ちゅうざん病院 末永 正機 院長

  • はてなブックマークに追加
  • Google Bookmarks に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • del.icio.us に登録
  • ライブドアクリップに追加
  • RSS
  • この記事についてTwitterでつぶやく

沖縄県初のリハビリテーション専門病院院長が語るリハビリテーションの重要性

【すえなが・まさき】 福岡大学附属大濠高校卒業1992 愛知医科大学入学 1998 愛知医科大学卒業岡崎市民病院 2003 中津川市民病院 2008 国立長寿医療センター 名古屋大学大学院修了 2010 岐阜県立多治見病院勤務 2013 ちゅうざん病院

k17-1-1.jpg

◎在宅復帰を見据えたリハビリを提供

 当院は1984(昭和59)年に沖縄県初のリハビリテーション専門病院として開院しました。

 沖縄が本土に復帰したのは1972(同47)年。当院が開院した当時の沖縄は、まだまだ医療資源が乏しく、リハビリテーションの概念も根付いておらず、障害に対して適切な治療がなされているとは言い難い状況でした。

 今でこそリハビリテーション専門病院はたくさんありますが、私たちは地域包括ケアが提唱されるはるか前から、患者さんの在宅復帰を目指した地域包括医療を展開してきました。

 病床数は216床で、すべて回復期リハビリテーション病床。全国的に見ても216床すべてが回復期という病院は少ないのではないでしょうか。

 リハビリは万能薬だといわれています。認知症に対する運動療法の予防効果や心肺機能や各臓器に対するリハビリテーションの有用性は数多く報告されています。

 薬に頼らない治療法なので患者さんからのニーズも高く、また財政的な側面からも有用な治療法だと思います。

◎リハビリの重要性

 私が当院に来たのは5年ほど前です。専門は内科で、当初はリハビリについての認識が十分だったとは言えませんでした。しかし当院で適切なリハビリを提供することで、みるみる改善するのをみて、リハビリの重要性を再認識させられたことを覚えています。

 しっかりとゴール設定をし、適切な運動療法、作業療法をすることで寝たきりに近い状態の人が、自分の足で立ち、歩くことができるようになるのです。

 こういった経験から他科の医師とリハビリに従事する医師とでは、リハビリの有効性についての認識にまだまだ乖離(かいり)があると感じています。

 急性期のうちから早期にリハビリを開始することで在宅復帰率は間違いなく高まります。もっと多くの医師にリハビリの重要性に気づいてほしいですね。

◎在宅復帰を見据えて

 患者さんの平均年齢は79歳です。世間ではリハビリはスポーツ選手など、若い人がやるものだというイメージを持たれがちですが、現在では、高齢者が自分の生活を取り戻すためのものが中心になってきました。

 ベッドから起き上がって、トイレに行く、食事を食べる、お風呂に入る。こういった一つ一つの動作について細かくトレーニングをしています。リハビリのためのリハビリではなく、あくまで在宅復帰を見据えたリハビリが重要なのです。

◎ホームエバリュエーションにも重点

 当院では患者さんが退院して自宅に戻られる前に「ホームエバリュエーション(退院前訪問指導)」をしています。

 ホームエバリュエーションとは、患者さんが生活動作を円滑にできるかどうかという視点で自宅を判定することです。「段差をなくしたほうがいい」「手すりが必要」などと判断された場合は改修指導などもしています。

 在宅復帰した人のなかで転倒リスクが高い人や独居、老老介護世帯の人など必要な患者さんには訪問リハビリも提供しています。セラピストがご自宅に出向き、家の中での訓練を実施。手すりに、つかむ場所を示すシールを貼ったり、動作がわかる写真を壁に貼ったりするなどの工夫をしています。

◎職員教育を重視

 当院では看護師やセラピストが、働きながらでも自分を高められるよう、積極的に学会発表、研究活動などの支援をしています。

 学会発表にかかる交通費、宿泊費は全額病院が負担しています。学会で発表するのは、最初は不安かもしれません。しかし何度か繰り返すと、必ず自信につながるものです。

 医療の世界は日進月歩です。医療従事者は日々、勉強をしていないと患者さんに良い医療を提供できません。すぐに目に見える成果はでないかもしれません。しかし、勉強をコツコツ積み重ねていくことは、間違いなく、その人にとってプラスになるのです。

◎ゆいまーる精神

 出身は福岡で、大学は愛知です。4年前に沖縄に来て、まず感じたのは、職員の患者さんに対する接し方が自然で、とても上手にコミュニケーションが取れている、ということでした。

 「医療者と患者」の関係というよりは、「人と人」との関係が結べているように感じます。陽気で社交的な県民性も関係しているのかもしれません。

 沖縄には「ゆいまーる」という言葉があります。これはみんなで助け合うといった意味です。このゆいまーる精神が根付いているのかもしれませんね。

◎実を結ぶ啓発活動

 沖縄県民のアルコール摂取量は本土の人の約5倍だと言われ、喫煙率も高く、決して良い生活習慣だとは言えません。また肥満度は全国トップレベルです。生活習慣病予備軍がとても多いのが特徴です。

 背景には交通インフラ不足があります。実際、一部の都市(那覇)にモノレールがあるのみで電車はありません。また道路も整っているとは言い難く、坂道や曲がり道が大変多いのです。ゆえに、自動車での移動を強いられ、運動不足になってしまうという背景もあると思います。また食生活の欧米化も要因に挙げられるでしょう。

 私たちは市民への健康啓発活動の一環として、地域の公民館などで体操指導や講演活動をしています。その甲斐あってか、近年は健康意識の高まりを感じつつありますね。

 私の思い描く理想の病院像があります。それは「患者さんから信頼される病院」「地域から信頼される病院」「職員が働きやすい病院」です。

 この三つの理想に少しでも近づけるように、これからも一歩一歩、歩みを進めていくつもりです。

医療法人ちゅうざん会 ちゅうざん病院
沖縄県沖縄市松本6-2-1
TEL:098-982-1346
http://www.chuzan.or.jp/


九州医事新報社ではライター(編集職)を募集しています

楽採で医師の採用を「楽」に!

博多水引×九州医事新報

バングラデシュに看護学校を建てるプロジェクト

人体にも環境にも優しい天然素材で作られた枕で快適な眠りを。100%天然素材のラテックス枕NEMCA

一般社団法人メディワーククリエイト

日本赤十字社

全国骨髄バンク推進連絡協議会

今月の1冊

編集担当者が毎月オススメの書籍を紹介していくコーナーです。

【2017年7月の1冊】
イメージ:今月の1冊 - 70.地域医療構想をどう策定するか
松田晋哉[著]

Twitter


ページ上部へ戻る