端午の節句やハロウィーン、クリスマスなどの時期にも飾り付けます。

 介護の現場はともすれば閉鎖的なイメージがつきまといます。地域の方々に多目的ホールを無料で貸し出したり、職員が積極的にボランティアで講演を開いたりして、開かれた施設として交流が生まれるよう努めています。

 大事なのは、地域に対して責任を持つことだと思っています。地域包括ケアの対象は認知症患者や高齢者だけではありません。若者や子どもたちをはじめ、全世代が含まれます。

 この地域にいる子どもの何割が住み続けることを選択し、その中でどれだけの数が医療や介護に携わってくれるでしょうか。成長を助け、導くのは私たち大人の使命です。

 医療、介護の連携はもちろん、町内会や民生委員、子どもたち、さらには多様な業種ともつながっていくことが必要です。

 地域ケア会議の委員長として認知症カフェの必要性を呼びかけ、2014年に倉敷で初めての「ほっとオレンジカフェ」をオープンしました。

 並行して「認知症マイスター」の養成を進めています。半日は座学、半日は地域のグループホームで認知症の方と触れ合う実習で、修了するとマイスターとして認定します。地域全体で認知症への理解を深めていくためのけん引役となってくれることを期待しています。

 さらに、認知症マイスターの上級コースである「地域マネジャー」も計画しています。基本的な医療や介護の知識を持ち、地域を見守るパトロール隊として活躍してもらいたいと考えています。一人暮らしの高齢者が亡くなっても、誰にも気づかれなかった。そうしたことも防げる仕組みにしていくつもりです。

 地域の主役は病院でも行政でもなく住民です。まずは私たちがファシリテーター(促進者)として力を尽くし、住民のみなさんが主体的に動き、活躍できる街をつくっていきたいと思っています。

医療法人 和香会 倉敷スイートタウン
岡山県倉敷市中庄3542-1
TEL:086-463-7111(代表)
http://sweet-town.jp/


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