名古屋市立大学 郡 健二郎 理事長・学長

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「クリエート」できる人材を育てたい

【こおり・けんじろう】 1973 大阪大学医学部卒業 1977 医学博士(大阪大学) 近畿大学助手医学部泌尿器科 1983 近畿大学講師 医学部泌尿器科 1985 日本学術振興会特定国派遣研究員、British Royal Society との交換研究員として英国南マンチェスター大学留学1993 名古屋市立大学教授医学部泌尿器科 2001 同大学医学部附属病院病院長(兼任)2003 同大学大学院教授 医学研究科腎・泌尿器科学分野 2005 同大学医学研究科長・医学部長(兼任) 2014 同大学理事長・学長

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◎新学部創設

 2014年10月28日に「名市大未来プラン」を策定しました。同プランでは 「誇りを持ち、愛される名市大―教育・研究・診療の環境づくり―」「名古屋市と共に発展する名市大―名市大の明るい未来づくり―」「戦略性を持って世界に飛躍する名市大―和、実行力、戦略性、透明性のある大学づくり―」「経営基盤が安定した名市大―経営改善に向けた体制づくり―」という四つのビジョンを掲げています。それを踏まえ、今すぐに実現すべきものから15年後を見据えたものまで52のプランを定めています。

 現在、具体的に動いているプランの一つが、新しい学部の創設です。理学系総合生命理学部(仮称)の創設を、3月に文部科学省に申請しました。来年4月には学生さんをお迎えできる予定です。

◎医・薬・看護学部を備えた公立大学

 本学には医学部、薬学部、看護学部があります。この3学部がある公立大学は全国で本学のみです。本学の予算の7割強が病院収入で、職員の大半が病院関係者という面からも、本学を医療系の大学だとイメージしている人が少なからずいます。

 しかし、滝子キャンパスには経済学部と人文系学部が、北千種キャンパスには芸術系学部があります。どの学部も全国で有数の学部です。

 今後は医療系学部を備えた総合大学だと認識されるようになりたいですね。

◎なごやかモデル

 高齢社会になると、医療ニーズがこれまでとは変わってくるでしょう。大学病院と言えども、高度最先端医療以外の分野にも目を向けなければならない時代が来ています。

 日本の医療は「病院から在宅へ」とシフトしつつあります。その在宅医療を支える取り組みとして文部科学省は「なごやかモデル」というプロジェクトを立ち上げました。

 このプロジェクトは、高齢者が住み慣れた土地で、豊かに老いを迎え、その人らしく暮らすことができる社会づくり(エイジング・イン・プレイス)を支える医療人材を育成するのが目的です。

 現在、高齢化が進む名古屋市緑区鳴子地区で、本学の医学部、看護学部、薬学部、名古屋学院大学、名古屋工業大学の学生が共同で活動していて、今年がプロジェクト最終年です。

 この活動を今回のみで終わらせるのではなく、得た経験を次につなげていくことが大事です。今後、他の地域でも同様の活動を広げていくことに同プロジェクトの意義があると思うのです。

 現在、保健所の職員不足は深刻です。なごやかモデルを経験した学生さんが、予防医学に興味を持ち、将来、保健所などで活躍してくれることを期待しています。

◎クリエートする能力

 学生さんには、先生や先輩から教えられたことだけをするのではなく、そこからさらに工夫して、自分でクリエートできる能力を身につけてほしいと思っています。クリエートする能力は、何も選ばれた人だけに備わる能力ではありません。訓練して得られる能力なのです。

 今の学生さんは、知識があり、みなさんとても優秀です。しかし、それだけでは「よく勉強しているいい子」どまりです。世の中を変えることができるのは、クリエートできる人材だと思うのです。

 これは医師などに限った話ではありません。例えばスーパーマーケットの店員さんは商品を陳列する際「こうやったら売れるのでは」と考え、工夫することが必要です。マニュアル通り、言われた通りのことを機械的にしていては仕事が面白くないし、進歩がありません。

 手術も同様です。経験を積むにつれて短時間で安全に手術を終わらせられるようになってきます。ただ、それを繰り返すだけの人は、ただの手術マシンです。絶えず、「どうやったらより良い手術ができるだろう」と考え、工夫できる医師になってほしいですね。

