岐阜大学 湊口 信也 大学院医学系研究科長/医学部長・教授

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骨太の医師を育てたい

【みなとぐち・しんや】 和歌山県立新宮高校卒業 1978 岐阜大学医学部卒業 1983 同大学院研究科博士課程修了 同附属病院医員 1989 オーストラリアメルボルン大学医学部留学 1994 岐阜大学医学部講師 2007 岐阜大学大学院医学系研究科再生医科学循環病態学/呼吸病態学(第二内科)助教授(医局長) 2007 同教授 2015 岐阜大学大学院医学系研究科副研究科長(医学部副学部長) 2016 研究科長(医学部長)

 岐阜県内唯一の医学部で、県の地域医療を守る役割を果たす岐阜大学医学部。その歴史は110余年を超える。昨年4月に就任した湊口信也医学部長に今の思いなどを聞いた。

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―就任から半年。どのような課題が見えてきましたか。

 臨床を中心に、教育や研究にも40年以上携わってきました。この間、社会もそして医学を取り巻く環境も変化していますが、中でも、若い世代の基礎医学の知識が年々浅くなってきているように感じています。その背景には二つの問題があるのではないかと思います。

 一つ目が基礎医学を専攻する人間が減ってきているということです。臨床医学は基礎医学が核としてあるからこそ成り立つもの。両輪のようなものです。2016年10月、オートファジーの研究でノーベル生理学・医学賞を受賞された東京工業大学大隅良典栄誉教授が受賞後のインタビューで「基礎研究の空洞化について心配している」と真剣に答えられていました。私自身、それが大変印象深かったです。

 日本人による自然科学系のノーベル賞の受賞は3年連続という快挙でした。しかし、受賞者の先生方が研究をされていた時代と、今、基礎医学を取り巻く環境は大きく変化していると感じています。

 基礎研究にかけられる予算、人員などが年々厳しくなっており、そのような状況を感じて基礎医学の専攻を希望する医師が激減しているのが実状です。

―二つ目は。

 最近の医学部の教育は、私どもが受けた教育とは大きく変わりました。私のころの教育内容は、大きく分けて2年ずつの教養学(1、2年生)、基礎医学(3、4年生)、臨床医学(5、6年生)から構成されていました。教養学では、2年間という時間的な余裕もありましたので、多くの書物を読んだり、剣道に熱中したりと、専門分野以外でも、幅広く学ぶ機会があったように思います。

 しかし、今は、勉強すべき医学知識が膨大になったことや早期体験学習という考え方が浸透したことで、臨床医学を学ぶ時期がより前倒しになり、基礎医学を学ぶ時間が以前に比べると大きく減ってきています。これも憂慮すべき問題ではないかと思います。

―基礎医学の重要性とは。

 基礎を身に着けることで、骨太の臨床家が育っていくと考えます。

 基礎がなければ、自分で考える力も養われませんし、そうなると、全く誰も知らない新たな発見を開発することも難しいでしょう。

 わかっていることを言われたとおりにやる、今ある医療機器を使いこなすだけの医師で終わってはいけません。

 医学部生のころに基礎医学を学ぶ機会が少ない状態が続くと国内で基礎医学を学ぶ医師はいなくなり、皆が臨床家を目指すことになりかねません。

 しかし、私たち医師は医学部卒業から40年以上も臨床に携わるのです。せめて医学部で学んでいる間だけでも、医師としての基本的な知識である基礎医学を学ぶ時間があってもいいのではないかと思います。

 具体的な動きはこれからですが、基礎医学分野の充実を図るため、基礎医学分野の教員の増員ができないかと考えています。このためには、本学の進むべき方向性を改めて学内で考える必要があります。すぐにシステムを変更することは難しいですが、計画に節目を設定し、数年後に実現できるように考えていきたいと思っています。

―どのような医師を育てたいと考えていますか。

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 学生には「医学部に入ったからには、一生勉強しなければならないので覚悟を決めてほしい」とよく言いますね。

 しかも、単なる知識や技術だけでなく、医師としての高い倫理観を持つためには、医学以外のさまざまな書物を読むことも必要ですし、幅広い視野を持つことも大事です。そして、学生時代はできるだけスポーツをして、丈夫な体を作ってほしいですね。

 岐阜には、岩村藩出身の佐藤一斎(1772―1859)という儒学者がいます。昌平坂学問所で学び、その後は指導者となり、門下生の信頼も厚かったようです。その業績のなかでも1133条の言葉を集めた「言志四録」という著書が有名で、これは、幕末に活躍した西郷隆盛などに大きな影響を与えています。

 その中に「若くして学べば壮にして成すあり 壮にして学べば老にして衰えず 老にして学べば死しても朽ちず」という言葉がありますが、まさに生涯にわたって学び続けなさいというメッセージです。これを学生には必ず伝えています。

 これからも、患者さんの痛み、悩み、苦しみを共感できる人間性を養って、思いやりのある医療を行える医師を育てていきたいと思っています。

―医師になったきっかけは。

 幼いころ、母親が十二指腸潰瘍で入院をしたことがきっかけでした。ずいぶん寂しい思いをしたので、将来は、医師になって母親のような人を助けたいと思うようになったのです。

岐阜大学大学院医学系研究科・医学部
岐阜市柳戸1-1
TEL:058-230-6000
http://www.med.gifu-u.ac.jp

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