京都市立病院 森本 泰介 院長

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強みを生かして地域を支える

【もりもと・たいすけ】 島根県立松江南高校卒業 1977 京都大学医学部卒業 1987 同大学院医学研究科博士課程修了 1988 西ドイツ(当時)ケルン大学実験医学研究所留学 1990 京都大学医学部第二外科学教室助手 「肝癌の外科的治療と生体部分肝移植のドナー手術」を担当 1994 島根県立中央病院外科部長 1997 京都大学大学院医学研究科消化器外科講師 1999京都市立病院消化器外科部長京都大学臨床教授 2005 京都市立病院診療科統括部長 2008 同副院長 2011 地方独立行政法人京都市立病院機構理事 2015 同理事長 京都市立病院院長

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◎歴史

 当院の前身は上京公立避病院として、1882(明治15)年、聚楽廻松下町(じゅらくまわりまつしたちょう、京都市中京区)で開院しました。上京公立避病院は結核など伝染病患者のための病院でしたので、その歴史を受け継ぎ、今でも感染症には力を入れています。

 感染症内科には第2種感染症指定病床が8床あり、万が一、パンデミックが起きた場合も対応できる体制が整っています。

◎先進的な取り組み

 1968(昭和43)年に日本で初めて臨床研修医2人を採用しました。今では当たり前の1患者1カルテ制を1966(同41)年に初めて採用したのも当院です。プラスチック製の診察カードを採用(同年)したのも当院が最初です。

 歴代の院長によると「東の聖路加、西の京都市立病院」とまで言われていた時代があったそうです。それくらい先進的な取り組みをしていた病院なのです。

◎研修医に人気

 研修医は毎年フルマッチです。臨床研修マッチングの中間発表での1位指名数ではここ数年、募集定員を上回っています。

 京都市内には京都大学と京都府立医科大学という二つの大学があります。かつてはこの2大学出身の医師がほとんどの時期もありましたが、今では日本全国から集まってくれるようになりました。

 しかし、その人気にいつまでもあぐらをかいているわけにはいきません。研修プログラムを今後もブラッシュアップし続け、より魅力ある病院にしていかなければなりません。

 そのために2015年からはEPOC(オンライン卒後臨床研修評価システム)を導入しました。

◎強みを打ち出す

 当院は地域に貢献する自治体病院として、感染症医療や救急医療などの政策医療を担っています。また、「がん医療」や「地域医療支援」の分野にも力を入れています。

 京都市内には当院と同様の機能を持った大規模病院がたくさんあります。

 これからは、それらの病院と患者さんの取り合いをするのではなく、それぞれの病院の強みを生かして地域の病院全体で医療を支えていく必要があると思うのです。それこそが都市部における地域医療構想の理想的なかたちではないでしょうか。

◎地方独立行政法人に

 2011年に地方独立行政法人になりました。独法化したことで医師、看護師の確保、機器の購入などの意思決定が、柔軟に、迅速に、そして効率的にできるようになりました。以前は、機器の購入にしろ、人員確保にしろ、すべて京都市にお伺いを立てなければなりませんでした。それが自立的に決定できることになったことで、職員のモチベーションも高まったと感じています。

◎先進医療

 先進医療においては手術支援ロボット「ダビンチ」を府内では京都大学、京都府立医科大学、宇治徳洲会病院に次ぐ4番目に導入しました。

 前立腺がんは、あっという間に200症例を越えました。消化器外科では全国で4番目の先進医療Bの承認を受け、ダビンチによる胃がん手術を43例実施しました。また呼吸器外科でもロボット支援胸腔鏡手術を実施しています。

◎救急医療

 独法化にあたって中期計画を策定。ハード面の整備が急務だということになり、2013年に北館を建て替えました。救急外来スペースは従来の4倍に拡張、屋上にヘリポートを造設、手術室も従来の7室から10室に増室しました。

 救急外来の拡張に伴い、救急車の受け入れが急増しました。私が当院に来た18年前は年間3000台くらいだったのが、今では7000台近い救急車を受け入れています。

◎病棟担当制の導入

 MSW(メディカルソーシャルワーカー)を病棟担当制にしたことで転退院調整に要する時間を大幅に短縮できました。薬剤師、管理栄養士も病棟担当制です。まだまだ道半ばですが、みなさんたいへん頑張ってくれています。

 今後は、病棟専従のメディカルスタッフを増やしていきたいと考えています。病棟専従だと患者さんの状態を把握しやすいというメリットがあるのです。また多職種によるカンファレンスも、より密度の濃いものとなり、円滑なチーム医療が可能となります。患者さんともより深いコミュニケーションを取ることができます。

◎子育て支援

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 当院の医師の約三分の一は女性です。女性医師の管理職への登用も進めていますし、科によっては部長以外すべて女性医師という科もあります。

 当院では医師や看護師などの女性職員が結婚、出産してもキャリアを継続できるように「仕事と子育ての両立支援」に力を入れています。

 育休、産休取得はもちろん、勤務形態の多様性があるのが当院の最大の特徴です。短時間勤務(週4日、31時間勤務)や、育児短時間勤務(4パターンの勤務形態の中から選択)など、当機構の規定に基づいて、その人の生活スタイルに合わせた勤務が選択可能です。

 2015年には院内保育所をリニューアルし、定員を増やしました。地域の要望に応え、職員以外のお子さんもお預かりしています。職場に隣接する場所にお子さんを預けられるというのは安心なのではないでしょうか。

 私は京都大学外科交流センターの理事長も務めていますが、センターの取り組みの一つに女性外科医師のキャリア支援があります。

 外科医不足は深刻な問題です。今後、女性外科医が出産後も働きやすい環境を整えて、一定数の外科医を確保しないと地域の外科診療は崩壊しかねません。

 センターでは2年に1回、女性医師の勤務環境についてのアンケート調査をしています。この結果をもとに、病院管理者が女性医師の勤務環境を改善し、ひいては医師全体の待遇改善につながることを願っています。

 これまで築き上げたキャリアを継続していただくため今後も勤務形態を含め、最大限のサポートをしていくつもりです。

 医療界に限らず、これからの日本は女性が輝いて働ける社会にならなければなりません。そのお手伝いができたらと考えています。

地方独立行政法人 京都市立病院機構 京都市立病院
京都市中京区壬生東高田町1-2
TEL:075-311-5311(代表)
http://www.kch-org.jp


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