愛媛大学医学部附属病院 三浦 裕正 病院長

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独自のプロジェクトで愛媛をロールモデルに

【みうら・ひろまさ】 1982 九州大学医学部卒業 1997 九州大学医学部附属病院講師 2008 九州大学医学研究院准教授 2010 愛媛大学大学院医学系研究科運動器学教授 2012 愛媛大学医学部附属病院副院長 2015 愛媛大学医学部附属病院病院長

 愛媛大学医学部では、複数の意欲的な取り組みが進行している。主なプロジェクトの現状と、自身が大会長を務める「第72回日本体力医学会大会」について、三浦裕正病院長・整形外科教授が語った。

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◎課題解決に貢献する二つの組織

 医師、看護師、放射線技師、臨床検査技師、薬剤師、社会福祉士、事務部門の実務担当者で構成する「経営改善タスクフォース」という会議を、2015年から開いています。

 メンバーは若い層が中心で、実効性のある権限を持たせています。私たち病院の中枢にいる人間は参加していません。

 同時期に若手の事務職員たちは「病院経営企画プロジェクトチーム」を立ち上げました。二つの組織は職員参加による経営効率化の取り組みとして、文部科学省にも高く評価されています。

 それぞれのチームがまとめた提案が、病院の経営面でさまざまな効果を生んでいます。一つはタスクフォースによる入院患者の外泊数の低減です。

 当院は、実は全国の大学病院でも上位3位内に入るほど高い外泊率でした。他の医療機関を受診するなど、収益面に影響していた点を問題視したタスクフォースのメンバーから、外泊抑制の案が提案されました。

 動き出してから圧倒的に外泊数が減り、9カ月間で、5300万円の収入増に結びつきました。

 またプロジェクトチームは、平均在院日数を減らすための「共通病床」のアイデアを出してくれました。

 当院では各病棟から病床を少しずつ拠出してもらい、約50の共通病床を設けています。

 整形外科の患者さんが多く、従来の病床だけでは対応できない場合など、この共通病床を自由に使えるようにしています。病床の稼働率を落とさず、在院日数の短縮化を図れるというわけです。

◎全国初のTMSC

 全国初の組織として2013年に開設した総合診療サポートセンター(トータルメディカルサポートセンター・TMSC)も当院独自の強みです。

 医師、看護師、臨床心理士など、多職種が連携して、患者さんの入院前、入院中、退院後の一連のプログラムを作成。各診療科が入院の手続きをするのではなく、すべてTMSCが窓口となるのです。

 当院での治療が終わったら、どこに転院し、どんな過程で自宅に戻るのか。退院後の生活を見据えて、きめ細かなプランニングを提案します。

 これからの地域医療の軸となる新たなモデルとして、全国的にも注目されています。多職種がこの規模で連携し、機能している組織は他にないでしょう。

◎オリジナルの人工関節も開発

 2014年に開設した人工関節センターは、臨床部門、研究開発部門、手術教育部門、オステオサイエンス(骨に関する基礎研究)部門の4部門で構成しています。

 当センターでの人工股関節と膝関節の手術数は飛躍的に伸びています。年間300症例以上と国立大学病院としてはトップクラス。安定した手術成績を誇っています。

 手術教育部門は、医学部の手術手技研修センターと密接に連携しています。ここでは、献体を使った手術のトレーニングが可能です。

 厚生労働省の認可を受け、献体による手術の研修が可能な大学は全国に五つ。その中でも、愛媛大学医学部がトップの実績です。

 年間で約600人の参加者がおり、16の診療科が絶えずセミナーに参加しています。人工関節センターとしては、若手のドクターを対象に研修センターでセミナーを開きました。

 ドクターに限らず、看護師の教育面でもメリットがあります。手術場で器具を渡すトレーニングなどにも適しているのです。

 研究開発部門は、オリジナルの人工膝関節を中心に開発しています。昨年は二つのモデルについて、国際特許も出願しました。

 いわゆる「医工連携」からさらに一歩進んで、整形外科のスタッフとしてエンジニアが2人在籍しています。

 人工関節センター内には人工関節開発のためのさまざまな機械をそろえ、耐久試験などを繰り返しています。大学病院の中に研究室を持ち、オリジナルの人工関節を開発しているのは、非常にユニークだと思います。

 オステオサイエンス部門には、骨や関節の基礎研究に取り組んでいる研究者が集まっています。もともと整形外科医だった研究者などもおり、変形性関節症のメカニズム解明などに挑んでいます。

 2015年、人工関節センターは、4部門の実績や患者のQOL向上に貢献している点が評価され、グッドデザイン賞を受賞しました。

 ここ愛媛県が人工関節の分野で中心的な役割を担い、日本をリードしている。そういっても過言ではないと思います。

◎楽しめる学会に

 日本体力医学会は、日本医学会総会の分科会としてスタートしました。国体の開催地で学会を開くのが通例で、今年は愛媛県に決まりました。

 私が大会長、愛媛大学社会共創学部の浅井英典教授が副会長を務めます。愛媛国体は「愛顔(えがお)でつなぐ愛媛国体」をスローガンとしています。本大会のテーマもそれに関連して、「愛顔でつなぐ体力医学〜いで湯と城と文学の街で再考する〜」としました。

 特別講演では、前国立スポーツ科学センター長で日本体力医学会理事の川原貴先生などをお招きします。アスリートのサポートやオリンピックのことなど、興味深いお話が聞けると思います。

 本来、体力医学会の主な対象とは異なる立場である外科医の私が大会長をしますので、その視点を生かしたプログラムも盛り込みたいと思っています。

 例えば、ロコモティブシンドロームをテーマに、高齢者の体力向上の取り組みや、人工関節を入れた後のスポーツ活動などを考えるシンポジウムを予定しています。

 運動生理学や、スポーツ・バイオメカニクスなどの分野と、私たち整形外科の融合を後押しできるような会にできたらと思っています。

 マラソン大会など、この学会らしい企画も予定しています。「愛顔でつなぐ」というテーマにふさわしい、みなさんが楽しめる会にしたいですね。

愛媛大学医学部附属病院
愛媛県東温市志津川
TEL:089-964-5111(代表)
https://www.hsp.ehime-u.ac.jp


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