◎尿路結石研究のエキスパート

 私の専門は泌尿器科で、尿路結石の研究をライフワークにしています。現在、尿路結石の治療は体外衝撃波結石破砕術法が主流です。しかし、私は尿路結石を破壊するのではなく、薬剤などで溶かす研究を続けています。

 結石の90%強はカルシウムやリン、シュウ酸で構成されていて、残りの数%はタンパク質などの有機物質で構成されています。

 尿路結石の形成機序は、歯石や膵石、動脈硬化の際の石灰化と非常によく似ています。尿路結石がある人は歯石が多いし、動脈硬化になる人も多いのです。

 歯石はどれだけ歯磨きをしても取れませんし、動脈硬化の石灰化もそうです。

 私は結石を溶かすための研究過程において、結石を構成する、わずか数%の有機物質に注目しました。その結果、結石を固める作用を持つ「オステオポンチン」という物質を発見したのです。

 その後、オステオポンチンの研究を続けるうちに尿路結石、膵臓結石、腎臓結石などが、メタボリックシンドロームに起因していることもわかりました。

 これらを発見することができたのもクリエートする力によるものだと思っています。若い人たちも絶えずクリエートし続ける人になってほしいと思います。

◎医師に求められる役割

 第一次ベビーブームのころは毎年300万人弱の子どもが生まれていました。しかし少子化の現在、年間出生数は100万人弱です。

 第一次ベビーブームで生まれた団塊世代が医学部を受験した時の定員は約3000人。約1000人に1人が医師になる計算です。一方、現在の医学部定員は9200人。約100人に1人が医師になる計算なのです。

 高齢化、人口減社会であるにも関わらず、昔より医師の数は多い。そうなると医師に求められる役割も自ずと変わってきます。

 これからの医師は高度最先端医療だけを目指すのではなく、介護、在宅医療、予防医学などにも、もっと目を向けていかなければならないでしょう。

◎時間を有効に

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 アメリカの実業家、サミュエル・ウルマンは「人は信念がある限り若く、自信がある限り若く、希望ある限り若い」と言っています。

 これは年齢だけが、人間の若さではないという意味です。

 学生さんなど若い人には、人生における残された時間がたくさんあります。若いうちは、お金はないかもしれませんが、時間はあるのです。

 お金は1日に1億円でも10億円でも使うことができます。一方、時間を一気に使うことはできません。毎日一歩一歩、時間を無駄にしないように過ごすことが大事なのです。

 同じ時間でも工夫次第で何倍にも濃いものにできると思っています。私は今68歳。仮に100歳まで生きたとしても、これまで生きてきた年数以上は生きられないでしょう。

 残りの時間を、いかに充実させるかを考える時期に来ました。最近は、若い人以上に自分自身の時間をクリエートしなければ、と考えています。

未来プラン 4つのビジョン

1.誇りを持ち、愛される名市大 -教育・研究・診療の環境づくり-

全ての市民、学生、教職員、同窓生、その家族が誇りに思い、
愛情の持てる名市大を目指し、そのための環境づくりを行います。

2.名古屋市と共に発展する名市大 -名市大の明るい未来づくり-

15年先を見すえた名古屋市総合計画2018に記載される名市大の取組みを
踏まえ、名古屋市との強い連携のもとに未来像の実現に取り組みます。

3.戦略性を持って世界に飛躍する名市大-和、実行力、戦略性、透明性のある大学づくり-

世界的な研究教育拠点を目指し、経営や設備の高度化・最新化を図るなど、
戦略性をもって挑戦します。

4.経営基盤が安定した名市大 -経営改善に向けた体制づくり-

本学の厳しい財務状況を踏まえ、教職員が収入の増加や経費の削減を図る
とともに、名古屋市においても支援が拡充されるよう、十分に協議します。

公立大学法人 名古屋市立大学 桜山(川澄)キャンパス
名古屋市瑞穂区瑞穂町川澄1
TEL:052-853-8005(総務課)
http://www.nagoya-cu.ac.jp/index.html


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