山口県立大学 長坂 祐二 学長(副理事長)

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地域と共に歩む山口県立大学

【ながさか・ゆうじ】 広島県立広島国泰寺高校卒業 1983 山口大学医学部卒業 1988 山口大学医学部附属病院助手 1990 米国バージニア大学医学部Post Doctoral Fellow 1993 山口大学医学部助手 1997 山口大学医学部講師 山口県立大学生活科学部助教授 1999 山口県立大学大学院健康福祉学研究科助教授(兼任) 2003 山口県立大学生活科学部教授 2006 山口県立大学大学院健康福祉学研究科博士後期課程教授(兼任) 2007山口県立大学生活科学部長 2008 山口県立大学大学院健康福祉学研究科長 2010 山口県立大学看護栄養学部長 2012 山口県立大学副学長 2014 山口県立大学学長

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―県立大学として、地域に貢献する人材の輩出が求められています。

 本学の源流は1941(昭和16)年に開学した山口県立女子専門学校までさかのぼり、2006年に公立大学法人山口県立大学に改組されてからは、地域で活躍し、地域活性化に貢献する人材の育成を目標としています。

 本学が拠って立つのは、「人間性の尊重」「生活者の視点の重視」「地域社会との共生」「国際化への対応」という四つの基本理念です。この基本理念のもと、国際文化学部、社会福祉学部、看護栄養学部の3学部と大学院の二つの研究科を備え、学生や県民から信頼される、「存在感のある大学」を目指しています。

 現在の1学年の定員は309人で、全体で約1300人の学生が学んでいます。そのうち半数近くは山口県出身者で、その他広島県や福岡県など近隣県を中心に主に西日本各地から入学してきます。

 看護栄養学部は、1996年(全国の公立大学で看護学科が多く作られた年)に設置した看護学部看護学科と、1975(昭和50)年、山口女子短期大学から4年制の山口女子大学になった年に設置した家政学部栄養学科(1998年からは生活科学部栄養学科)を母体に、2007年の学部再編により誕生しました。

 栄養学科はもともと家政系の学科で食品に関する教育と研究が中心でした。近年管理栄養士の活躍する場が給食経営管理を基盤に置きつつ、病院などでの栄養指導を担う人材としても求められるようになったことから、看護学科と統合して医療系のカリキュラムを強化しました。

 社会福祉学部社会福祉学科は1994年に設置し、ソーシャルワーカーを養成しています。

 保健・医療・福祉に関わる三つの学科を有する本学の特長は、学科の壁を取り払ってヒューマンケアをキーワードにチームアプローチを学ぶ授業を行っていることです。三つの学科がお互いに自分たちの専門性を提供しながら、事例をもとにグループワークする内容です。多職種連携が重要になった現在の医療系職種の人材育成において、こういった取り組みが必須だと考えています。

―医療ソーシャルワーカー(MSW)を置く病院も増えていますし、管理栄養士については栄養サポートチーム(NST)を重視する病院も増えています。

 教育にあたっては現場主義、いわゆる臨床を重視しています。カリキュラム自体は看護師、栄養士ともに法律の厳格なしばりがありますので、それほどバリエーションがあるわけではありませんが、その中で臨床的能力の養成に重点をおいた教育を行っています。

 知識を詰め込めば国家試験に合格することはできます。臨床の現場でそれを生かすことができるようになるための授業の展開とはどういったものか。個人的には具体的事例を通して学ぶケーススタディーに力を入れるべきだと考えています。

―医療現場では、チーム医療や多職種連携がキーワードになっています。

 授業でも多職種連携の科目を4年次に履修します。そのときに必要なことは、チーム全体が目標に向かって一丸となるということなんです。ここでいうチームとは、野球チームのような構成員が均一で目的のわかりやすいものではなく、背景や知識、技術の違う異質性を前提とした協力体制です。単なる「役割分担」を決めるための「話し合い」とは次元の違う営みであり、そのあたりの認識と能力をしっかりと持った人材を育てなければなりません。

 互いに共通認識を形成した上で、最終的な目標である患者さんの幸せにむけて連携を進める。役割分担イコール連携ではないのですね。役割分担はともすれば「無責任」や「線引き」といったマイナスの行動原理になりがちですが、本来はもっと主体的に患者さんに関わろうという患者さん中心の考え方です。

 多職種連携の授業をすると、栄養士はここをやります、看護師はそれをやりますといった具合にそれぞれの学科ごとのケアプランを並べてそれで終わり、などといった光景も見られますが、それは連携ではありません。

 一つの課題に対してそれぞれの専門分野の視点で意見をぶつけあって、解決策を昇華させて課題を克服する。そういった連携のためには自分の知識や技術をしっかり持って、足場を固めなければなりません。マニュアルではない、患者さんのため、という視点を常に持つことが大事になります。

―今年4月から新校舎の運用が本格化します。

 看護学科棟は現校舎と道路を挟んだ土地に建設しました。他の学科はまだ現在地で授業を続けているのですが、栄養学科棟と学部共通棟が4月に供用開始となりました。引き続き、社会福祉学部と国際文化学部の建物も建設する予定で、完全移転までにはまだ5、6年かかる予定です。

―ハードを一新して、中身をどう充実させますか。

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 就職率は95%前後で、学生たちは健闘していると思います。また、看護師、保健師の国家試験合格率はここ数年来ほぼ100%です。今後は、資格さえ取ればどこの大学を出ても同じというのではなく、本学で学んだ学生は他とは違うという特色を出したいですね。

 本学は公立大学で地域に密着した大学ですので、大学時代に学生が地域に出ていろんな体験をする機会を設けています。専門に特化するだけではなくさまざまな人と話し、体験を重ね、深い人間性を養ってほしい。

 地域と密着しているのは本学の伝統で、地域の方も学生の受け入れに積極的です。地域との信頼関係は大学の財産だと改めて思います。

公立大学法人 山口県立大学
山口市桜畠3-2-1
TEL:083-928-0211(代表)
http://www.ypu.jp/


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