独立行政法人 国立病院機構 広島西医療センター 奥谷 卓也 院長

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PDCAの推進で「攻めの現状維持」を

【おくたに・たくや】 1983 広島大学医学部卒業 1984 厚生連尾道総合病院 1988 香川医科大学 1996 松山日赤病院第2泌尿器科部長 2001 国立大竹病院(現広島西医療センター)泌尿器科医長2007 広島西医療センター副院長 2013 同院長

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―病院の現状は。

 地域医療支援病院、災害拠点病院、救急告示病院、へき地医療拠点病院、難病医療拠点病院などの指定を受けた地域の中核病院として、ここ大竹市をはじめ、廿日市市、山口県岩国市までをカバーする医療を提供しています。

 今は何をするかではなくて、「何をしないか」をしっかりと見極めていく時期です。当院は地域医療、予防医学、そして在宅医療に力を注いでおり、いろいろなことに手を出すのではなく、身の丈にあった経営を意識しています。

 2013年10月に新外来管理診療棟がオープンし、2014年5月にはいち早く在宅療養後方支援病院の施設基準を満たし、認可を取得しました。在宅医療を担当する医療機関と連携し、患者さんとそのご家族が緊急時のことを心配せずにご自宅で過ごせるよう、バックアップに努めています。全国に143ある国立病院機構所属の医療機関の中でも、認可を受けたのは当院を含めて2、3カ所ほどしかありません。

 国立大竹病院と国立療養所原病院が統合して当院が発足した2005年以降、私たちが挑み続けてきたのは、いかに時代の流れを読み、早く動き出すかということです。

 右肩上がりの経済が望めない今、まず求められるのは水平飛行を維持していくことだと思います。ただ水平飛行といっても、じっとしていればいいという意味ではありません。年初に国立病院機構の会合に出席した際にも、「現状維持こそがいちばん難しい」という言葉があちこちで聞かれました。

 私は学生時代にヨット部でしたから、よく航海に例えて話をします。航海では順風満帆のときでも常にかじをとり、風向きをとらえながら、揺れを抑えているわけです。現状維持というと消極的な印象を持たれがちですが、社会の風向きの変化を敏感にとらえなければ、決して現状は維持できません。その意味では、私は「攻めの現状維持」を強く推進していきたいと思っています。

 統合時には400人ほどだった職員は、いまや700人近くにまで増えました。医師の数も30人から倍になりましたし、看護師の人員確保も幸い順調です。

 また、初期臨床研修医の募集は6年連続フルマッチの実績が評価され、今年度は、昨年度までの定員5人から6人(2学年で12人)に増員しています。

 十分な数のスタッフを配置できていることもあって、病床の稼働率についても、過去7年間の平均は95%以上と、高い水準を保っています。国立病院機構が毎年行っている病院評価では、2015年度は143病院中8番目の高評価を得ることができました。

―これからどのような取り組みを進めますか。

 現在の当院の状況は、早い段階から危機感を抱き、院内外のさまざまな課題に対処してきたからこその結果だと考えています。

 これまでのところ、当院の経営基盤は安定しているといえます。ただし、だからといって慢心があってはならないのは、繰り返し述べているとおりです。今後のキーワードとして、私は変化するためではなく「現状維持のためのPDCA(Plan・Do・Check・Act)サイクル」を回していくことを掲げています。

 当院は特定の突出した得意分野を誇っているわけではありません。

 特徴はどこにあるのかと問われれば、疾患全体を診ることができる機能を有している点、いわば特徴がないことが特徴であるといえるかもしれませんね。

 そんな病院づくりに至ったのは、「患者さんと共に」という当院の理念のもと、地域に即した医療へとずっと方向性を定めてきたからです。いま、それをもっと深めていくためのチーム医療の確立に注力しているところです。

 私の一番の願いは、患者さんの健康状態や心理状態を、スタッフが分かち合ってほしいということです。できるだけ早く退院してのんびりと余生を過ごしたいのか、じっくりと完全に治してから、もう一度働きたいと望んでいるのか。患者さんが何を目指しているのかによって、私たちが提供する医療もまた変わるはずです。そうした患者さんの気持ちを共有できるようになることが、本当のチーム医療ではないかと思うのです。

―他には。

 もう一つ欠かせないものがあります。「われわれ職員が元気で仲良く幸せでなければいい医療は提供できない」という点です。ちょっと風邪をひいていたり、家庭で何か問題を抱えていたりすると、医療のプロとはいえ、なかなか他人にやさしくしようという意識が薄らぐものです。

 逆にいえば、プロ意識は誰もが持っているわけですから、心身のコンディションと周囲の環境さえ整っていれば、最大限の力を発揮してくれることでしょう。

 小池百合子都知事ではありませんが、職員に向けた年頭のあいさつでは、例えば資格を取ったり何かの勉強に打ち込んだり、どんなことでもいいから後々誰かが喜ぶようなレガシー(遺産)を残しましょうと話しました。当院の順風満帆という状況は、過去の遺産の上に成り立っています。だから、あなたたちも未来のために、それを作り上げる1年間にしてほしいと伝えました。現状維持のためのPDCAサイクルには、こうした現場の改善が多々含まれているのです。

―奥谷院長の個人としての目標は。

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 「院長はできるだけ暇なほうがいい」というのが持論です。何もかも自分でやろうとすると、きっと本質を見失ってしまうでしょう。大所高所に立って全体を見渡せるように、常に時間と余裕を持っておくようにしたいと思います。

 職員に向けて断言しているのは、「わしは、自分ができんことでも人にやってくれと頼むよ」と。よく、自分ができないことはいうなという意見がありますが、私は少々違う考え方を持っています。

 たとえば野球の世界を見てください。イチローのコーチは、イチローよりも優れた実績がなければ務まりませんか。コーチングと実践は違うものです。ですから、理想論を平気で口にするようにしています。

 今年は、毎年10月に開いている広島西医療センター祭りが10周年を迎えます。業務の一環としてではなく、200人ほどの職員がボランティアで参加します。私もその一人です。

 長く闘病生活を送っている方なども楽しんでいる姿を見せてくれますので、やりがいがありますね。祭りがフィナーレに近づく頃には、思わず目頭が熱くなってしまいます。今回も、地域のみなさんや職員同士が交流を深める機会にしたいと思います。

独立行政法人 国立病院機構 広島西医療センター
広島県大竹市玖波4-1-1
TEL:0827-57-7151
http://www.hiro-nishi-nh.jp


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