大阪医科大学 大槻 勝紀 学長

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創立90周年 教学改革で国際レベルを目指す

【おおつき・よしのり】 大阪府立三国丘高校卒業 1978 大阪医科大学卒業 1982 同産婦人科学教室助手 1986 同大学院医学研究科修了 同第一解剖学教室講師 1988 オーストラリア国立大学特別研究員 1991 大阪医科大学第一解剖学教室(現・解剖学教室)教授 2004 同学生部長 2005 同学務部長2007 同教育機構長 同広報・入試センター長 2015 同学長

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◎大学の歴史

 本学は1927(昭和2)年創立。今年、90周年を迎えます。

 1920年代は、昭和の大恐慌の最中で、多くの日本人が職を求めてアジアや南米へ渡った時期でした。その人たちを現地で診療する医師を確保するために、当時衆議院議員だった吉津度氏が京阪電気鉄道の支援を受けて創設した「財団法人大阪高等医学専門学校」が始まりです。

 建学の精神である「医育機関の使命は医学教育と医学研究であり、またその研究は実地の医療に活(い)かすことで完成する」という吉津氏の言葉は、私も大好きな言葉です。

 現在は、創立100周年に向けてキャンパスの再整備も進行中で、本学附属病院の建て替えや、「BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)研究所」の建設なども予定しています。

 8年前に看護学部が併設されました。昨年は大阪薬科大学と法人合併し、大学統合も計画中です。将来、医学部、看護学部、薬学部をそろえた、医療系の総合大学としての機能を充実させていきたいと考えています。

◎中央手術棟が完成

 昨年3月、新たに中央手術棟を開設し、高度先進医療のセンターとして臨床と教育を行っています。

 中央手術棟には、CT、ハイブリッド手術室、アンギオハイブリッド手術室、バイオクリーン手術室、手術支援ロボット「ダビンチ」を導入した手術室を完備しており、中央手術室16室、日帰り手術室4室、ICU16床、胸部外科および消化器外科病棟からなります。

 日帰り手術室は、手術当日、外来を経由せずに直接手術室に入室が可能です。

 "24時間体制で断らない手術室"をモットーに、医師、看護師、薬剤師、臨床工学技士、中央材料、物流、清掃、事務職員でチーム医療を実践しています。

◎BNCT施設の建設

 国家戦略特区として、本学敷地内にBNCT施設を建設することが決まりました。

 "夢の治療法"とも呼ばれるBNCTは、がん細胞にのみ浸透するホウ素製剤を患者の体内に注入し、そこに中性子を当てると、正常な細胞にダメージを与えることなく、がん細胞を死滅させることができる治療法です。

 重粒子線治療は体の深部にあるがん治療に有効だとされています。BNCTは、乳がん、胸壁側にできた肺がん、脳腫瘍、頭頸(けい)部がんなど、体表面から約8cmまでの深さにあるがんに有効です。

 京都大学、大阪大学、大阪府立大学の3大学とタッグを組み、基礎研究や治療の拠点として運営する予定で、2019年の夏をめどに稼働します。

◎エスプリの利いた医療人育成

 私が広報・入試センター長になった2007年ごろ、本学の入試志願者数は1000人程度でした。受験倍率は約10倍。幅広く人材を集めるために広報活動に尽力してきました。その結果、11年間連続で志願者数が増加。今では、日本全国から約3500人が本学を受験してくれるまでになりました。

 2016年度の私立大学医学部偏差値ランキングで全国4位。西日本では1位を誇っています。

 学長として目指すのは"エスプリの利いた医療人"を育成すること。医療の腕は確かでリサーチマインドを持ち続けている医療人を意味します。

 臨床研究をする中でニーズやシーズを常に持ち続け、社会に貢献できる医療人を育成するために、さまざまな疾患の検査、治療、薬品の開発を、企業と共同で進めているところです。

 小児心臓外科の根本慎太郎教授は、小説「下町ロケット」の医療監修に携わり、ニット生地製造会社「福井経編興業」(福井市西開発)、高性能繊維やヘルスケア事業などを手掛ける「帝人」(大阪市中央区)と新しいタイプの心臓修復パッチの開発に取り組んでいます。

 新生児の心臓手術では、心臓が発育するにつれ、装着したパッチが引きつれを生じるため、再手術が必要になります。そのため、手術を一度で終わらせることができるよう、自己組織に置換され、伸長可能な心臓修復パッチをつくろうとしているのです。

 その他にも本学の臨床の先生方はたくさんのシーズやニーズを持っています。今後はそれらを商品化につなげられるよう、さらなる研究を推進していきたいと思います。

◎学生の国際交流

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アムール医科アカデミーでの学生交流

 医学教育、研究、技術の国際交流を目的として、1998年、本学の先輩である中山太郎元外務大臣の肝いりで「中山国際医学医療交流センター」を本学内に設立しました。

 このセンターは、海外の10の大学、研究機関、病院などとMOU(国際交流協定)を結び、学部学生同士の交流や、大学院生や教員による手術や技術をはじめとする学術交流、JICA(国際協力機構)への協力などをしてきました。

◎教職共同と情報共有

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アムール医科アカデミーでの学生交流

 かつての医学部では、職員は教員に言われたことだけをやるといった指示待ちの風潮がありました。しかし、そんな受け身の姿勢では良くない。現状改善のために、教職協働の多職種連携に力を入れています。

 情報共有を図るために、各種委員会では、テーマにふさわしい資料を職員自らが考えて事前に準備してもらい、当日、職員からも必ず意見を求めるようにしています。円滑に双方向のコミュニケーションができるようにしていきたいですね。

 また、FD(Faculty Development)とSD(StaffDevelopment)を合わせた「教育研究集会」を年に2回開催しており、学生も多数参加しています。

 この集会では、学長が教育方針、研究方針を示し、半期ごとの進捗(しんちょく)状況などを報告します。それについて意見を求め、話し合うことによって風通しの良い大学にすることが目的です。

 私の学長就任祝賀会で、日ごろから懇意にしていただいている近畿大学の塩﨑均学長にごあいさつをいただきました。

 そのとき言われたのは「(学長は)1歩、2歩前に出てはいけない。半歩だけ前に出よ」。それは、常に背中でみんなの意見を聞きながら進めという意味でした。

 あまり前に出すぎると、みんなの声が聞こえなくなる。自分勝手にやっても誰もついてこなくなります。広く意見やアイデアを聞きながら、私の考えを理解してもらい、最後には私が決断する。それくらい心の余裕を持って、これからも学長職を務めていきたいと思います。

大阪医科大学
大阪府高槻市大学町2-7
TEL:072-683-1221(代表)
http://www.osaka-med.ac.jp/


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