兵庫医科大学 産科婦人科学講座 柴原 浩章 主任教授

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生殖医療の伝統を引き継いで

【しばはら・ひろあき】 大阪府立三国丘高校卒業 1984 高知医科大学医学部卒業兵庫医科大学病院産婦人科研修医 1990 米国Eastern Virginia Medical School生殖免疫学講座研究員 1996 米国University of Virginia細胞生物学講座助手1998 兵庫医科大学産科婦人科学講座講師 1999 自治医科大学産科婦人科学講座助教授 2007 自治医科大学生殖医学センター教授 2013 兵庫医科大学産科婦人科学講座主任教授 兵庫医科大学病院生殖医療センターセンター長

 1972(昭和47)年に開学した兵庫医科大学。産科婦人科学講座は、生殖関連の研究に注力した初代礒島晋三教授の伝統を引き継ぐ。

 このほど厚生労働省が発表した人口動態統計では2016年の出生数が初めて100万人を割った。少子化のなか、産婦人科医に求められるものとは。柴原浩章・第4代主任教授に話を聞いた。

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―講座の特徴は。

 2013年1月から主任教授を務めています。礒島晋三教授の薫陶を受け、不妊治療や体外受精を専門に臨床、研究に当たっています。講座は現在30人体制です。

 兵庫医科大学病院は、大阪市と神戸市の中間に位置し、地域の拠点病院としての役割をはたしています。このため、当講座も、生殖医療のほか、周産期医療、婦人科腫瘍という産婦人科の大きな柱である三つの分野のすべてをバランスよく学べるようにと考えています。

 産婦人科医には、出産の際の帝王切開、がん治療などにおける外科的処置といった外科的な知識や技術と、不妊治療におけるホルモンの投薬といった内科的な知識や技術の両方が求められます。その両方を兼ね備える医師の養成を目指しています。

 具体的には、卒後の研修体制として、2年間の初期研修を修了し入局。3年間の後期研修時には、日本産科婦人科学会の産婦人科専門医の取得を目指します。このためにも、周産期、腫瘍の外科手術、不妊治療の三つの分野を経験しておくことが必要です。

 試験に合格できるよう関連病院も含めて協力しており、本学はここ15年間は合格率100%の実績を挙げています。全国平均は80%前後ですのでかなり高い実績だと思います。

 日本国内では、1983(昭和58)年に体外受精がスタート。当時は、麻酔科医と一緒に腹腔鏡で大がかりな手術を行い卵子を採っていました。しかし、卵を採るアプローチ法は進化し続け、特に経膣超音波の進歩で、局所麻酔をして採卵ができるようになり、これにともなって、不妊治療をするのは、クリニックなどの専門の施設が中心となっています。

 このため、不妊治療に力を入れている大学病院は減少しているのが実状です。本講座は、初代教授の専門でもあったことから生殖医療に力を入れているため、三つの分野を学べる、貴重な教室と言えるかもしれません。

 私の不妊治療の原点は、子どもが欲しいと願う夫婦の願いをかなえ、その喜びを分かち合うことです。大変さはありますが、やりがいも大きいものです。

―晩婚化が進んでいます。不妊治療も増加しているのでは。

 私が医師となった30年前と比較すると、女性の平均初婚年齢は5歳くらい延びて約30歳となっています。総出生児に占める体外受精出生児の比率も年々高まっています。

 また、不妊の定義も、これまでは結婚して2年授からなかったら不妊という考え方でしたが、現在は1年で不妊と考えるようになりました。

 不妊治療は、比較的早く結果が出る場合が多いのですが、治療期間の長い方にとっては「出口の見えないトンネル」と言えるかもしれません。心理的な負担も大きくなります。

 これを少しでも軽くするためにも、生殖医療を担当する心理カウンセラーの必要性が高まっています。ところが、大事な職種であるにも関わらず、診療報酬では保険点数がありませんのでカウンセリングは自費となっています。不妊治療における今後の課題の一つと言えます。

 また、精子、卵子、胚を扱う胚培養士も国家資格でないため、その地位が他職種と比べて認められていないのも問題となっています。関連学会でも厚生労働省に働きかけてはいるのですが、まだ道筋が見えていません。

―生殖医療の新たな動きは。

 近年、がんになる患者さんが若年化していることや、これまでは亡くなっていたケースも治癒することで、治癒後の妊娠という課題も見えてきました。

 かつては抗がん剤治療後に妊娠できないのが当たり前、という考えだったのが、そうではなく、がん治療の前に卵子や卵巣を凍結保存する「がん生殖医療」という方向になりました。がん治療で妊娠、出産をあきらめる必要がなくなっているのです。

 各都道府県では、がん専門家と生殖医療の専門家がネットワークを作る動きもはじまり、2013年には日本がん生殖医療学会も立ち上げられました。兵庫県でも、県がん診療連携協議会と県産科婦人科学会が協力して「兵庫県がん生殖医療ネットワーク」を設立し、妊孕(にんよう)性温存、つまり妊娠できる力を残す治療を提供できるような体制をつくりました。兵庫医大が中心になってその活動に力を入れています。

―昨年12月に学内にランニング同好会をつくられたそうですね。

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 マラソンを始めて9年目。はじめは5分も走れなかったのですが、自分に合っていたのでしょう。今では、毎月200km、全盛期は450km程度走っていました。

 フルマラソンの年代別大会では、優勝したこともあり、52歳の時には、2時間53分10秒のベストを記録しました。

 マラソンも仕事も似たところがあります。産婦人科医は、当直も多く、なかなかハードではありますが、若い人たちには「毎日努力していたらきっと得られるものがあります」と伝え、ともに走り続けています。

兵庫医科大学
兵庫県西宮市武庫川町1-1
TEL:0798-45-6111(代表)
http://www.hyo-med.ac.jp


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